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「創造性」が求められる時代~日常会話を見直せば、いいアイデアが生まれるかも?~

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ソチでのオリンピックとパラリンピック、ブラジルでのワールドカップなど、スポーツイベント目白押しの2014年。また昨年決定した2020年の日本でのオリンピック開催という具体的な取り組みテーマが見えてきたことで、新たなビジネスチャンスも生まれてきそうです。
その一方で、目先の日々の暮らしはと言うと、原料物価や海外の人件費の上昇により、徐々にあがりつつある物価。そして、異常気象の影響で供給不足が予測されている食糧。進む高齢化でしぼむ消費。一時1万6千円を超えた株価もその後乱高下。そして4月から上がる消費税。と、やや先行きが不透明といったところでしょうか。

そのような時代背景を反映してか、各企業の経営者の年頭あいさつで目に付いたキーワードは、「創造性」、「新分野」、「グローバルビジネスの強化」、「チャレンジ」、「チームワーク」といった、新しいことに取り組んでほしいというメッセージが多く見受けられました。

さて、こうしたキーワードに「さぁ、やろう!」と思う人もいれば、「何だかな~」と思う人もいるはず。恐らく後者の反応の方が多いのではないでしょうか。経営者は長期的な取り組みテーマを掲げますが、最近の組織はなかなか長期的なテーマに取り組みにくい環境です。また、自分は取り組みたいと思っても、評価の仕組みが短期であるため、メンバーの中には「評価されないし」、「大変だし」、「いつ組織が変わるかわからないし」といった気持でいる人も少なからずいます。

個人的には、組織や評価の仕組みが時代に合わなくなりつつあるので、そこから直さないと・・・とも思います。その一方で、組織が変わるのを待って、組織に合わせて仕事をするという考え方や働き方も、もしかしたらそろそろ限界なのかも・・・という気もしています。働く側が意識や取り組み方を変えた方が気持ちも楽に、日々を充実させることができるかもしれません。

日々を充実させるための意識や取り組み方については、別のテーマで考えるとして、今回は、「新しいことに取り組んでほしい」というリクエストをもらったときに、まず確認したい、日常のコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

会社が楽しくないのはなぜ?
このテーマを考えるにあたり、2012年の夏、ある企業の人材育成ご担当者様からいただいた、次のご相談をご紹介します。

「40代前後の社員が、月曜日の朝に会社に来るのが楽しみになる。そんな研修を企画したいんです」

ご担当者によると、40代前後の社員は業務にも精通し、ある一定以上のレベルで成果を出している。しかし、それと評価が結びつくかというと、なかなか難しいとのこと。と言うのは、40代前後層の社員が多いため、よほどの成果が出ない限り評価に反映されない。また、昇進昇格が狭き門になっているので、意欲を喚起できるような目標ももちにくい。

さらに、業界全体が過渡期に入っているので競争が激化し、お客様からの要求もどんどん厳しくなっている。そういうストレスを抱える中で、彼らはよくやっている。けれども、そうした会社との関係だけでなくて、自分のために会社に来ることが楽しいと思えるような、そんな研修を提供したいので一緒に考えてほしい。とのご相談でした。

この研修の企画には、お客様と研修を担当する講師を中心に6人が関わり、あーでもない、こーでもないとプログラムを組み立てました。

さて実際にプログラムとしてご提供してみると・・・

「肩たたき研修?」という不安
初回の研修で、思いもよらぬことが起きました。それは、参加者の多くが疑心暗鬼に陥ったのです。世の中の状況がよくわかっているからこそ、ということなのかもしれません。休憩時間中のふとした会話から「この研修には裏の目的があるのではないか、それを考えていたら研修の内容に集中できなかった」とぽそりとおっしゃったのです。

このご意見を伺い、私達は「配慮が足りなかった」と反省しました。そこで「一切裏はない」ことを伝え、そこから研修の内容に集中していただけるように進めました。

しかしこのご意見から思うことがありました。研修1つで「裏」を考えているわけなので、日常的にはもっと「裏」を考えるだろう。その「裏」を考えて取り組んでいると、疲れるだろうな・・・ということです。

ビジネスの経験が長くなってくると、「裏」を考えることも必要です。しかし「裏」を考える時と言うのは、主にネガティブなことについて考えます。ネガティブなことについて考えている時というのはどんな状況でしょうか?恐らく、眉間にはしわがより、厳しい表情をしているのではないでしょうか?そんな時、「楽しいか?」と問われたらどうでしょう。「楽しい」と答える人は少ないと思います。

このように、日常的にネガティブな方向で思考を使わざる負えない状況も、会社が楽しくない1つの要因かもしれないと思える出来事でした。また、このような状況では、新しい発想や行動も生まれにくいだろう、そう感じました。

ポジティブ思考のための「訓練」
このようなことがあったので、日頃の思考習慣から意識的に離れてもうらことにしました。そこで講師がプログラムの中でもより強化したのが、話し合いのルールと進め方です。

そのルールとは、
・言いっぱなしで構わない
・好きなことを言っていい
・できる、できないを度外視する
・意見をまとめなくていい
ということです。

このように書くととても簡単に思えますが、実際に取り組むと、これが意外と難しいようです。最初は盛り上がっていた話も、徐々に眉間にしわが寄り、話す人に偏りが出てきます。その状態の時に、再度ルールを確認すると、大抵参加者は「はっ!」とした表情になります。

こういう状態になる理由は明白です。組織での会議やミーティングは、「効率的に、何かを決める」ように習慣づけられています。そのため、無意識な時はその習慣に戻るのです。

そのことを理解した上で、改めてルールを意識して話し合いを進めてもらうと、今度は、発言量も増え、笑いやツッコミといったやり取りも聞かれるようになります。その過程を経ると、今度はそれまで思いつかなかった意見やアイデアが出るようになります。

いい意見、アイデアが生まれる時
研修の場でつくづく感じるのは、いい意見やアイデアが生まれる時、皆が一体感を持って取り組める時というのは、一人ひとりが自分の考えや意見を素直に伝えられる状態であるということです。際立って優秀な人が居て、その人がリーダーシップを発揮していい意見になることもありますが、その方が稀です。

それよりも、一人ひとりが自分の考えや意見を言い、その意見を皆で発展させたとき、それまでとは違ったいい意見やアイデアが生まれます。また、そうした過程を経たアイデアは、アイデアを出し合ったメンバー全体が「自分達のアイデア」と思うので、一体感があり役割分担も上手く行き、その後につながっていきます。

このような経験から、日常会話に意識を向けると、いい意見・アイデアが生れやすい場になっているかどうかがわかるようになりました。意識を向けるポイントは、次の2点です。
1)自分が話をするときに「自分の考えを素直に言えているか」
2)相手が話をするときに「相手は相手の考えを素直に言えているか」
ということです。

意識を向けるてみると、考えを素直に言えている時とそうでない時で、意見やアイデアの出方に違いが出ます。まずはそこに気づくと、職場でのコミュニケーションが変化します。

いい意見やアイデアが生れる場や環境づくりのヒントになれば幸いです。

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