スピーチが苦手な人々に送るワンポイントアドバイス
(イラスト:うさぎや)
さて、ようやく長い参議院選挙が終わりました。
この間、街角やメディア、SNSなどでいやおなしにたくさんの演説を耳にすることになりました。
そこで感じるのは、相変わらず政治家の皆さんは演説がうまくないなあということです。
たしかに話している内容はともかくとしても演説がうまい人も増えてきましたが、まだまだ少数派に過ぎません。
そこで社用にも使えるスピーチワンポイントアドバイスをご紹介しましょう。
1.原稿を思い出しながら話さない
原稿を見ないでスピーチする人にも2種類のタイプがあります。ひとつは完全に原稿内容が頭に入っている状態で語る人と、原稿を思い出しながら語る人です。これは共に原稿を見ないスタイルとはいえ、似て非なるものです。
原稿内容が完全に頭に入っている人は、スピーチする場で言葉を"作る"ことが出来ます。したがって、多少間違っても修正や変更が可能です。また、話している最中に思いついた話を付け加えることも出来ます。このようなスピーチスタイルは、より多くの人に共感を与えることが出来るでしょう。
一方、原稿を思い出しながら語る人は、一言一句間違いなく語ったとしても、聴衆には「頑張って覚えて来たな」という印象しか残りません。当然ながら、言葉が聴衆に響くことも難しいでしょう。これなら、原稿を手にしっかり読んだ方が良いかもしれません。
2.流暢すぎない話し方もあり
意外に思われるかもしれませんが、流れるがごとく流暢に話す事とそのメッセージが聴衆の心に響くことは別の話です。これは中途半端にアナウンス技術の訓練をした人に起こりやすいことですが、滑舌もよく声もきれいに響いているスピーチなのにメッセージの熱意が伝わらないことが多々あります。これは、アナウンス技術とは言葉を正確に伝える技術であって感情を伝える技術ではないからです。
今回も複数の元アナウンサー系候補者の演説を聞きましたが、たしかにきれいには語っておられましたが、強いメッセージは伝わってきませんでした。
本物の一流アナウンサーは、通常のアナウンス技術だけでなく、それを超えた技能を持っているのです。
3.語句の頭(最初の音)を強調する
これは誰でもできる最も簡単なスピーチ上達方法です。それは、言葉の頭を立てる、つまり強調するということです。
例えば、「どうぞよろしくお願い致します」というセンテンスを考えます。
ひらがなで分解すると、以下のようになります。
ど う ぞ/よ ろ し く/お ね が い/い た し ま す
語句の頭を立てるには、太字部分を強調する必要があります。
ど う ぞ/よ ろ し く/お ね が い/い た し ま す
これだけでまったく印象がかわります。
これをしないで平坦に語ってしまったり、語尾を上げて強調しても聴衆にメッセージは伝わりません。
ぜひ、試してみてください。
4.母音を抑える
言葉の発声は、子音と母音で成り立っています。たとえば、「か」なら子音は"か"、母音は"あ"となります。
一例として、カ行をすべて上げると次のようになります(赤字が母音)。
かあ きい くう けえ こお
言葉の表現はこの母音の強弱により大きく印象が変わります。母音を抑え込んだ方が、より正確に強く嘲聴衆の心に刺さります。
例えば上の例で言うと、
どうぞお よろしくう おねがい いたしますう
のように母音が強調されてしまうと、どんなに大きな声でも頼りなく弱々しいものに聞こえます。
これは案外多くの人が陥ってる現象でもあります。ぜひ確かめてみてください。
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