膝にやさしい楽々ウォーキング法 ~スピードハイカーがたどり着いた「膝を守る歩き方」
実は、私は登山をします。
コロナ禍の頃、ある知人に勧められて六甲山に登ったのが最初でした。
それからもう、5年以上が経ちました。
といっても、私の登山スタイルは少し特殊です。
一般登山者の2倍以上のスピードで歩く「スピードハイカー」スタイル。
一般的なスピードハイカーは軽量装備で登りますが、
私は通常の登山装備を背負ったままスピード登山を行うという、少し稀なタイプです。
一言で言えば、登山道を"走るように歩く"スタイル。
その分、体には大きな負担がかかります。
登山最大の敵――「膝の故障」
このスタイルの最大の課題は「故障」です。
膝、足首、腰......どこかが常に悲鳴を上げます。
中でも、もっとも負担が集中するのが膝。
多くのウォーカーやハイカーが一度は悩まされる部位でしょう。
もちろん、私も例外ではありません。
何度も膝を痛め、登れなくなったことがあります。
しかし諦めず、何度も修正と試行を繰り返しました。
そしてようやくたどり着いたのが、「膝にやさしい歩き方」です。
六甲全縦走で見つけた「膝を守るコツ」
きっかけは、登山を始めて間もない頃に参加した
「六甲全縦走大会」(距離40km以上・累積標高3000m超)でした。
大会前から膝の状態は最悪。
一歩下るたびに激痛が走り、途中でリタイアを覚悟しました。
しかし、痛みをごまかしながら歩を進めているうちに、
偶然にも膝がラクになる歩き方をつかんだのです。
その感覚を頼りに最後まで歩ききり、時間はかかったものの無事完走。
この経験が「膝を守る歩行理論」の原点になりました。
膝にやさしい歩き方 ― 3つのポイント ―
1.膝を使わないで歩く
多くの人は「歩く=膝を動かす」と思いがちです。
しかし、膝は動かしすぎるから痛むのです。
膝関節は前後方向の動きしか得意ではなく、
ねじれや衝撃に弱い構造をしています。
だからこそ、「膝を曲げる意識を減らす」ことが重要。
階段を上るときも、膝ではなくお尻(大臀筋)を意識しましょう。
それだけで、力の流れが変わり、膝への負担が激減します。
2.股関節で歩く
膝を使わないかわりに、股関節を主役にする。
太ももの付け根を「前に出す」「引く」意識で歩くと、
自然に膝の動きが抑えられ、痛みが出にくくなります。
また、この時、歩幅もやや広めに取るようにしましょう。
股関節まわりの大きな筋肉(大腿四頭筋・大臀筋)が動作を支え、
膝という小さな関節に頼らずに済むようになるのです。
特に下山時や長い林道歩きでは、この差が大きく出ます。
膝を曲げて衝撃を吸収するより、股関節で歩幅をコントロールする方が
ずっとラクで、疲れにくい歩行になります。
3.背筋を伸ばすほど膝はラクになる
もうひとつのポイントは姿勢。
背筋を伸ばして歩くと、体の重心が上に引き上げられ、
膝への圧力が軽くなります。
逆に、猫背や前傾姿勢だと体重が前方に流れ、
膝関節に過剰なストレスがかかります。
私は登山中でも、背筋を意識して
「糸で吊られているように」あるいは「軽くのけぞるように」歩くことがあります。
すると、長距離でも膝が痛くなりません。
姿勢が整うことで見た目も美しくなり、一石二鳥です。
まとめ
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膝を使わない
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股関節で歩く
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背筋を伸ばす
たったこれだけで、歩き方は劇的に変わります。
膝痛でウォーキングを諦めた人も、
もう一度「歩くことの楽しさ」を取り戻せるかもしれません。
私自身、この方法で再び山を駆け登ることができるようになりました。
スピードハイカーでも、一般ウォーカーでも、
膝にやさしい歩き方は、誰にとっても最強の長く続けられる秘訣です。