「話し方」トレーニングで教わった人前で話すコツ
前回のブログで極度の上がり症であったことを告白しました。そんな私が「人前で話せるようになりたい!」と思ったのは起業後(30代後半)。しかしその数年前、30代半ばに一度チャレンジしたことがありました。そこで今回は、私と同じように、人前で話すのが苦手な方、あるいは、より人に伝わる話ができるようになりたい方に向けて、私が受けたトレーニングを通じて、学んだことをお伝えします。
展示会での司会
あるとき、毎年開催されている人事向けの展示会で行われる、セミナーの司会をすることになりました。比較的広い会場には、50名以上の来場予定者が見込まれていました。そのときの私の役割は、会社と講師の紹介で、おおよそ3分強。普通、この程度のことであれば、特に準備をしなくても対応できるはずの内容です。
しかし、当時の私は違っていました。司会が決まった直後から、50人の前で司会をすることに意識が向き緊張状態。「うまくできなかったらどうしよう・・・」が、呪文のように頭の中でリフレインしていました。
一方で、社内のメンバーに、「できない」と弱音を吐けない自分がいました。今であれば、周囲に相談し練習に付き合ってもらいますが、当時は「できない」と言えなかったのです。
そこで考えたことが、「話し方」のトレーニングに行くこと。ちょうど、アナウンサーになりたい人を指導している方が、個人レッスンをされている情報を見つけ、レッスンを受けることにしました。
こっそりトレーニング
レッスン当日。マイクセットと姿見が置かれた部屋に通され、緊張感倍増。そして、先生にご挨拶。すると「今回は、どういう目的でお越しですか?」と質問されました。先生に、自分が上がり症であること、展示会で司会をしなければならないこと、参加対象者のイメージなど伝えると、「で、どんな話をしなければならないんですか?」と聞かれました。そこで、用意しておいた話の内容(以下、スクリプト)を渡すと、「うーん」と一言。
どうも、そのスクリプトの内容からしてNGのようで、「ここからか・・・」と。そして、スクリプトの一部を話しやすいように修正してくださった後、今度は「では立って、その原稿をマイクを通して読んでください」との指示。
立ち上がり原稿を読み上げると、「うーん、そうきたか」と一言。
そしておっしゃったのが、「日頃からやっていることしか、人前ではできないんですよ」と。
その一言に私は「人前に出る用の自分(取り繕おうとしていた自分)」と「本当の自分(基本的なことが身についていない自分)」をしっかり見抜かれたと感じ、衝撃を受けました。そして、取り繕うことはやめ、必要なことはしっかり身につける覚悟のようなものが芽生えました。
覚悟をした後、先生は原稿を繰り返し読ませ、「当日まで、原稿を何度も読み込むこと」とおっしゃってレッスン終了。
このレッスンは1時間。その中で、自分の中で何かが変わるのを感じました。
人前で話す前にやっておくこと
レッスンを通じてわかったこと。それは、日々繰り返し取り組むことができる、トレーニングの方向性でした。
先生がおっしゃっていた「日頃からやっていることしか、人前ではできない」は、言葉を裏返すと「日頃からやっていれば、人前でできる」ということです。ということは、日頃から、なんでも人前に出るレベルでできるようにしておけばいい、ということ。
その中で、その後、講師としてのトレーニングをするようになってからも大事だと感じている点があります。それは、以下の3つです。
1.言葉づかい
2.立ち居振る舞い(あいさつやお辞儀など)
3.文章で自分の考えを表現する
この中で一番役立っているのは「文章で自分の考えを表現する」です。
その理由は、人前で何かを伝えるということは、立場や背景が異なる人たちに、理解してもらえるように伝える必要があるからです。そのためには、「伝えたいこと」を明確にした上で、筋道立てて整理し、具体的なイメージを加えて伝えることが重要です。
しかし、「人前で話せない」状態の頃の私は、物事をイメージで捉えており、理解があいまいだったので、うまく言葉にすることができていませんでした。この、うまく言葉にできない状態というのが、あがる要因の1つでもあったようです。
トレーニングの副次的効果
自分の理解があいまいなことが、うまく言葉になっていかないことに気づいてから、意識して「文章で自分の考えを表現する」ようにしました。文章で表現することのメリットは、日々訓練がしやすいことと、他者に見てもらうことで、意見やアドバイスがもらえることです。また、自分が書いたものがどう伝わるかが確認できると、修正もしやすいものです。
そして、この訓練には、副次的な効果もありました。人前で話す以外の、ありとあらゆる仕事の場面で役立つからです。
どのような効果があったか、その一例を挙げると、訓練をする前は、何かを人に依頼した際、なかなか返事が返ってこないことがありました。その理由は、こちらが何を伝えたいかが、ややあいまいで、依頼を受けた側は、いくつか確認しなければならなくなります。そのため、確認事項を検討した上で返事をする必要があり時間がかかっていました。しかし、こちらが伝えたいことが明確だと、返事がしやすいため、早く返事がもらえます。そうなれば、仕事が進むスピードも変わります。特に、メールのやり取りなどでの効果は抜群でした。
以上のことから、「文章で自分の考えを表現する」は、人前で話すためのトレーニングとして、とても効果が高いと思っています。よかったら、試してみてください。
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