ファーストキャリアの選び方①~会社選びの視点を変える
先日ケンブリッジでサマーインターンをやってみた。
来てくれた学生たちは超絶優秀だった。最近の学生は本当に凄い・・・。
今回は、ケンブリッジが通常のビジネスでやる「短期集中ワークショップのスタイル」で、ケンブリッジに対して改善提案を作ってもらった。僕らは学生さん達と一緒に改善策を作る。極力皆さんの自主性に任せて、検討の難所やチーム内で意見対立が起こった時に介入するスタイルだ。
通常のプロジェクトでも、同じ様にやるシーンが多い。一領域を数人のコンサルタントに任せて、プロジェクトマネージャーは難しい議論の方向付け、意見対立の解消などをする。もちろんガッツリプロジェクトマネージャーがリードすることもあるけど。
集中討議のようなスタイルで5日間。ケンブリッジの課題解決をお願いしたわけだけど、4つのチームから提案をもらい、
・2つは即採用。
・1つ採用はトライアルで運用開始。
・1つは部分採用になった。
どれも素晴らしい提案で、正直こんなに採用になると思ってなかった。うーん。学生すごい。
彼らと5日間を共にして本当に多くの気付きがあった。彼らの優秀さと前向きさに、ある種の感動を覚えるくらい。お世辞抜きに彼らの可能性は無限なのだと思った。一方で「会社の選び方」や会社を選んだ後の「仕事との向き合い方」を間違えると、その可能性が途端に閉ざされてしまう。持っている可能性が大きいだけに、今後の進路を大事にして欲しい。
だから少しでもヒントになるように、「会社選び+入社してからの仕事」について、僕の考えを整理してみたい。色々書いたら4本の記事になってしまった。年を取ると話がくどくなる(笑
毎日一本ずつ公開する。
第1回:会社選びの視点を変える
第2回:入社後に向き合うべき3つのステージ
第3回:会社選びの7つの基準
第4回:環境×マインドで伸び方が決まる
完全に僕の私見であり、色々偏っているがご了承いただきたい。また「企業に入社する」ことをある程度前提にして書いている。他にも無数に選択肢はあるが、総花的な話になってしまうので一旦絞って書く。他の選択肢に照らしても共通する部分は多いと思うけれど。さて、中身に入ろう。
「正解を探す」のではなく、「腹を括る」
当たり前だが、会社選びに100%の正解はない。
正解を追い求めようとすると、いつまで経っても後ろ髪を引かれ続ける事になる。「もっといい会社があるかも」「やりたい事は本当にこれなんだろうか?」なんて考え続けても答えはない。そして、どこか後ろ向き社会人生活が始まる。あっちの会社だったらどうだったかな・・・。選び間違えたかも・・・。なんて考えても意味はないのに。
繰り返すが「正解」はない。その時点で「納得」いく会社を選び、自分で「意味付け」をし、そこで得られる経験を「最大限活かし」ていくしかない。
会社選びだけではない。社会に出ると一事が万事こうなる。どんな時も絶対的な正解は存在しない。ある程度の不確実性を飲み込み、腹を括って決断するしかない。
これが上手く出来るかどうかで、その後が大きく変わる。
では、どうやったら腹が括れるのか?
