「楽がしたい」と思う気持ちを捨てる
前回のブログでは、ビジネスホテルを例に、自分のビジネスの領域に、競合先が参入したときのケースを考えてみました。
今回は少し視点を変え、「ディズニーランド」の「入場料」について考えることで、「価格」についての考え方を整理します。
東京ディズニーランドの入場料は、厳密には様々な料金プランがあるため、単純な比較はやや乱暴かもしれません。
しかし、大人のワンデーパスポートの料金は、価格と値上げ理由が明確に連動しています。そこで今回は、ワンデーパスポートの価格と値上げ理由を表にまとめてみました。
時期 |
大人入場料 (ワンデーパスポート) |
値上げ理由 |
1983年4月~1985年2月 |
3900円(平日のみ) |
|
1985年2月~1989年7月 |
4200円 |
開園後初の値上げ |
1989年7月~1992年10月 |
4400円 |
消費税施行後初の値上げ |
1992年11月~1996年3月 |
4800円 |
クリッターカントリー公開後 |
1996年4月~1997年3月 |
5100円 |
トゥーンタウン公開直前の値上げ |
1997年4月~2000年8月 |
5200円 |
消費税率改定対応 |
2000年9月~2001年3月 |
5500円 |
プーさんのハニーハント公開 |
2001年4月~2001年9月 |
5500円 |
駐車場料金値上げ |
2001年9月~2009年3月 |
5500円 |
東京ディズニーシー開業 |
2009年4月~2012年3月 |
5800円 |
全体的に値上げ |
2012年3月~ |
6200円 |
大人とシニアを区別し販売 |
※表はウィキペディアを参照し作成
値上げ理由は「消費税」を価格に転嫁するケースと、新しいアトラクションの公開前後のタイミングです。
このことから言えることは、「ディズニーの顧客」が必要とする商品やサービスを見極め投資を行い、その分はしっかり価格に反映しているということです。
「値上げ」でもお客様が増えるのはなぜ?
ここで気になるのは、値上げするとお客様が離れるのではないかということですが、価格を値上げして入場者数が減っているかというと、そんなことはありません。年々増加しています。開業当時の年間利用者は1000万人。ディズニーシー開業前の2000年は1700万人前後。ディズニーシー開業後は更に入場者数を増やし、震災があった2011年は営業日数が減ったにも関わらず、ディズニーランドとディズニーシーの両方の入場者数は2530万人。(データはオリエンタルランドホームページより)
ここでお伝えしたいことは、「顧客」が必要とする商品やサービスを見極め取り組めば、顧客は対価を払うということです。
反対に「顧客」が必要としない商品やサービスを見極めることができなければ、価格競争や顧客離れを起こし、結果として事業が先細って行くことになります。
このことから、私達が取り組むべきことは、「顧客が必要とする商品やサービスは何か」を常に見極め、提供し続けることです。
「楽がしたい」と思う気持ちを捨てる
このようなことに取り組む際に大きな障害となるのは、「楽がしたい」と思う気持ちです。この気持ちがあると、考えることそのものが面倒になったり、腰の引けた対応策しか出てこないため、結果として「価格を下げる」ことが近道だと考えてしまいがちです。
しかし、ディズニーのケースを見る限り「価格を上げるためには何ができるか」と考えるようにしていくほうが、本当の意味で顧客が必要とする商品やサービスの提供をするためのアイデアが出てくる可能性が高まるのではないでしょうか?
次回は、顧客に満足してもらうための考え方を再考します。
本ブログは、職場で20代(若手)を育てたい方のために、どなたでも5分で取り組める人材育成のヒントをご紹介しています。
(参考情報)
オリエンタルランド 入園者数データ:http://www.olc.co.jp/tdr/guest/
東京ディズニーリゾートのパスポート:
ダイヤモンド記事:デフレ下で値上げを打ち出す大型投資回収の"成功パターン"