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学生に「論理思考」の大事さを伝えるには?

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学生時代に「もっと勉強をしておけばよかった」と、感じている社会人はとても多いことでしょう。一方学生は、学生同士の付き合いや、すぐに実利が得られるアルバイト、授業以外の活動や趣味など、自分の興味や関心に意識が向きがちなもの。

そうした学生に、直接関わる先生は次のようなお悩みをお持ちです。

OB会で会う卒業生たちは口を揃えて、大学時代にもっと勉強しておけば良かった、と言います。メーカーでの講習会に出席する技術者たちは、同じ内容の講義をしていても真剣さが大学生とは別物です。その点で、勉強していることが今後何に役に立つのか理解できることは強力なモチベーションになる、と言うのは否定できない事実ですね。しかし、実務を体験していない学生にそれをどうやって理解させたら良いのか・・・・・・・、途方に暮れてしまいます。

そこで今回は、「動機づけが難しい」と感じる相手への、アプローチについて考えます。

企業研修に参加する人のやる気は、バラつきがある
上記コメントは、先日「とある地方の大学教員」様よりいただきました。
とある地方の大学教員様は、仕事に熱心に取り組む技術者と接する機会がおありとのこと。企業で働く技術者は、真剣に講義を聞くとお感じになっているようです。そのため、企業の人達は「皆、勉強熱心」という印象をお持ちかもしれません。

しかし、企業の教育担当者の多くは、研修参加者の以下の態度に頭を悩ませています。
外部の講師を招いて実施する場合は、社外の人に対するマナーを身に付けているので、あからさまに「聞いてませんよ」という態度を取る人はいません。しかし、チラチラと携帯メールに目を落とす人や、電話対応のためにちょくちょく離席し、心ここにあらずという人もいます。また、割合として多いのは「何とかやり過ごそう」とする人です。

そうなる理由には、
・何の目的で研修をするのかよく分かっていない
・強制参加なので来た(忙しいのに・・・というネガティブな気持ちをもっている)
・研修は仕事に直接的には役立たないと思っている(という経験をしている)
・自分には関係ない
というそれぞれの考え方があります。

その一方で、研修を実施するからには、「職場に戻り、アクションを起こしてほしい」という思いを、教育担当者は持っています。

そのため、私達企業研修を企画・運営する側は、「どうしたら当事者意識を持って参加してもらえるか」、「職場に戻ってから取り組もうという気持ちになってくれるか」ということに、日夜、知恵を絞っています。
以上のことから学生と社会人で対象は違いますが、
  ●実務経験がない学生を動機づけ
   ⇒「論理的に考えることの大事さ」をわかってもらい、取り組ませる
  ●特に今、変わる必要性を感じていない人を動機づけ
   ⇒「プラスαの取り組みをしてみよう」と思い、取り組ませる
ということでは、お互い似たようなことに課題を持っていると言えるのではないでしょうか。

そこで、企業研修の現場で、どのようなことを考え取り組んでいるかをご紹介いたします。

研修企画で、最初に考えること
企業の教育ご担当者様から「研修後に、何かしら取り組んでくれる研修にしたいんです」というご要望を頂いた際、私が一番最初に思い浮かべるのは次の図です。

誠ブログ用(行動変容).GIF

ご紹介した図は、弊社のパートナーコンサルタントの水野浩志氏((株)マイルストーン代表取締役)の「高品質セミナー作成講座」という、プロフェッショナル講師向けセミナーの資料です。

図の解説をする前に、「高品質セミナー作成講座」について簡単にご紹介します。企業研修では、「投資対効果」ということが厳しく言われます。そのため、研修後に参加者が今までの取り組み+α、或いはその取り組みを深め、結果につながるアクションを起こすことが期待されます。

しかし、前述の通り彼らは「なぜ+αの取り組みが必要か」について、ほとんどと言っていいほど動機づけがされていません。動機づけがないために、研修直後に取り組み意欲が高まっても、数日すると元に戻ります。そしていつしか「そんなことを考えたこともあったな~」という状態になります。

そこで、「やろう!」或いは「やってみたい」という気持ちを持ってもらい、自分で決めたことを、継続して取り組んでもらためにはどうしたらいいだろうか、そのために、どのような研修カリキュラムを組み立てれば良いかを考える必要性が出てきます。

その「自分でやろうと思ったことを、継続して取り組んでもらうための、カリキュラムの構築の仕方」について具体的に紹介しているのが「高品質セミナー作成講座」です。

資料は、その冒頭で活用されているものです。

気持ちを動かすためには?
一般的に行動を起こすためには「知」「情」「意」が必要だと言われています。「知」は知識や情報。「情」は感情。意は意志(意思、意欲)です。

この図を基に考えると、相手の「感情(や意志)」が動くかどうかは、提供する「情報次第」と言えそうです。


気持ちは「AI(あい)」で動く?
それでは相手の「感情(や意志)」が動く「情報」というのは、どのようなものでしょうか?
ここでは、人の購買心理に関するマーケティングの考え方【AIDMA(あいどま)の法則】を参考にします。
【A】Attention:注意喚起
【 I 】Interest:関心
【D】Desire:欲求
【M】Memory:記憶
【A】Action:行動

この法則における【D(欲求)】=感情と捉えると、大事なことは、相手がどのような欲求を持っているかを知ることだと言えます。その欲求が何であるかを把握できれば、それに合わせて、「注意喚起」したり「関心を持たせたり」する情報が提供できます。

例えば、学生さんに「論理思考」の大事さを伝えたいとします。
その際、彼らにとって「論理思考」は、どのような欲求と結びつくのだろうか?
その欲求を喚起する、或いは、関心につながる「情報」とはなんだろうか?

そんなことから考えていきます。
しかし、大学の授業も企業研修も、一対多の講義となるため、一人ひとりの欲求にピッタリ合わせられません。そこで、企業研修ではある方法を取っています。
次回は、その方法をご紹介します。

【ご参考】
「高品質セミナー作成講座」にご関心がある方は、下記サイトをご覧ください。
株式会社マイルストーン「高品質セミナー作成講座」
http://sp.m-stn.com/seminar/semsem/index.php

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