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モノのサービス化とは何か 4/5

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「モノのサービス化」とは何か、なぜいま注目されているのかを、5回に分けて解説。今回はその第4回目です。前回は、「モノのサービス化」がすすむ世の中で、自動車あるいは移動にかかわるビジネスが、どのような事業を展開しようとしているのかを整理しましたが、今回は、「モノのサービス化」が行き着く未来について考えます。

「モノのサービス化」の行き先

既存製品のレンタルを「モノのサービス化」と考えるとすれば、それは極めて表層的な理解に留まります。これまで説明したとおり、「モノのサービス化」は、産業構造の根本的な転換をもたらす変革と言えるでしょう。

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文明批評家のジェレミー・リフキンは、その著書「限界費用ゼロ社会」の中で、経済パラダイムの大転換が進行しつつあると述べています。

彼は、これまでの歴史を振り返り、過去の産業革命は、3つの分野でのイノベーションによって生みだされたとしています。

  • 経済活動をより効率的に管理する新しいコミュニケーション・テクノロジー
  • 経済活動により効率的に動力を提供する新しいエネルギー源
  • 経済活動をより効率的に動かす新しい輸送手段

テクノロジーの発展により、これらの効率性や生産性が極限にまで高まり、モノやサービスを生み出すコスト(限界費用)は限りなくゼロに近づくと予見しています。そして、将来モノやサービスは無料になるとものべています。それに代わり、人々が協働でモノやサービスを生産し、共有し、管理する共有型経済(シェアリング・エコノミー)が拡がり、新しい社会が実現するというのです。

このような社会が数年のうちに実現する事はありませんが、確実にその方向に向かってゆくことは確かでしょう。事実、私たちは、音楽を楽しむために楽曲が数曲納められたレコードやCDを何千円も払って購入していましたが、いまでは、SpotifyApple Musicに月額数百円を支払えば、膨大な楽曲を聴き放題です。私たちは、そんな「限界費用ゼロ社会」の到来を見越してビジネスのあり方を模索してゆかなければなりません。

「モノのサービス化」が、もたらそうとしている変革は、まさにリフキンが予言する「限界費用ゼロ社会」へと向かっているのかも知れません。

*** 明日に続く

【募集開始】第35期 ITソリューション塾

オンライン(ライブと録画)でもご参加いただけます。

ITソリューション塾・第35期(10月7日開講)の募集を開始しました。

新型コロナ・ウイルスは、肺に感染するよりも多くの人の意識に感染し、私たちの考え方や行動を変えつつあります。パンデミックが終息しても、元には戻ることはありません。私たちの日常は大きく変わり、働き方もビジネスも変わってしまうでしょう。これまでの正解は、これからの正解と同じではありません。ならば、事業戦略も求められるスキルも変わらざるを得えません。

本塾では、そんな「これから」のITやビジネスのトレンドを考え、分かりやすく整理してゆこうと思います。

特別講師

この塾では、知識だけではなく実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。

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  • アジャイル開発とDevOpsの実践
    • 戦略スタッフ・サービス 代表取締役 戸田孝一郎 氏
  • 日本のIT産業のマーケティングの現状と"近"未来
    • シンフォニーマーケティング 代表取締役 庭山一郎 氏
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略
    • 日本マイクロソフト CSO  河野省二

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  • 日程 初回・2020年10月7日(水)~最終回・12月16日(水)
  • 毎週18:30~20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 100名
  • 会場 オンライン(ライブと録画)および、会場(東京・市ヶ谷)
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)
    • PCやスマホからオンラインでライブ&動画にて、ご参加頂けます。
    • 資料・教材(パワーポイント)はロイヤリティフリーにて差し上げます。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【8月度のコンテンツを更新しました】
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新規プレゼンテーション・パッケージを充実させました!
・「新入社員研修のための最新ITトレンド研修」の改訂
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新入社員研修
【改訂】新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス・8月版
講義・研修パッケージ
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとこれからのビジネス*講義時間:2時間程度
> 自動車関連製造業向けの研修パッケージ
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【改訂】総集編 2020年8月版・最新の資料を反映(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画 第34期版に差し替え
>これからのビジネス戦略
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ビジネス戦略編
【改訂】デジタルとフィジカル p.9
【改訂】イノベーションとインベンションの違い p.10
【新規】DXを支えるテクノロジー p.18
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【新規】「モノのサービス化」の構造 p.46
【改訂】ビジネス価値の比較
【新規】ビジネス価値のシフト p.48
【新規】自動車/移動ビジネスの3つの戦略 p.49
【新規】ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用 p.137
【新規】ナレッジワーカーの本質は創造的な仕事と主体性 p.138
【新規】コンテクスト文化から考えるリモートワーク p.139
【新規】リモートワーク成功の3要件 p.140

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【改訂】IoTの定義とビジネス p.15

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】ニューラル・ネットワークの仕組み p.68

クラウド・コンピューティング編
【改訂】クラウドに吸収されるITビジネス p.106
【新規】クラウド・ネイティブへのシフトが加速する p.107

開発と運用編
【改訂】開発の自動化とは p.94
【新規】ノー・コード/ロー・コード/プロ・コード p.95
【新規】ローコード開発ツール p.96
【新規】ローコード開発ツール p.97
【新規】ローコード開発ツールの 基本的な構造 p.98

下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 テクノロジー・トピックス編
 ITインフラとプラットフォーム編
 サービス&アプリケーション・基本編

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