オルタナティブ・ブログ > 色々やってる社長のブログ >

我が国は現在、閉塞感が漂っているとよく言われていますが、実は、よく観察すると、新しいビジネスチャンスがあふれかえっています。それを見つけて、成功させるコツとヒントをご紹介します。

昭和のヒーローは孤独だった。しかし今は継承と共感の時代へ。

»


昭和ヒーロー1.JPG

昭和のヒーローは孤独でした。しかし今は、継承と共感の時代へと変わってきています。

ヒーローはいつの時代も、その時代が求める姿を映し出してきました。かつては、孤独に戦い、己を犠牲にして使命を全うすることが「かっこよさ」の象徴でした。しかし、今のヒーローは違います。支える人たちがいて、想いを託す相手がいて、迷いながらも共に歩む姿が描かれています。令和のヒーロー像は、人との関係性のなかで育ち、戦う存在なのです。

昭和のヒーローたちはとにかく孤独でした。「ウルトラセブン」は地球での任務を終えると傷つき静かに去っていきました。「昭和仮面ライダー」は改造人間としての宿命を背負い、人知れず戦い続けました。彼らは誰にも理解されず、誰にも頼らないことが美学とされていたのです。それがまさに「ザ・日本人」のヒーロー観でした。黙って語らず、背中で語り、役割を全うする。感情よりも行動を、対話よりも責任を重んじる時代でした。

しかし時代は変わりました。今のヒーローは誰かから学び、誰かに託し、誰かと共に歩む存在となっています。「ウルトラマンZ」はゼロの弟子として登場し、悩みながら成長していく等身大のヒーローが描かれています。「仮面ライダーリバイス」では家族の絆が戦いの根幹となり、兄弟ライダーという新しい形が示されました。「ウルトラマンブレーザー」では育児経験のある上司との信頼関係が物語の軸になっています。このように「師弟」「家族」「仲間」といった関係性が色濃く描かれているのです。つまり、ヒーローはもはや孤高ではなく、関係性の中で完成する存在となったのです。

そんな時代の変化のなかで特に象徴的なのが「ウルトラマンゼロ」です。彼は昭和の孤高の戦士、「ウルトラセブン」の息子として誕生しました。若き日は傲慢で無鉄砲な性格でしたが、師であるウルトラマンレオとの修行や敗北を経て真の戦士へと成長しました。そして自らが師匠となり、「Z」という弟子を導く立場に変わったのです。ちなみにレオの師匠はセブンです。つまり、三代にわたる師弟関係を繋いだゼロは、昭和の精神と令和の優しさを兼ね備えたヒーローと言えます。

父を乗り越え、弟子に継ぐ。孤独を知るからこそ手を差し伸べることができる。それが現代のヒーローに求められている姿なのでしょう。

この変化は作品側だけの都合ではありません。私たち、視聴者の価値観が変わったのです。視聴者が子どもだけでなく親子や大人も一緒に楽しむようになり、SNSの普及で誰かと常に繋がっている時代になりました。昭和のように「黙って頑張れ」が通じにくい社会になったからです。今求められるのは共感できるヒーローです。完璧でなくてもよく、迷ってもよく、誰かに支えられてもいいのです。

昭和のヒーローは黙って背中で語って去っていきました。令和のヒーローは迷いながらも声をかけ、共に立ち上がります。ヒーローが変わったのではなく、私たちの孤独の捉え方が変わったのです。そして今、ウルトラマンゼロのような「継ぐ者」が現れたことは、私たちがもう一度関係性の意味を取り戻そうとしている証かもしれません。

Comment(0)