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「ミスばかり指摘する上司とどう接すればいいか」という質問から考えたこと

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 先日、リーダー層を対象としたあるセミナーを担当したときのこと。
ご参加者より「上司がミスばかり指摘するんです。ミスをするのはよくないことはわかっていますが、正直、モチベーションが下がります。モチベーションが下がると、結果としてミスが出るので、それがよくないことはわかってるんですが。こういう場合、どうしたらいいんでしょうか」
というご質問をいただきました。

 さて、身近に「ミスばかり指摘する上司」はいらっしゃいますか?
上司へはどう対応されていますか?

 私は、そのセミナーでは、2つのことをお伝えしました。
 1つは、「同じミスを繰り返さない方法を考えること。特に、上司とのコミュニケーションの質と頻度を変えること」
 もう1つは、その上司は「ミスを見つけるのが仕事」という考えをお持ちかもしれないので、そのスタンスはよほどのことがない限り変わらないでしょうから、あきらめて、「そういう人なんだ」と思うこと。気持ちを引きずらないこと。

 しかし、セミナーが終わってから「ご質問者の気持ちに寄り添った内容だっただろうか?」と自問し、他にも着眼点があるんじゃないかと考えました。それをご紹介します。

「上司」と「部下」両方に言えること
 公開セミナーでは本当に感心することがあります。それは、ご参加者の取り組み姿勢の素晴らしさ。初めて会った人同士がチームとして活動しますが、そのときの様子が素晴らしい。話し合いは相手の話にしっかり耳を傾け、共同で進めるときも楽しげに取り組んでくださいます。その様子を見ていると、本当に今日初めて会った人同士なのかと思うほどです。

 一方職場では、なかなかそうなっていない様子。

 それは、セミナーでは場が設けられ、お互いに利害がなく、じっくり取り組む時間があるなど、職場とはまったく異なる環境にあるからでしょう。でも、本来の皆さんは?と考えてみると、セミナーで見せている姿に近いんじゃないかと思います。
 人の話をしっかり聞くことができ、お互いに協力し合って楽しんで取り組むことができる。

 では、職場でそれができなくなっているとすれば、何が影響しているのだろうか?
それを考える必要を感じました。

 考え始めてしばらくして、参加者の8割ぐらいの人から受けた印象を思い出しました。
 リーダーとして認められ、責任感を強く持って取り組んでいる皆さん。ずっとがんばってこられたことでしょう。だからこそ「余裕がないのかもしれない」と思ったのです。

 余裕が持てない理由や背景は、組織や個人によって異なります。

 もし、どなたでも比較的取り組みやすい「余裕を生む方法」があるとしたら?

 それは、「残業を減らす」こと。

 以下は、10年以上前に、尊敬する経営コンサルタントの先生からいただいたアドバイスです。
 「原田さん、いつもずいぶん遅くまで仕事をしていますね。
 その仕事を、できれば18:00まで。
 遅くとも19:00までに終わらせられませんか?
 それがみんなのためですよ」

 その時は、尊敬する先生からいただいたアドバイスなので「はいっ!そうします」とお返事し、「仕事は19:00終了」と決め、すぐに実行しました。しかし、本質がわかっていなかったので、しばらくすると、長時間労働体制に。

 しかし今、このアドバイスの本当の価値がだんだんわかるようになってきました。
それは、次の価値です。
1)それぞれの生活があるので、それぞれの生活を大事にする
2)それぞれの生活を大事にすると、知恵を出し工夫をしてそれを維持しようとする
3)知恵や工夫が生まれる過程で、お互いに協力し合う
4)お互いのことがよくわかっているので、助け合う
5)会社の雰囲気がよいので、仕事に恵まれる
6)仕事に恵まれているので、余裕が生まれる
7)余裕があるので、先のことに取り組める
 先生がおっしゃっていたのは、単純に「残業を減らしなさい」ということではなく、「よい循環を生むサイクルをつくりなさい」ということだったことに、今になって気づくのでした。

 「ミスばかり指摘する上司」を変えることはできませんが、
 「余裕を生み出すために、よい循環を生む仕組みを真剣に考え、できることからやってみる」ことはできるのではないでしょうか?

 その手始めは「残業を減らして自分の時間を持つこと(少しの時間でも、自分が嬉しく感じられるレベルでまずはOK)」です。余裕ができると、ミスそのものが減るかもしれないですし、ミスを防止する方法を考える時間がつくれます。あるいは、上司の指摘にイラッとしたりモチベーションが下がらなくなるかもしれません。

 一人で取り組むのが気がひけるのであれば、周囲の人に「残業減らせたら、嬉しい?」と問いかけてみてはいかがでしょうか。今までにない、コミュニケーションが生まれるかもしれませんよ。

 ご質問くださった方と似た悩みをお持ちの方のヒントになれば嬉しいです。

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