AIに仕事が奪われる?その時、あなたの「営業」は生き残れますか?
「お客様の成功こそが、私たちの成功である」
その信念を胸に、日々ビジネスの最前線で価値を創造されている営業の皆さんは、沢山いらっしゃるはずです。お客様のビジネスが成長していく様を共に喜び、深い信頼関係を築けた瞬間にこそ、この仕事の醍醐味と誇りを感じることができるのです。
しかし、その一方で、こんな風に感じたことはありませんか?
「一生懸命説明しても、お客様の反応が薄い...」 「『その情報なら、もうネットで見ましたよ』と言われてしまった...」 「提案が、他社と似たり寄ったりになってしまい、価格競争に陥りがちだ...」
もし、少しでも心当たりがあるなら、それはあなた個人のスキルだけの問題ではないかもしれません。今、営業という仕事の「前提」そのものが、地殻変動を起こしているからです。
かつての価値の源泉「情報格差」の時代
かつて営業の仕事は、自社の製品やサービス、そして関連する技術情報を、誰よりも早く、そして詳しくお客様にお届けすることに大きな価値がありました。
インターネットが普及する前、お客様が新しい情報を手に入れる手段は限られていました。だからこそ、営業担当者がもたらすカタログや専門知識は、お客様にとって非常に貴重であり、営業とお客様との間には明確な「情報格差」が存在したのです。この格差を埋めることこそが、お客様からの信頼を獲得し、受注へと繋がる王道でした。
「ソリューション営業」への移行と、その限界
しかし、インターネットの登場がすべてを変えました。お客様は、知りたい情報をいつでも自分で手に入れられるようになり、営業との情報格差は一気に縮まります。単なる情報提供だけでは、営業は価値を発揮できなくなりました。
そこで登場したのが「ソリューション営業」です。
「この製品をどこかに使えませんか?」というプロダクト起点の提案ではなく、「お客様の業務課題は何ですか?その解決のために、私たちの製品やサービスをこう活用できます」と、お客様の課題を起点に解決策(ソリューション)を提案するスタイルです。これは大きな進化であり、多くの営業がこのスタイルへと転換を図ってきました。
しかし、その「ソリューション」も、今やコモディティ化(均質化)の波にさらされています。お客様が抱える課題は、突き詰めれば共通する部分も多く、解決策はどうしてもパターン化していきます。かつては斬新だったはずのソリューションが、いつしか競合他社も同じように提案するようになり、「解決策」そのものがパッケージ化された「製品」のようになってしまいました。
本来、お客様一人ひとりの固有の課題に深く寄り添うはずだったソリューション営業は、形骸化し、結局は「どの製品を売るか」というプロダクト営業に先祖返りしてしまっているケースも少なくありません。
そして、「知知能のコストがゼロになる」未来がやってくる
そして今、その「ソリューション」という概念さえも根底から覆す、大きな変化の波が押し寄せています。それが、生成AIの台頭です。
経済学の世界では「知能のコストが限りなくゼロに近づく」と言われています。かつてコンピューターが「計算」のコストをゼロに近づけて世界を変えたように、AIは「予測」や「知的創造」にかかるコストを劇的に下げています。
これが、営業の仕事に何を意味するのか?
