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教員のための仕事効率化 ー校務編ー

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シリーズとして、中学校で教諭(理科担当)をされてきた望月陽一郎 先生に「教員のための仕事効率化」についてお話を伺っています。第5回目は「校務(出勤簿)における時短術」を中心にお聴きしたいと思います。

【望月陽一郎先生・略歴】

大分県立芸術文化短期大学 非常勤講師。Forbes Japan 電子版オフィシャルコラムニスト。元公立中学校教諭(理科)。大分県教育センター情報教育推進担当主事・指導主事・大分県主幹等を経験されています。自作の「micro:bit『サンプルプログラミング集』2.0版」が2019年の第35回 学習デジタル教材コンクールにて「学情研賞」を受賞されました。

望月陽一郎 個人サイト:http://mochizuki.net/

校務における時短術について

〇表簿について

-教員の皆様は教科だけでなく教務にも多大な時間を使われているのではないかと思います。そこで、校務に関するお話・時短術をお聞かせいただけますか。

望月先生:校務という作業に関係するものとして、学校における公簿といえる「表簿」とは何をさすかというと、法律には次のような条文があります。

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学校教育法施行規則

第28条 学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。

 1 学校に関係のある法令

 2 学則、日課表、教科用図書配当表、学校医執務記録簿、学校歯科医執務記録簿、
   学校薬剤師執務記録簿及び学校日誌

 3 職員の名簿、履歴書、出勤簿並びに担任学級、担任の教科又は科目及び時間表

 4 指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表簿

 5 入学者の選抜及び成績考査に関する表簿

 6 資産原簿、出納簿及び経費の予算決算についての帳簿並びに図書機械器具、
   標本、模型等の教具の目録

 7 往復文書処理簿

○2 前項の表簿(第24条第2項の抄本又は写しを除く。)は、
   別に定めるもののほか、5年間保存しなければならない。

   ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の
   学籍に関する記録については、その保存期間は、20年間とする。

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-私が表簿について気になったのは保存期間についてです。 数年前、教育免状を今からでも取得できるか調べた際、高校の成績証明書等は卒業から20年経つと取れないことを知りました。知らない間に自分の情報が破棄されていることに気がついた次第です。

個人情報がずっと保存されるリスク・情報流出のリスクもあるとは思うのですが、「表簿がデジタルデータ化されていれば、半永久的に必要な情報を保存できるのに」と思ったものです。教育の現場で今、どれくらい表簿のデジタルデータ化が進んでいるのか、大いに気になるところです。

望月先生:条文で書いてあるように、デジタルデータでも成績保存は5年となりますね。

-デジタルデータでも保存期間5年というのは驚きました。5年間に何か意味があるのでしょうか。

望月先生:学校ではずっと紙保存が前提なのですが、場所をとる・紙が変質するなどの理由からか、保存年数が法律で決められていますね。 もちろんそれを過ぎてすぐ廃棄(処分が難しい個人情報を含むので)しない場合が多いですね。

〇いまだ押印が多いのは?

-紙保存が前提なのですね。驚きました。

望月先生:最近はパソコンで作成していますが、データ保存が前提ではないですから。出力(印刷)して、押印(笑)。間違えたら訂正印を押す。デジタルデータ保存がOKとなっているのは、指導要録です。これは文部科学省から通知が出ているからです。ただし、電子押印(記入者が誰であるかの証明)のシステムが必要です。

-押印が必要というのも驚きました。

望月先生:地域によると思いますが、休暇欠勤処理簿や出張命令簿などの書類もいまだに手書き・押印の学校は多いかと思います。 私が県行政にいた頃(10年くらい前)は、すでに県職員は電子決裁だったのですけどね。学校現場に戻ったら手書き・押印でした(笑)。

-県では電子決済なのに、学校現場ではアナログ保存が前提なのは何故かな?と思います。

パソコンでデータ保存した方が便利だと思うのですが、使いこなせない先生がいるからとか、システム導入の必要があるからとか、何か理由があるのでしょうか? それともアナログ保存だと今まで通りで楽だからなのでしょうか?

望月先生:指導要録をデータ保存してよいのは、「電子押印などのシステムがある」前提ですからね。データでただ保存するということではないのです。

指導要録については通知が出ているという根拠がありますが、他の部分は通知が出ているわけではないので、システム化が進まないのかもしれませんね。それと、紙+押印は安上がり(紙代)です。電子押印を含むシステムを構築するには多額の予算がかかります。

〇出勤管理はタイムカードへ

望月先生:一旦システムが入ってしまえば、楽になるのです。電子システムを使っていた頃は、紙の出勤簿・出張命令簿もなく残業申請も電子決裁でした。学校で一番デジタル化が進んでいるのは通知表ですが、通知表は公簿(表簿)ではないので、比較的導入が早かったのです。

-やはりシステムが入るかどうかがポイントなのですね。 公簿でないものはデジタル化が早いというのは印象的です。

県で勤務されていた頃は出勤簿がなかったとのことですが、教育現場での出勤管理・タイムカードの扱いがどうなっているのか少しお聞かせいただけますか。

望月先生:以前全国の先生方にアンケートしてみたことがありますが、
・手書き、押印
ICカード

・パソコンによる(ログイン時間など)

さまざまでした。しかし、タイムカードが正確な勤務時間を示すかどうかというのは、タイムカードを押して残業する場合もあるのが問題視されていますね。

〇出席簿の電子化

-デジタル化すると校務の時短化ができるのではないかと思ったのですが、まだまだ課題は多そうですね。他に出席簿はデジタルデータ化したほうが便利ではないかと思うのですが、そのあたりはいかがですか。

望月先生:出席簿のデジタルデータ化はけっこう難しいことです。出席簿を扱うのは教室ですが、移動教室で理科室や音楽室など、中学校では教科担任の先生のもとに出席簿が届いて、そこでそれぞれの先生が記入するわけですから、デジタルデータ化するということはその場で入力できる環境にないといけません。

ということは、それぞれの先生方が入力用の端末(タブレットなど)を持っていて、出席簿のデータにアクセスできないといけません。そのためのネットワーク(アクセス権限)も整備されないといけませんから、単にExcelデータに入力するというわけではなく、やはり電子認証を伴う「システム」が必要です。

-確かに通知表を含め表簿は個人情報の塊なので、セキュリティはどんな風にされているのかも気になりますね。ただ、学校現場でのデジタルデータ化は進んでおり、ある程度効率化されているものもあるという理解でよろしいでしょうか。

望月先生:私が若いころは、通知表や学級通信も「手書き」でした。高校受験に伴う調査書も1人ずつ緊張しながら書いたものです。校務パソコン・教育用ネットワークが完備されてきてかなりの時間短縮がされてきたのは事実なのです。

-そうなのですね。ご教示をありがとうございます。

今年の連載は今回が最後となります。望月先生のご厚意と読者の皆様に支えられての連載だと思います。読んでくださっている皆様、大変ありがとうございます。そして、みなさま、よいお年をお迎えくださいね。

>>「教員のための仕事効率化 ー授業編ー」に続く(2020年1月公開予定)

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望月先生がmicro:bit を活用したプログラミング教育について、当ブログで連載した記事のまとめは以下の記事からご覧いただけます。

▼【連載まとめ】micro:bit プログラミングとこれからのプログラミング教育https://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/2019/02/microbit.html

※連載まとめは、望月先生の連載(5回分)を片岡が再構成してまとめたものです。

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