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モノのサービス化とは何か 5/5

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「モノのサービス化」とは何か、なぜいま注目されているのかを、5回に分けて解説。今回はその最終回です。前回は、「モノのサービス化」もたらす未来について解説しました。最終回は、「モノのサービス化」の本質とデータとの関係を掘り下げてみようと思います。

「モノのサービス化」の本質はデータの種類と使い方にある

「モノのサービス化」が注目されるようになったのは、インターネットの普及を背景に、Web、モバイル、IoTといった世の中の「ものごと」や「できごと」をデジタル・データとして捉えるためのデジタル接点が爆発的に増加し、データの取得頻度も上がったことが背景にあります。このデジタル接点とデータの取得頻度の増加により、人の行動を高解像度で捉えられるようになりました。

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インターネットが普及する以前は、モノを利用する人、すなわちユーザーの属性データを取得することが精一杯でした。属性データとは、例えば、「女性・20代・独身・事務職・手芸が好き・・・」のような、性別・年代・結婚・職業などの静的データのことです。企業は、この属性データに基づいて、ユーザー個人の属性に応じて最適化された機能・性能・品質の商品を提供することで、収益を得てきました。つまり、属性を調査し、その属性の個人が何に魅力を感じるかを考え、それにふさわしい商品を開発、製造、販売してきたのです。

その後、デジタル接点とデータの取得頻度の劇的な増加により、この状況は、大きく変わり、ユーザーの行動データがきめ細かく、しかもリアルタイムに手に入る時代になりました。行動データとは、「競技場・夏の夕方・サッカー観戦・勝利の喜び・・・」のような、場所・時間・体験・感情などの動的なデータのことで、ユーザー個人の「状況を捉えるデータ」と言い換えることができます。つまり、状況に応じて最適化された感動・楽しさ・共感などを生みだす情報や機会、エンターテインメントなどのサービスを提供することをで、収益を得ることができるようになったのです。さらには、これらデータを積み上げ、分析することで、主義主張・人生観・価値観・悩み・生活圏など、より深い個人の理解もできるようになったのです。

属性は共通でも、状況に応じて、人の興味や関心は変わり、求めることも変わります。それをリアルタイムな状況の把握と、個人についての深い理解を駆使して、状況に応じた最適なコトをサービスとして提供することができるようになりました。

ユーザーがモノを買うのは、そのモノを使うことで、何らかの便益を手に入れるためです。しかし、ものを買わなくても、状況に応じた最適な便益が手に入るのであれば、モノを買う必要はなくなります。もちろん便益を得るためには、モノを使う必要があるわけですが、そ買うことなく借りて使うことができれば、そのほうが効率的であり、なによりも状況に応じて最適なモノが使えるとすれば、そちらの方が魅力的だと感じる人は多いのではないでしょうか。このような背景が、「モノのサービス化」への流れを後押ししていると言えるでしょう。

多接点×高頻度な行動データから高解像度な状況を把握し、状況に応じた最適なサービスをユーザーに提供します。また、先に述べたようにサービスはソフトウエアによって実装されますから、行動データからのフィードバックをうけて、高速に改善を繰り返すことで、顧客にとって魅力的な体験/UXを提供し続けることができ、それが「モノのサービス化」を事業として成り立たせることになるのです。

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属性データに基づき個人の属性を理解し、これに最適化された魅力的なモノ/商品を提供し、その販売代金を得るビジネスから、行動データに基づきその時々の状況を理解し、これに最適化された魅力的な体験を提供するビジネスへと変わります。これをモノ/商品の対価、すなわち販売代金として個別に得ることは難しく、サブスクリプション(月額定額)や従量課金などの継続的な収益獲得の手段を使うことになります。

ただ、現実にはIoTやモバイルなどの普及で、状況を理解するための行動データを取得できるようになったにもかかわらず、それを活かすことなく相変わらずそこから属性を捉えモノ/商品を作ろうとするやり方も見受けられます。それに意味がない訳ではありませんが、それでは、行動データの持つ価値を十分に生かし切れているとは言えません。

行動データから状況を把握し、その状況に最適化された魅力的なUX/体験価値を提供し、継続的な収益を確保する

そんなビジネスの仕組みを作ることが、「モノのサービス化」の本質と言えるのでしょう。

*** 連載終了

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