それは、お客様自身が、自分たちの力で最適なソリューションを組み上げられるようになるということです。
AIに自社の課題をインプットすれば、最適な解決策のシナリオを複数提案してくれる。さらには、クラウドサービスとAIを組み合わせることで、必要なシステムの開発さえも自社で完結できてしまう。そんな未来は、もうすぐそこまで来ています。
この変化の潮流は、もはや無視できるものではありません。お客様が自ら答えを導き出せる時代において、旧来の営業スタイルは、その価値の源泉を根本から失うことになるのです。それは数年先といった悠長な話ではなく、今まさに私たちの目の前で起きている現実です。
生き残る営業の新たな役割「脚本家」であり「プロデューサー」
では、営業という仕事は、本当になくなってしまうのでしょうか? いいえ、私はそうは思いません。むしろ、AI時代だからこそ価値を発揮できる、全く新しい役割が生まれてくると考えています。
それは、お客様のビジネスモデルや業務プロセスの変革を構想する「脚本家」であり、その実現を成功に導く「プロデューサー」としての役割です。
AIは、膨大なデータから最適な「予測」を導き出すことは得意ですが、その予測を受け、リスクを取って「判断」し、関係者を巻き込みながら「行動」に移すことはできません。また、お客様自身さえ気づいていない潜在的な課題や、業界の常識を覆すような新しいビジネスの可能性を発見することも、今のAIには困難です。
これからの営業に求められるのは、まさにこの部分です。
例えば、業界の規制緩和を捉え、AIを活用した新たなサブスクリプション事業を顧客と共に立ち上げる。あるいは、サプライチェーン全体のデータを分析し、これまで不可能だったレベルでの効率化シナリオを描き、その実現をリードする。そんなプロデューサーとしての能力が求められるのです。
「受注」と「売上」という営業のミッションを果たすためには、もはやこのような能力が不可欠となります。
予測不可能な時代を勝ち抜くための「視点」
このような「脚本家」や「プロデューサー」になるためには、何が必要でしょうか。
それは、ITやテクノロジーの最新動向を単なる知識として知っているだけでなく、「その技術が、ビジネスをどう変えるのか」「お客様の未来にどう貢献できるのか」という視点で常に考え続けることです。
私たちは今、変化が激しく、将来の予測が極めて困難な「VUCAの時代」を生きています。完璧な未来予測など誰にもできません。だからこそ、変化の兆候をいち早く察知し、学び、行動を修正していく「しなやかな適応能力」が、これまで以上に重要になるのです。
お客様の未来を共に描き、その変革をリードするパートナーとなる。 それこそが、AI時代に営業が提供できる、最高の価値ではないでしょうか。
このような時代の変化に対応し、未来のビジネスをリードする「視点」と「知識」を身につけたいとお考えの方へ。
私たちが主宰する「ITソリューション塾・第50期」では、まさに今、ビジネスの世界で起きている地殻変動の本質を解き明かし、テクノロジーとビジネスを結びつけて考えるための実践的な知見を提供しています。
お客様の未来を描く『脚本家』へ。変革を成功に導く『プロデューサー』へ。次の時代の営業に不可欠な羅針盤を手に入れ、自らの市場価値を再定義しませんか?
次期「ITソリューション塾・第50期」は、10月8日(水)より開講します。
未来を見通すための学びの場で、皆様とお会いできることを楽しみにしています。
次のような皆さんには、お役に立つはずです。
・SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
・ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
・デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
・IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
・デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
詳しくはこちらをご覧下さい。
期間:2025年10月8日(水)~最終回12月17日(水) 全10回+特別補講
時間:毎週 水曜日18:30~20:30の2時間
方法:オンライン(Zoom) リアルタイムと録画で配信
費用:90,000円(税込み 99,000円)
内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- ITの前提となるクラウド・ネイティブ
- ビジネス基盤となったIoT
- 既存の常識の書き換え前提を再定義するAI
- コンピューティングの常識を転換する量子コンピュータ
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- 【特別講師】クラウド/DevOpsの実践
- 【特別講師】アジャイルの実践とアジャイルワーク
- 【特別講師】経営のためのセキュリティの基礎と本質
- 総括・これからのITビジネス戦略
- 【特別講師】トヨタコネクテッドの生成AI戦略(仮題)
*「すぐに参加を確定できないが、参加の意向はある」という方は、まずはメールでご一報ください。事前に参加枠を確保します。決定致しましたらお知らせください。
8月8日!新著・「システムインテグレーション革命」出版!
AI前提の世の中になろうとしている今、SIビジネスもまたAI前提に舵を切らなくてはなりません。しかし、どこに向かって、どのように舵を切ればいいのでしょうか。
本書は、「システムインテグレーション崩壊」、「システムインテグレーション再生の戦略」に続く第三弾としてとして。AIの大波を乗り越えるシナリオを描いています。是非、手に取ってご覧下さい。
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