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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

【書評】小栗ショウコ、田中聖華『だれも教えてくれなかった 本当は楽しい仕事&子育て両立ガイド』

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女性の就業率はM字型

内閣府男女共同参画府「女性の年齢階級別労働力率の推移」によると、女性の就業率はM字型になっています。昭和50年から平成24年までを見比べると、だんだんM字のカーブがなだらかになっています。 zuhyo01-02-01.gif
出典:内閣府ホームページ (http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html

  • 出産を境にいったん仕事を辞め、子育てに専念する女性が多い
  • 子どもがある程度大きくなると、再び働き始める傾向がある
  • 独身者と既婚者のカーブの差が、年々縮まっている

ことが読み取れます。女性の晩婚化、既婚者は出産を遅らせている傾向が、年々目立つようになっているようです。

仕事と子育ての両立は、本人の努力に加えて、

  • 配偶者など、家族のサポート、
  • 保育園・学童保育などのサポート
  • 近所の人、ママ友などのサポート
  • 行政のサポート

など、様々な要因のバランスが影響します。女性になって悩ましい問題です。

今回、紹介する『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』は、

  • 「赤ちゃんはほしいけど、仕事と育児の両立ができるか不安。まだ、自信がないので妊娠は先延ばしにしている」
  • 「思いがけず赤ちゃんを授かった。仕事を続けたいけど、どうすればいいのかしら」
  • 「育児に専念するために、会社を退職。また働きに出たいけど子どもを預けるところが見つからない」

など、仕事と育児の両立をしたい人、している人に役立つ本です。

『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』で、紹介されている事例

本書では「仕事と子育ての両立」について、著者のお二人が様々な疑問に回答しています。著者は働く女性のためのお迎え付き夜間保育・学童保育所を15年間運営している小栗ショウコさんと、大学でキャリア形成を研究し、自らも子育てをしている田中聖華さんです。

【目次】

  1. 1章 働く女性の現状
  2. 2章 妊娠&出産、職場復帰をスムーズに
  3. 3章 子どもが小学生になったら
  4. 4章 あなただけのキャリアを創っていくために
  5. 5章 親も子もみんなが幸せに

【本書を読むと、わかること】

  • 仕事と子育てを両立するために事前に知っておいた方が良いこと
    (例:「小一の壁・小四の壁」など)
  • 出産前後に何をしたら良いのか、問題と対策法について
    (ありがちな問題例:実家が遠い、子どもの預け先が見つからない、保育園のお迎えに間に合わせない、夫が当てにならない、など)
  • 子どもの成長に合わせた対応の仕方
    (学童保育に預けられる時間帯と年齢の問題、子どものストレス、事故や事件の予防、塾や習い事はどうするか、など)
  • 自分のキャリア形成
    (会社の上司・同僚のサポートを受けるには?、転勤を命じられた時にどうするか、二人目・三人目を妊娠した、夫の仕事の都合で会社をやめないといけなくなった、など)
  • 夫婦でどのように協力していけば良いのか
    (パパも「当事者」になる子育てを目指すには? )

を知ることとができます。

本書から学んだ事

小栗さんによると、仕事と子育ての両立がうまくいった人は、

「Aをするのは難しいけど、Bならできます」と代替え案を自分から提案した点。そして代替え案のほうには、自分のできる限りの能力発揮と仕事への取り組み意欲を示し、実際に気かを出す努力をしたこと。 ※前掲書 p.235より引用

を実践していたそうです。子育て=上司・同僚に迷惑をかけると思うのではなく、できることで貢献するのがよいのですね。

産休・育休に入る前、働いているうちに知っておいた方が良い基本的なことは、以下の4点だそうです。

  • 育休明けに仕事に復帰するために、子どもの預け先を調べておく
  • 仕事復帰後のトラブルや困りごとになりそうなことを調べておく
  • 役所の人と顔見知りになっておく
  • 働くママの話を聞いてみる ※前掲書 p.53より引用

出産をキャリア・ダウンにするのではなく、キャリア・アップのチャンスにする」という意識は、大事ですね。会社で働いているときにはできない勉強する、資格を取るのは、産休・育休中の時間だからできるメリットです。

子どもが保育園に入ったあと、働くママを悩ませるのが、お子さんの発熱です。「病気の時に預かってくれる病児保育を探しておけば大丈夫」と考えがちですが、子どもは病気の時だけ預けられるのでは落ち着けません。

日頃から、家族以外で信頼してお子さんを預けられる第三者を確保?しておく必要があることを知りました。その積み重ねをしておくと、お子さんが反抗期になったときに、お互いに信頼できる子育て支援者のサポートを借りることができるとのこと。参考になりました。

子どもが小学校に入学すると、保育園のように夜まで預かってはくれません。子どもにとっては環境が激変します。母親にとって、時間のやりくりは大きな課題です。

子どものストレス・負担を考えて、「小一の壁」のタイミングで仕事をセーブすると良いことをこの本で知りました。

お子さんが小学四年生になると、学童保育をやめることになります。お子さん自身が自立し始める時期です。家族よりも友だち関係が大きな比重を占め始めるので、子どもが楽しく・リラックスできる状況・環境作りをする必要があります。

交通事故だけでなく、女の子の性被害の予防に気を附ける必要もあります。母親・父親の力だけではどうにもならないときに、塾や習い事のお迎えなどで、日頃からお願いできる仲間・ネットワークを構築しておく大事さも知りました。

また、子どもを保育園に入れた後に転勤を命じられた時は、4つの選択肢が考えられます。

  1. 転勤を待ってもらうように会社に交渉する
  2. 辞令どおりに転勤する
  3. 会社を辞めて転職する
  4. 会社を辞めて起業する ※前掲書 p.193より引用

その時の仕事のキャリアと、子育て・仕事を両立した時の「生涯キャリア」のどちらを大事にしたいのか、で判断すれば良いことを知りました。

お子さんの年齢、理解者・支援者はいるのか、妻が単身赴任した方が良いのか、転職(ふたたび働きに出る)を前提に、いったん会社を辞める選択肢などが考えられます。

自分が心から納得できて、「よし、大丈夫」と思えるものを選ぶと良いようです。その際、仕事に復帰するタイミングは先延ばししないことが肝心とのことでした。

「パパも当事者になる子育て」をしておくと、働く女性が転勤を命じられたり、育児休暇を終えて職場復帰したいときも、子どものストレスが少ない状態でキャリアの継続が可能になります。

パパ(もしくはママ)は「手伝うよ」ではなく、主体的に家事・育児に関わる意識を持つと、家族の絆を深めて笑顔でいられるのですね。

おわりに

  1. 家庭生活よりも、キャリアを重視したいのか、
  2. 仕事も家庭も同じくらいのバランスで大事にしたいのか、
  3. 仕事よりも、家庭生活を重視したいのか、

自分にとって大事なことは何か、知っておくことも大切です。そうすると、自分だけが我慢したり、重荷を背負わないで生きていくことができるのではないでしょうか。

自分の心が納得している生活を送ると、「今、何をしたらよいのか」「何を優先したら良いのか」など、判断をしていくことができます。 信頼できる支援者・協力者を探し、関係を創っていくことができます。

働く女性たちに、本書の情報が役立つことを願っています。

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