「やりたいこと」が上司に受け容れられないのはなぜ? 30代半ば
「やりたいこと」を見つけることと、「やりたいこと」とうまく付き合うことのむずかしさを、私の体験からお伝えしておりますが、30代半ばになると、市場(お客様)の変化により新たなニーズが拡大していました。そして私は、その新しいニーズこそ自分が取り組みたかったことでは・・・と、感じ始めます。
「好きなようにやっていい」と言ったから・・・
当時の上司と私の関係は、「社長」と「部下」であり、「コンサルタント」と「営業」でした。社長はとても包容力のある人で、常日頃「好きなようにやっていいよ」と、言ってくれていました。そして、今回も私が取り組みたいことに、きっと賛同してくれるはず・・・でした。しかし現実は、全く逆の反応を見ることになります。
最初に考え方の違いが露呈したのは、自社の看板商品を作るべくヒューマンスキル系のプログラムをブラッシュアップしていた時でした。コンサルタントである社長が考えたものと、私が希望するものとで意見の食い違いが生じたのです。どんなに話し合いをしても話がかみ合うことがなく、徐々に溝ができ始めます。
そして、更に新しいテーマ(自分がやりたいこと)を持ちかけます。
社長としては、1つのことも解決していないのに、さらなる火種を持ち込まれた印象を受けたことでしょう。溝は更に深まりました。
一方私は、社長の考えを汲む気持的なゆとりが全くありません。「好きにやっていいよ」と言っていたのに、難色を示す上司に、私はイライラ感を募らせる始末。というのも、営業にとって商品やサービスは売上に直結するもの。それを武器として持てないのは致命的と感じていたからです。今思えば、会社が目指す方向と「やりたいこと」がズレていたのですが・・・。
それを図解すると、以下のようなイメージになります。
今はこのように図解することによって「私が言っていることがズレていたんだな~」とわかりますが、当時は「自分が正しい」と思い込んでいたため、上司や周囲が理解を示してくれない理由が全く分かっていませんでした。
ズレないために必要なもの
本来このようなズレを極力なくし、一人ひとりが会社の方向性を理解し行動したり、新たな提案ができるように、「経営理念」「運営方針」「中長期経営計画」などがあるわけですが、残念ながら小さな会社には大まかなものしかなく、個人個人の価値観によって進められていました。
私としては、「自分がやりたいこと」が「否定された」気持ちでしたが、実は会社の方向性に関わる大きなテーマを、簡単にぶつけていたのです。これでは、自分がやりたいことが通るわけはありません。その会社の中で通すのであれば、もっと慎重に丁寧に周囲の理解を得ながら進めれば、少し違った結果となっていたかもしれません。(或いは一緒だったかもしれませんが)
多くの企業で「新規事業を提案しろ!」と言いながらもいざ提案すると「アイデアが出ない」「通らない」事態が多いのも、実はこの「方向性」を詰めないうちに進めているからかもしれません。
「やりたいこと」が見つかっても、それを実現するためにはなかなかどうして大変です。次回も続きます。