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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

リブート第12回「理科の授業におけるICT活用術 ‐中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より‐」

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現役の先生に教育現場のICT活用について伺いました(2015/6/2初公開分をリブート)

リブートシリーズ・・・2013年から不定期で掲載してきた「教育・授業・ICTに関するインタビューシリーズ」を、今に合わせて「再構成」していく企画です。


中学校で教諭をされておられる望月陽一郎 先生に教育とICTを学校現場でどのように実践されてきたのか、お話を伺っています。

【望月陽一郎先生・略歴】
大分市中学校教諭(理科担当)。大分県教育センター情報教育推進担当主事、指導主事、大分県主幹等を経て、現職。


【前回の概要】

前回(リブート第11回目)は、「タブレットのグループ活用」についてお話を伺いました。提示の工夫の実践例を、4つの観点から説明していただきました。

・「一人一台」に向けて
※「まだ『一人一台』整備が先の話(2015年当時)(学校現場では、指導者用タブレットの整備もまだ見通しがみえない)なので、それまでにいろいろな使い方のポイントを見出しておきたい」とのことでした。

・グループ一台活用
※必要な情報端末を団体や企業から貸し出してもらって実践した事例について。

・「二人一台」構想をやめた理由
※別な企業からさらに情報端末を貸し出してもらえたため、「30人のクラスで『二人一台』15台の活用が可能に」なったそうです。しかし、「15ペアの中を自分が一人で動き回らなければならないことに気づいたため」活用方法の変更を考えられたとのことでした。

・「グループ二台活用」
※一人一台のタブレット活用ができない場合、生徒用のタブレットを何人一組で利用したらよいのか。授業で「グループ一台活用」→「グループ二台活用」を試した結果とそのメリットについてお話しくださいました。

「タブレットのグループ活用」のお話に引き続き、今回は理科の授業でタブレットを活用するときに工夫・注意したことについてお聴きしたいと思います。

〇理科の実験におけるICT機器の活用について

質問1:火気の扱い方とICT機器とのかかわり

-最近は、マッチをすることができなかったり、火を怖がってアルコールランプを使った実験に取り組むことができなかったりする児童・生徒が増えていると、以前、何かのニュースで読みました(2015年当時)。先生の学校でも、そのような生徒は増えているのでしょうか。

望月先生:4年前(2015年当時)、中学校1年生を教えた際、「ガスバーナーの使い方」においてマッチをすることができない子供がとても多く、小中合同研修会(中学校区の中学校・小学校が合同で研修を実施)で話題にしました。

小学校ではアルコールランプではなく、実験用ガスコンロを使うことが多くなっているため、マッチをする機会がへっているからではないかということでした。

▼実験用ガスコンロhttp://www.rika.com/product/prod_detail1.php?catalog_no=F35-6401

その後、小学校でもマッチを使う機会を増やしてくださったそうで、再度1年生を教えたときには、マッチをすった経験がない子供はほとんどいませんでした。

-そうなのですね。私がこどもの頃は、灯油のストーブにマッチで火を付けるのは普通でした。しかし、最近はエアコンが普及して冷暖房が完備されていますし、子供たちが日常生活でマッチをする場面はなかなかないでしょうね。

学校の授業でアルコールランプなどを使う機会が増えれば、自然と火気の扱いになれることができるからよいですね。

望月先生:ガスバーナーの使い方を説明する際は、タブレットのカメラを使って生徒に撮影してもらいながら行いました。大型テレビに拡大しながら説明できますし、操作しながら自分で撮影することは難しいからです。火気・器具の正しい使い方を知ることが安全につながりますからね。

質問2:薬品とICT機器とのかかわり

-火気同様、薬品の扱いにも危険が伴うことが多いのではないかと思います。薬品の取り扱いについて、望月先生はどのように指導されていますか?

