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HRD(人材の育成、教育研修)の現場から、気づいたこと、アイデアを発信します。初めて人材育成や教育担当になった方でも、わかりやすく、取り組みやすい情報提供を目指します。特に、20代~30代を元気にしたいご担当者様、是非このブログにご参加ください。

30代で大きく人生が変わる人、変わらない人

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 前回、30代は、「企画力(自分のアイデアを形にする力)」や「リーダーシップ(周囲の理解や協力を得るために粘り強く取り組み、動かす力」を強化する必要がある、ということについて触れました。

 その背景には「仕事がつまらない」と回答した30代層が多いことや、日頃、人材育成の現場で携わる中での私の体験や印象などがベースになっています。では、実際はどうなのでしょうか?そこで今回は、先日実施したワークショップで、人材育成に携わるご担当者様(ご自身が30代の人も含む)のご意見に共通した点と、ある調査結果をもとに、30代に共通する課題を深めていきます。

人材育成に携わる人たちが30代に対して感じていること
 「他社さんと比べて、うちはどうでしょうか?」。この質問は、コンサルタントがお客様(人材育成のご担当者様)から頻繁に受けるものです。どの会社のご担当者様も、様々な施策を講じていますが、本当にこれでいいのか?といったことをお感じになっています。
 一方で、素晴らしい取り組み内容であったとしても、自分の会社でやっていることは「当たり前」に感じるので、その善し悪しが分かりません。
 そこで、業種・業態の垣根を越えて、お互いの取り組みを紹介し合うことで、相互のヒントにしていただくといいのでは・・・と考えて取り組み始めたのが「人材育成ご担当者様のためのワークショップ」。2011年からスタート。年2~3回の割合で実施し、先日で12回目を迎えたご担当者様同士の交流の場です。
  その場で、先日は『未来の組織を担う「30代」の課題と強化の具体策』をテーマとして取りあげました。その中で、30代についての「強み」と「課題」について話し合っていただいたところ・・・

 30代は「個人差が顕著になるね」と。

 ・仕事も出来、周囲にも影響力があり、発展の可能性を感じさせる人材
 ・自分のテリトリーを決め、夢や目標などはあまり持たず、管理職になることは避け、責任を負わないように、取り組む人材

  とに、大きく分かれる印象がある。という見解でした。
  ただ、割合的に、後者のほうが多いのでは・・・ということと、どちらにフォーカスするかにより、提供する教育は、大きく変わるといったご意見がありました。

 そして、このような話し合いの後に見ていただいたのが、次のデータです。

30代の第一印象(企業の人事や採用に関わる人の見方)
 独立行政法人労働政策・研究機構(以下、JILPT)という組織をご存知でしょうか?この組織は、厚生労働省の管轄下にあり、『内外の労働に関する事情及び労働政策についての総合的な調査及び研究等並びにその成果の普及』と『職員の研修』を行っている組織です。

 JILPTのウェブサイトには、色々な調査データが掲載されていますが、その中に『入職初期のキャリア形成と世代間のコミュニケーションに関する調査』というものがありました。
 本調査は、従業員100人以上の企業を対象に、入社3年目~10年目(調査は2011年)について、「職場で求められる人材像」、「若手人材育成のための取り組み」、「世代間コミュニケーションの現状」などの観点から実施したものです。
 その中に、「バブル期入社」、「1990年代入社(バブル以降)」、「2000年代入社」に分け、各世代の入職初期(入社した頃)の印象についての設問がありました。

 以下の表は、今の30代(2000年代入社)の印象について触れた部分を抜粋したものです。
設問は、同じ列の項目について、どちらの傾向が強いかを回答する形式となっています。
例えば、表中一番上の「自ら考え、行動することができる」⇔「指示されたことをやっている」という設問では、
「自ら考え~」に近い、どちらかといいえば近い、どちらともいえない、どちらかというと「指示された~」に近い、「指示された~」に近い、という形式です。
 一例をご紹介すると、表の1項目目は「自ら考え~」に近い+どちらかといえば近いの合計が、6.9%。「指示された~」に近い+どちらかといえば近いの合計が56.0%ということを指しています。

入職初期の印象.png

 

 データ結果は「入職初期の印象」なので「今」のことではありませんが、人材育成のご担当者様がお感じになっている「個人差とその割合」、私が現場で受ける印象は、それほど遠くないように見えます。

 そして、データを見て考えたことがありました。それは、入職初期(20代前半~半ば)の印象と、現在(30代)で、印象が変わっていないということは、どういうことなのだろう・・・と。
 「3つ子の魂100まで」と言いますが、入社した時から人材がそれほど変化していないのだとしたら、どういうことなのでしょうか。「性格は変わらないから」ということなのでしょうか。
 2000年代の入社組は、~2007年ぐらいまで景気が緩やかに維持され、多くの組織の中で「成果主義」が浸透して行った時期です。そして、彼らがちょうど30歳になる前後に、金融危機が起き今に至っています。
こうした時代背景の中で、上の人たちが取り組んできたこと、意思決定、そして、彼らにさせてきた仕事や経験、させなかった仕事や経験。その積み重ねが、今の30代の印象に反映されているとしたら。
 以上の事をもとに、私は「(今は)自分の枠組みの中で仕事が出来れば十分」と考えている人や「仕事がつまらない」と言っている人の気持ちを変え、新たなことに取り組んでもらうには、色々と知恵を絞る必要があるかもしれないぞ、という思いを深めました。

 一方で、今後の人口構成、これからの世の中の動きを見据えた上で、多くの30代が積極的ではないという状況は、積極的に取り組もうとする30代の人たちにとっては、「チャンスしかない」ということなのかもしれません。
 今は「仕事がつまらない」と感じている人も、「やりがいがある仕事」は以外に身近にあるかもしれませんよ。

 ということで、私は「やり方さえわかれば、ちょっとがんばってみてもいいかな~」という人のお役に立ちたいなーと思っています。

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【参考情報】
独立行政法人労働政策研究・研修機構
調査データ:『入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査』http://www.jil.go.jp/institute/research/2012/097.htm

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