よく言われるのは「自分のやりたいこと、特性を見極めろ」という話だ。確かにやりたい事が見極められたら、会社選びも苦労しないだろう。でもちょっと待ってもらいたい。
働いてもいないのに、自分の方向性を決めつけるのは危険
よっぽど確かな確信があるなら別だが、人生100年時代と言われているなか「一生弁護士で食っていきます」「一生この企業で勤め上げます」というのはだいぶ勇気がいるだろう。
でも、考えろと言われるから考える。「やりたい事はなにか?」「強みはなにか?」。実際、よく考えている学生は、自分のやりたいことを見つけている人が多い。例えばこんな学生だ。一見しっかり考えていそうに見える。
「俺は建築が好きなんですよ。図面作ってそれが形になるのってかなり楽しいんですよね。頭の中で構成したものが目の前で形になる。平面ではなく立体で考えることも好きだし。
アウトプットが見えない、触れないのはちょっと苦手です。例えば教育やら、金融やらは性に合わないんですよ。興味もありません。だから建築なんです!建築は人の人生に欠かせないものだし、そういう形で誰かの幸せに貢献できるのは嬉しいです。
同じ事をしていても、それを取り囲む建築一つで全然違う体験になる。人を包み込む空間をコントロールすることで、大きな影響を与えられる仕事は素晴らしいですよね。建築が最高に楽しい仕事だと思います。」
・・・何を隠そう、これは15年前の僕だ。
当時はかなりの確信を持って、建築屋がやりたい事だと思っていた。今はどうかというと・・・建築からすっぱり足を洗い、全く畑違いの仕事(業務やITのコンサルタント)をやっている。今ならわかる。建築より、今の仕事(コンサル)の方が絶対に得意で好きな仕事だと(笑
でも当時はコンサルなんて考えもしなかった。コンサルタントなんて、アウトプットが見えづらい仕事の代表格だ。ちなみに今は教育にもかなり関心があるし、相当向いていることがわかっている。
結果的に、当時の僕の思い込みは、全くの見当違いだったのだ。
では、当時の僕がポンコツだったのかというと、多分そうでもない。当時持ちうる情報を駆使して、かなり考えていたはずだ。
だから、前提が間違っていたのだ。
「しっかり自分と向き合えば、やりたいことが見えてくる。それこそが正解だ!」という前提に立っていたが、そうではなかった。「本当の自分の特性・やりたいことなど、そんなに簡単にわかるわけがない」のだ。
「持ちうる情報」からは、おおよそ正しい判断ができていたのだろうが、社会人経験のない学生の状態で、仕事について深い考察をするのは極めて難しい。
例えば、外からサッカーを眺めていて、やったこともないのに「俺はサッカーが好きらしい、たぶん向いてる。だからサッカーを職業にする」と言っているのと同じなんじゃないだろうか?実際にサッカーをやってみると、色んなことがわかるだろう。好きだけど向いてない・・・。とか、どうやら見ている方がずっと楽しい・・・。とかね。
僕は机上の空論で自己分析をして、わかったつもりになっていただけだったのだ。
では、机上の空論に意味はないのか?もちろんそんなことはない。
今持ちうる情報を駆使して
・多分、やりたい事はこれ
・多分、得意なことはこれ
・多分、こんなことは好きじゃない
と考えることは重要だ。正解にたどり着けないからといって、この作業をサボってはダメだ。
大事なのは、あくまでここでの結論は仮説であり、「今後十分に変わり得る」と理解しておくことだ。「多分やりたい事はこれだ」と考えた仮説を、社会人として働く実戦経験によって検証していけばいい。この時仮説がないと、いくら実戦経験を積んでも検証ができない。
この前提に立つと、会社選びの視点が少し変わる
この前提に立つと、
・自分がやりたい事ができる会社をどう探すか?
ではなく、
・会社に入った後、真に自分がやりたい事をどうやって見つけるか?
・見つかった後、どうやってその仕事に移っていくか?
の方が大事になる。
自分のやりたい事は、実際に仕事をしてみないとわからないという前提に立つので、入社後に自分の特性を見極める必要がある。また、最初の会社から「仕事を移る」前提に立つことになるので、仕事を移れるだけの能力を身につける必要もあるだろう。この2つを上手く両立させるためには、入社後の仕事との向き合い方を知る必要がある。つまり「入社後に何をすべきか、どんな風に仕事と向き合うべきか」という話だ。
これを第2回:「入社後に向き合うべき3つのステージ」で解説する。
「入社後に何をすべきか、どんな風に仕事と向き合うべきか」がハッキリしていると、それが実現できる会社を選べば良くなる。どんな要素を持った会社が該当するのだろうか?これを第3回:「会社選びの7つの基準」で解説する。
会社が選べても、それは「環境」を選んだに過ぎない。その環境をどうしゃぶり尽くすかという「マインド」が極めて大きな要素を占めることになる。しゃぶり尽くすための2つのマインドとはなにか?これを第4回:「環境×マインドで伸び方が決まる」で紹介したい。
なんだかやたらと長い記事になってしまったが、気が向いた方はお付き合いいただきたい。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブログ。
Havefun!(楽しもうぜ!)を合言葉に日々仕事をしています。ケンブリッジはお仕事の依頼も、一緒に働く仲間も絶賛募集中。
ケンブリッジのホームページにも記事が沢山載ってます。ブログだけでなく、書籍もどうぞ。