望月先生:教科書のそれぞれの実験で、実験で使う薬品を扱う際の注意点が書かれています。また、実験の際には「まわりの人とぶつからない」ことを常に意識するように指示しています。そのため、実験台に人が移動する、薬品等を運ぶ、というように、1つ1つの「行動を分ける」ことを意識させています。

-周りの人とぶつからないようにしたり、行動を分けたりすることは大事ですね。

望月先生:タブレットなどICT機器と薬品とのかかわりについては、最近特に注意しているところです。実験の最中に薬品がつかないか、もしついた時にそれをさらに手でさわらないか、など。

実験専用のタブレットが必要かもしれませんね。理科のメーカーから出てくるとよいですね。

質問3:デジタルとアナログの使い分けについて

-理科の実験では、

● ICT機器(タブレットなど)を活用したほうがよい実験、
● アナログだけ活用したほうがよい実験、
● 両方を活用したほうがよい実験
があるのではないか、と思います。

-例えば等圧線の実習では、気象データと定規・鉛筆を用意して、等圧線と大気の厚さを作図することによって、大気の起伏(大気が薄い・厚い)がわかるようになるという活動を見たことがあります。

そのあとで、エクセルなど表計算ソフトを利用したら、パソコンで等圧線を作成でき、効果的な気がします。望月先生はどのように、デジタル教材・アナログ教材を使い分けられているのか、教えていただけますか。

望月先生:実験においてICT機器を活用するということと、デジタルとアナログ教材は、分けて考えたほうがよいでしょう。

今回は、実験においてICT機器を活用するということについて。 無理に「機器を使わなくても実験はできる」ので、「ICT機器を活用すると効果的だと思われる」例について話したいと思います。

実験においてICT機器を活用する場合とは、 実験を行うにあたって「困り」がある場合。例えば、

  • 実験前の説明がわかりにくい。器具が小さいため見せられても後ろの子供が見えない場合。
  • 演示実験で指導者がして見せても見えにくい。見えない場合。  などがあります。

-それらについて、具体的にどうしているか教えていただけますか。

望月先生:

・実験前の説明がわかりにくい。器具が小さいため見せられても後ろの子供が見えない場合
・・・タブレットのカメラを使って大型テレビに実際に使う器具を映しながら行っています。場合によっては、その場で写真に撮り、映したまま説明を加えます。

-タブレットならばメモも画面に書き加えられます。電子黒板のような使い方ができるのが便利ですね。

望月先生:

・演示実験で指導者がして見せても見えにくい。見えない場合。
・・・演示実験も同様にカメラで映しながら行っています。場合によっては、子供にカメラ係をお願いしています。(実験操作していると、タブレットを持つことができない)

-なるほど。確かに実験していると、タブレットを同時に持つことはできませんものね。子供たちにカメラ係をしてもらうことで、子供たちの自発性や意欲が高まりそうですね。演示実験にもかかわらず、子供たちも参加する感覚が持てるのはいいな、と思います。

-実験中は、先生は見て回るのが大変ではないですか。

望月先生:実験班は6班なので、ぐるりと見渡せばよいようにその真ん中に立って指示しています。タブレットの映像を無線で投影できるので、その場から大型テレビに映して指示をすることもありますね。

まとめ

-今回のインタビューをまとめると、カメラ機能など、タブレットに必ず盛り込まれている機能を使うと、実験の中で日常的に活用できるのかな? と思いました。

さらに、結果を記入する、実験を録画するなど、ICT機器を理科の実験に活用するメリットは他にもたくさんあると思います。望月先生の「日常的に使うためのポイント」をお聞かせ願いますか。

望月先生:「困り」から始めることだと思います。今回の例だと、それを解決するために活用できるICT機能が、カメラ機能であったということです。

-今回は望月先生が理科の実験で、どのような工夫をされているのか、について伺いました。火気・薬品の取り扱いとICT機器のかかわりなど、幅広くお答えをいただけました。

理科の実験は、アナログだけで行うことができますが、実験を行うにあたって「困り」がある」部分にICT機器を使うと、その「困り」を改善することができる

今回も興味深いお話をありがとうございました。次回は、理科のデジタル教材についてお伺いできればと思います。

>>リブート第13回「デジタル教材「ランダムフラッシュカード」-中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より-」(2月1日公開予定)に続く

Reboot Produced by Yoichiro Mochizuki

参考記事

先導先生 - DiTT(デジタル教科書教材協議会)
※望月先生の45の取組みが紹介されています。

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