真面目で仕事熱心なバブル前後の世代の管理職から、よくお聞きするお悩み
バブル前後の世代の管理職から、
・部下に任せられない
(仕事を抱え込んでしまう)
・部下や後輩から、
なかなか意見やアイデアが出てこない
・部下が主体的に動いてくれない
(何でも確認。聞いてくる)
・部下が自分の仕事の範囲を超えない
(「わからない」「できない」と言う)
というお悩みやご相談をよくいただきます。
その方々に共通するのは、とても真面目で熱心なこと。そして、責任感が強いこと。
しかし、前回記事「「記録」より「記憶」の真の価値」でご紹介した、手帳を活用したセルフマネジメント方法(「フィードバック」)を実践する中で、私はあることに気づきました。それは、これらの問題の多くは、これまで経験してきたこと、受けてきた指導が要因になっている可能性がある、ということです。
そこで今回は、私が「フィードバック」を実践する中で気づいたことと、課題に対応するためのアプローチの糸口についてお伝えします。
日々の振り返りで落ち込むのはなぜ?
私は、「フィードバック」に出会うまで、本当にたくさんの同様の手法を試してきました。なぜ試す必要があったかはいたってシンプル。独立して仕事をしているので、どんな状況でも成果をあげ続けなければいけないという、崖っぷち状態に常に置かれているからです。
しかしそれまでのやり方は「毎日その日のことを振り返る習慣ができた」という以上の「成果の手応え」が感じられない状態が長く続き、悶々としていました。
それどころか、その日のうちにやるべきことができていないと「なぜできなかったんだろう」と考え、自分の知識やスキル不足を何とかしなければ・・・と、自分の実力不足を嘆いたり、他の人は同様の方法で成果が出せているのに、自分は成果が上がらないのは能力が不足しているからではないか・・・と、落ち込んだりしていました。
そして、日々できないことを見つけては嘆き、を繰り返すうち、徐々に無気力になりました。さらには、「自分に存在価値なんてあるのだろうか?」と、自己の存在をも認められない心理状態に。(その頃の手帳には、乱雑な文字で「大丈夫、大丈夫」との記述が・・・)
ぎりぎりの精神状態で出会ったもの
そんな状態の中、何とかこの状況を変えたい、脱したい、どうにかしなければ、と、気持ちが臨界点に達したようで、国家資格化されたキャリアコンサルタントの受験を決め、通学講座へ申し込んだのでした。さらにこの時期、ワークショップやボランティア活動にも積極的に参加していました。本人にその自覚はありませんでしたが、今振り返ると、かなり精神的に追い詰められていたのでしょう。
そのような経緯の中で出会ったのが『自らをマネジメントする「フィードバック」手帳』。2016年5月のことです。
追い詰められた要因
―「これまでの経験と指導」
書籍を開き一番新鮮に感じたこと。
それは、1日の振り返りの時間を
「自分との対話の時間」
と定義づけられていたことでした。その表現に触れ、これまでの自分は「対話」ではなく、「自分責め(攻め)ミーティング」であったことに気づかされました。
「自分責め(攻め)」は無意識に行っていましたが、あらためて考えてみると、私が学生時代に所属していたクラブ活動や、社会人になってすぐに就いた営業職の当時の指導や環境は、
・自分を追い込まなければいけない
・自分のできないことをできるようにしなければいけない
・成果をあげられなければ価値がない
という風土でありました。
それが無意識下にあり、本来、「フィードバック(その日にあった出来事を客観的に振り返るための自己対話)」すべきところを、「自分を責める(攻める)材料を見つけ、努力や根性で乗り越えることを強いる、叱咤激励一人ミーティング」になっていたのです。(コワ~)
それに気づいた私はハッとしました。と同時に、脱力感がありました。(なーんだ、今までの自分って、あほみたい!)
このことに気づいて以降、毎日の「フィードバック」は、自分と心地よく接するための、かけがえのない時間に変わりました。そしてそれを続けるうちに、成果の手ごたえが感じられ、成果そのものが持続するようになっています。
自身が心地よさを感じられ、成果の手ごたえが伴う「自己対話」には、ちょっとしたコツがあるので、その具体的な進め方については、また機会を改めてご紹介します(というよりも、まずは書籍をお手にとっていただくことをお勧めします)。
真面目で仕事熱心なバブル前後の世代の管理職が知っておきたいこと
バブル前後の世代の管理職の多くは、私と同様の経験や教育環境を経て今の職務に就かれています。(例えば、クラブ活動では、うさぎ跳びを無意味に強いられたり、水を飲んじゃいけないと言われたり、会社に入れば「名刺がなくなるまで会社に戻ってくるな」とか「アポイントが取れるまで電話をかけ続けるんだ」といって、電話機にガムテープで手を巻かれた経験がある(または、そういう人を見てきた)中でも、耐えて成果を出してきた人たち)
このような経験を経ている人は、「自分責め(攻め)ミーティング」をしがちなタイプといえます。しかもそれを、部下や後輩に対して行い、無意識に「相手責め(攻め)ミーティング」をしている可能性があります。
そのような人たちは、自覚がなくそれを行っているので、「責め(攻め)られて力を発揮できますか?」と聞かれたら、絶対に「いいえ」と答えるでしょう。
なのでまずは、自分の過去の経験や指導を振り返り、「責め(攻め)られる環境になかったか」を確認し、「その可能性あるかも・・・」と気づくことが大事です。
「まずは気づくこと」。
これに尽きます。ちなみに、気づくと、これまでの自分の駄目さ加減にも気づくことになるので、とても辛いです。でも、それで自分を責める必要は全くありません。「気づく」ということを淡々とする。ここが最初の一歩で、最初にご紹介したお悩みやご相談の解決の糸口となります。
では、気づいた後はどうすればよいかというと、
私がお勧めするのは「自分との対話時間を持つこと」です。
自分との対話の進め方は、まずは、こちらをお手元においていただくことをお勧めしつつ(笑)、私が意識していることは次回ご紹介します。