コミーに学ぶ「チームマネジメント」の知恵(その1)
先日、「小さな会社の競争しない経営術」というテーマの講演に参加しました。登壇されたのは、コミー株式会社(以下、コミー) 代表取締役 小宮山 栄氏です。
コミーは、防犯・安全用のミラーを「気くばりミラー」として製造・販売している会社です。銀行のATMで、自分の後ろの様子が確認できる小さいミラーがありますが、あのようなミラーで、コンビニや航空機などでも採用され、業界トップシェアを誇っています。
そのような商品を、社員15名+パート社員10名、25名で生み出しています。
コミーについては、ベストセラー『100円のコーラを1000円で売る方法』の著者永井さんが、「バリュー・プロポジション」というテーマで、オルタナティブ・ブログ内で何度か記事にされているのでご存知の方も多いかもしれません。
コミーの実績から、「圧倒的ポジショニングを取れる商品開発」や「マーケティング」といった面に意識が向きますが、私が注目したのは、「チームマネジメント」をする上で、様々な工夫を進めることで生まれた「知恵」です。
私が考える「知恵」とは、
・様々な取り組みの中で失敗や成功しながら日々工夫を重ねていること、
・特に、どなたでも取り組むことができ、継続することでその価値が増すもの、
をさします。
そこで、チームマネジメントをされている方のお役に立ちそうなものを、3つほど、講演内容を元に共有します。今回は、その1-「共通理解」です。
コミーの「チームマネジメント」の知恵-共通理解
「トップの意向が現場に浸透しない」、「自分の伝えたことがメンバーに理解されない」、「職場の風通しをよくしたい」など、経営層や管理職層を対象にした研修などを実施すると、よく聞く言葉です。
このような言葉について、コミーではどのように考えるか。
小宮山社長は、
「社員とは、分かり合えない」
とおっしゃっていました。
そこで、そう考えるからこそ様々な工夫が生まれていることが伝わってきました。小宮山社長は、次のような取り組みについて話されていました。
・日誌の記載
・朝会:毎朝8:30~8:50(日誌をふまえて、社員が参加)
・共通理解を促すための小冊子の作成
①社員心得(会社として大事な価値観を記載したもの)
②用語集(一般的な言葉を、「うちの職場ではどう解釈するか」をまとめたもの)
③物語集(商品やサービスを生み出す過程の失敗・成功の過程を記録したもの)
・やってもらうための工夫(例:「改善」を大事にしているので、何でもいいから提案してもらう)
おそらく、講演の中でお話しされたこと以外にも、取り組んでいることはあるでしょう。ただ、色々な取り組みを知るよりも、「これは!」と思うものに1点集中。まずはやってみることが大事です。そこで今回は、取り組みやすそうな「用語集」に着目しました。
よく使う言葉、定義するのとしないのと
講演会の質問タイムでのこと。聴講されていた方から、次の質問がありました。
質問者:「"用語集"ですが、どんな言葉を定義されていますか?いくつか教えていただきたいのですが」
小宮山社長:(少し考えて)「"ブランド"という言葉をどう定義していますか?」
私がこの質問を聞いて真っ先に思い浮かべたのは、「ブランド」の一般的な定義でした。
しかし、小宮山社長は、次のように続けます。
小宮山社長:「皆さん"ブランド"という言葉をよく使いますが、うちではこういうことにしています。 "信用力"×知名度"」
そのお話のタイミングで、当日いただいた資料(「社員心得」)を確認すると、その中には、信用力と知名度を高めることで、どのようにブランドが高まるかを解説した図も記され、次の意図が明示されていました。
それは、次のような観点です。
(1)ブランド力を高めるために、コミーでは、どの能力を活用するか。どう高めるか。
(2)ブランド力を高めると、どうなるか?
「自分の組織でどうするか?」を話し合う
最近は「理念経営」などが注目され、「理念ブック」や「クレド」などを多くの会社で作っています。一方で、その浸透がなかなかうまく進まないといったこともよくお聞きします。それはなぜでしょうか?
それは理念を「自分の仕事に置きかえる」ところまで、落とし込んでいないからです。
こうお伝えすると、「なかなか研修などをする予算がなくて」という話になりそうです。しかし、研修をする必要はありません。それよりも、日常の中で「うちの組織ではどう捉えるか」といったことを、時折話し合う。これが大事です。
と、「理念」に話がいきましたが、大事なのは、自分の職場でよく使う言葉を定義することです。。
たとえば、「ソリューション」といった言葉もよく使われますが、
・何を
・どのレベルで
・どうすることが
「ソリューション」なのか。
これって、意外とあいまいになっていませんか?
それでは、このようにあいまいになっている言葉をどう定義していくか。たとえば、こんな進め方があります。
1つの言葉を、最初は直感的に思い浮かべることについて、それぞれ自由に言い合います。すると、それぞれまったく異なる見解などが出てきます。
まずは、それを面白がってみる。その上で、
「うちのチーム(仕事)だったら、どう考えるといいか」について意見を出し合う。
そこから、個人の好みを離れて、「チームとしてどうありたいか」をベースに話し合う。
こんな感じです。
そうして明確になった言葉は、「資料化」しておく。
このように、職場でよく使う言葉を、1つ1つ話し合い「用語」として「資料化」する。コミーの「用語集」の話をお聞きし、これは、どこの組織でも取り入れられる知恵ではないかと思いました。
また、「用語」を明確にしておくことは、さまざまな立場の人達がかかわるプロジェクトなどでは、さらに有効かもしれません。
「ビジネス」とは何か?
余談ですが、言葉を定義する重要性を、感覚的につかんでいただくために、研修の中では、「ビジネスとは何か?」という話し合いを取り入れることがあります。
「ビジネスとは何か」
さて、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
結構面白いので、周りの方に聞いてみてください。
以上、コミーに学ぶ「チームマネジメント」の知恵(その1)-「共通理解」でした。
(その2)もお楽しみに!
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