部下・後輩が自分からコミュニケーションを取り始めた話
マネジャーやリーダー対象の研修では、フォローアップをするかどうかで成果に違いが出ます。その理由は、マネジャーやリーダーは、得た知識をもとに職場でどう活用し、どう工夫したかを相互に共有することが、より学びの効果を高めるからです。
特に、部下や後輩の指導や育成は「永遠のテーマ」ともいえるもので、多くの方が「イメージ通りにいかない」という悩みを抱えておいでです。
そのため、
・うまくいったこと
・うまくいかなかったこと
などを共有し、「何を、どう工夫すればいいか」を話し合い、それをもとに講師からの知識や理論的な補完が他の研修以上に効果があります。
そこで今回は、マネジャーやリーダー研修のフォローアップの中で「うまくいった」と共有された話を紹介します。
事前アンケートでの悩みの代表格
研修実施前の事前アンケートで部下・後輩育成上の悩みについて伺うと、
「部下・後輩からタイムリーにコミュニケーションをとってこない」
が非常に多いです。
タイムリーなコミュニケーションが取られないことが悩みとなるのは、
・イメージがズレたまま進む
・手をかけなくていい部分に、時間がかかっていた(ことに後から気づく)
・やり直し、手戻りが発生する
→その結果、業務の進行が遅れる
→クレームになる
→(クレームにならならない場合)効率が悪い
という課題となるからです。
さらに、もう少し具体的なお話に耳を傾けていると、
「なぜ、生返事をするんだろう」
「なぜ、確認してこないんだろう」
「なぜ、途中経過を言ってくれないんだろう」
という言葉があちこちで聞かれます。
このような悩みを抱えるマネジャーやリーダーに、研修では知識や理論、ケーススタディなどを実施し、一定期間取り組んでいただくと・・・。
研修から一定期間後の変化
フォローの機会では、
・どんなことに取り組んだか
・どんな変化が生じたか
などの情報交換をしていきます。すると、
「部下・後輩からコミュニケーションを取ってくるようになった」
とあちこちで話されます。
そして、そうした話をされる方の話をじっくり伺っていると、ある共通点があります。
ある共通点を、ここで少し視点を変えた例えをもとに紹介します。
「植物を育てること」ことをイメージしてみてください。
植物を育てるときは「こんな植物に育ったらいいな」と思い描きながら、
・土をつくり
・苗を植え
・肥料をやり
・水をやる
のではないでしょうか。
それと合わせて寒暖、気象条件などを考慮し、
・環境を整える
と思います。
そして、日頃は
・定期的な水やり
・日当たりへの気配り
などをします。
さらに、調子がよくなかったら様々な対策をとることでしょう。
「部下・後輩が変わってきた」手ごたえを感じる人が共通して取り組んだことの例
実は、「部下・後輩が変わってきた」という方は、
・定期的な水やり
・日当たり
にあたることを、日頃「意識し取り組むようになった」と話されます。
では、具体的にどのようなことに「意識し取り組むようになった」と話されているかというと、
○定期的にコミュニケーションを取るようにした
(研修前まで:オンライン化になればなるほど、ミーティングが次から次へと設定されて、職場でやっていた数分のミーティングができなくなった。オンラインでもミーティングはしていたが、自分にゆとりがなくなって、雑になっていた。もう少し言えば、画面もオフなので、相手の様子も実はわかっていなかった。コミュニケーションを取れていたつもりになっていた)
○コミュニケーションを取るときにはちゃんと向き合うようにした
(研修前まで:PCやスマホ、書類を見ながらなど、「ながら」作業だった。それが「相手を大事にしていない」と行為だと相手が感じる感覚もなかった。)
○「ありがとう」を言うようにした
(研修前まで:業務の話なのですべてが「やってあたりまえ」と思っていた。最初は「ありがとう」を言うことにしっくりこないものがあったが、言ってみると相手からのリアクションが増えたので、そういうことかと腑に落ちた)
部下・後輩のリアクションの変化(例)
では、マネジャーやリーダー側の取り組みにより、部下・後輩にどのようなリアクションの変化があったか、その例を紹介すると、
・確認や進捗報告をしてくれるようになった
・ささいなことも、気になることを話してくれるようになった
→知らなかったら、後で困ったことになる可能性のこと
・自分の考え方(仕事で大事にしたいこと)、状況(プライベート)を話してくれるようになった
→計画や急遽対応することを言いやすくなった
などがよくあげられます。
定期的な水やり・日当たりに相当するコミュニケーションの心理的効果
・定期的なコミュニケーション
・コミュニケーションを取るときに向き合う
・「ありがとう」の言葉がけ
は、心理学では「ラポール(心と心に架け橋をかける効果)」とされ、コミュニケーションの前提とされています。
ラポールは、Googleのプロジェクト・アリストテレスで注目された「心理的安全性のある職場風土づくり」にもつながるものです。
では、誰でもできそうなこんな単純なことが、なぜできていないのでしょうか・・・
私の場合を振り返ると、
・プレイングマネジャー化しているので、自分の業務に追われている
・「数値目標(時間、納期、業績)」に意識が向いている
・相手も「自分の状況や大事なことは、わかっている(はず)」と思い込んでいる
・相手がしてほしいことに意識が向いていない
(自分に時間的・精神的ゆとりがないことに、気づいていない)
・「ながら作業」が染み付いている(マルチタスク思考に偏っている)
などが思い浮かびます。
そしてひとつ付け加えると、
「相手が話したいことを話すゆとりの大切さ」
に気づいていなかったような気もします。
マネージャーやリーダーの役割を改めて考えてみる
改めて考えると、マネジャーやリーダーは、苗の管理を任された人という見方ができます。
植物の場合は、その生育を任されていることが自分であることが理解しやすく生育状態を目で見て確認できます。
人の場合は、その成育を個人に委ねる部分も大きいので、自分がどこまで手をかけるかその境界線があいまいです。また、マネジャーやリーダーになる人は、自ら外に働きかける意識も強い人たちなので、働きかけない人たちの気持ちや行動傾向を理解しにくいという面があります。
そう考えると、マネジャーやリーダーの役割は「土づくり」(風土をつくる人)なのかもしれません。
さらに、テレワークという環境要因も考慮する必要が出てきているので、マネジャーやリーダーの「土づくりの腕」は、より試されているのかもしれません。
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