転職してインドの会社に入ってみたらとんでもなく凄かった話
正直、転職を決めるまでは半信半疑だった。
「インドのIT企業」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのは「コスト削減のためのオフショア開発拠点」というイメージ。日本の取引先からシステムの一部を安く請け負う会社、というくらいの認識しかなかった。
でも実際にHCLTechという会社に入ってみて、その考えは完全に覆された。今回はその衝撃を、直近の四半期決算(2027年度第1四半期、2026年6月30日締め)の数字を交えながら書いていきたい。
数字を見て単純に「え、そんなに?」となった
入社してまず驚いたのが、AI関連事業の売上規模だった。
「先進AI(Advanced AI)」と呼ばれる事業領域だけで、四半期売上が1億7,100万ドル。日本円にすると250億円規模の売上が、たった3ヶ月で、しかも「AI」という一事業領域だけで生まれている計算になる。
さらに衝撃だったのは伸び率だ。前四半期比で10.6%増、そして前年同期比では62.1%増(恒常通貨ベース)。一般的な事業で年60%以上の成長というのはなかなか聞かない数字で、これがまさに「今、この会社の中で一番熱い場所」なんだと肌で感じた。
会社全体で見ても、四半期の新規受注額(純新規受注)は24億ドルと、第1四半期としては過去最高を記録したらしい。CEOのC Vijayakumar氏のコメントも印象的だった。
企業がAI主導の変革をリードするパートナーとして自分たちを選んでいる、その証拠がこの数字だ
というような趣旨のことを語っていて、単なる「安く発注される下請け企業」というポジションから完全に脱却しているんだな、というのを実感した瞬間だった。
AIの「開発」がとにかく止まらない
もう一つ驚いたのが、AIをただの「バズワード」として掲げているのではなく、実際の開発・実装が凄まじいスピードで進んでいることだ。
社内で使われている「AI Force」というプラットフォームは、ソフトウェア開発のライフサイクル全体にAIを組み込む取り組みで、農業科学、自動車、医療テクノロジーなど、業界を横断した大型プロジェクトで既に本格活用されている。
さらに「Physical AI」という、AIをリアルな現場に持ち込む取り組みも進行中で、
- VisionX:グローバル製薬企業の品質検査工程をAIで刷新
- TraceX:医療テクノロジー企業の資産・在庫管理をAIで変革
- 欧州の自律走行ロボットメーカー向けに、次世代ナビゲーションスタックを開発
といったプロジェクトが同時並行で走っている。「AI」と一口に言っても、ソフトウェアの中だけでなく、工場や物流、ロボティクスといった物理的な現場にまでどんどん染み出しているのを見て、この会社の本気度を思い知らされた。
契約規模もえげつない。あるグローバルテクノロジー大手とは、最新GPUを活用したAIデータセンター構築で1億8,000万ドル超の増額契約を締結。米国の半導体大手とは、次世代車両向けのAIチップ開発の契約まで結んでいる。もう、AIをめぐる「投資」ではなく「実装」のフェーズに完全に入っている感覚がある。
会社全体としても地に足がついている
派手なAIの話だけでなく、会社の基礎体力もしっかりしているのが良い意味で意外だった。
- 売上高:前年同期比13.9%増
- 純利益:前年同期比20.3%増
- ROIC(投下資本利益率):直近12ヶ月で40.7%
- キャッシュフロー体質も良好で、営業キャッシュフローが純利益の111%
数字が苦手な人でも、「ちゃんと儲かっていて、しかも現金もきちんと回っている会社」というのは伝わると思う。AI一本足打法ではなく、金融、製造業、公共サービスなど幅広い業界で堅実に事業を伸ばしているのも安心材料だった。
転職してみて感じたこと
正直なところ、「インドのIT企業」という先入観だけで判断していたら、絶対に出会えなかった景色がここにはあった。
- AI事業だけで四半期250億円規模、しかも前年比62%成長
- ソフトウェアだけでなく、工場・物流・ロボティクスといったリアルな現場にまでAI実装が広がっている
- それを支える財務基盤もしっかりしている
「AIで世界を変える」なんて謳い文句はどの会社でも聞くけど、実際に数字と契約実績でそれを裏付けられる会社は、そう多くないと思う。今、まさにその渦中に自分がいるんだと思うと、正直ちょっと興奮している。
これからも、この会社でAIの最前線がどう動いていくのか、体験したことを発信していきたい。