オルタナティブ・ブログ > ひといくNow! -人材育成の今とこれから- >

HRD(人材の育成、教育研修)の現場から、気づいたこと、アイデアを発信します。初めて人材育成や教育担当になった方でも、わかりやすく、取り組みやすい情報提供を目指します。特に、20代~30代を元気にしたいご担当者様、是非このブログにご参加ください。

「出来ない」とすぐ言う部下に"やってもらう"には?

»

部下の育成に困っていらっしゃる方から、次のようなご相談をいただきました。「イレギュラーなお願いごとをすると、即答で"無理です。できません"と言われてしまうんです。いつもネガティブな反応で、こちらも疲れてしまいます」・・・なるほど。部下のネガティブな反応は、こちらのモチベーションも下がりますよね。今日は、ネガティブに反応する部下との付き合い方のヒントをご紹介します。

先日、ある課長さんから、自分の課のTさんという中堅のリーダーについてのお話を伺いました。それは次のようなお話でした。

中堅社員Tさんの例

Tさんは事務系部門のスタッフ職です。入社8年目で30代の社員です。Tさんには、2名の後輩スタッフがいて、3人チームで仕事をしています。チームはしっかり仕事をし、確実に納期を守ってくれます。通常業務に関しては任せて安心です。ただ、先日次のようなことがあったそうです。

他部門から上司である私(課長)に次のような連絡があったんですよ。「先日Tさんに、"イレギュラーな処理が入るため、20日までに送らなければならないデータが、25日になりそうだ。申し訳ないが、納期を延ばしてもらえないか"と相談したら、"それは、無理ですね。"と即答されてさ、それ以上のことが言いづらくなって、言えなかったんだよ。申し訳ないけどさ、処理の件、何とかしてもらえないかな?」

そう頼まれたので、Tさんに「先日イレギュラーな処理があるから、データの納期を延ばしてもらえないかって相談があっただろ?あれって、何とかならないかな?」と言ったところ、「ダメですよ課長。そんなことしたら、他の時も納期を延ばす交渉が入ります。他の部門が今回のイレギュラー処理の事を知ったら、他の部門からもそんな交渉が出てきます。それが続いたら、大変です。課長はいつもそうやって聞いてきてしまうので、本当に困るんですよ。」という反応が返ってきたんですよ。

"他の部門の処理が入るから、1部門だけのデータが遅れても、処理そのものには問題がないはずなのに・・・。今回の件に限らず、Tさんは融通が効かなくて困る。そもそも、何とかしてやろうという気持ちがないのがいけない。仕事に対してのプロ意識がないんじゃないか。リーダーとしては、もう少し柔軟に物事にあたってくれないと、後輩も育たないじゃないか"・・・と、課長はおっしゃっていました。

さてこのお話、あなただったらどのように思われますか?

なぜTさんは「できない」と即答するのでしょうか?

それではここで、Tさんが「できない」と即答する理由を考えてみましょう。是非、イメージしてみてください。

よくある理由としては次のようなものがあります。 

・表現力不足・・・相手の意を汲んでコミュニケーションを取るスキルが不足しているため

・個性の問題・・・「できないものは、できない」など、結論だけを言われた方が"早くていい"と、本人が考えるので、他の人もそうだと思っている。自分主体の考え方をするタイプのため

・過去の経験の問題・・・過去に、納期を守らなかったことが理由、或いはイレギュラー対応が理由で、大きなトラブルに発展した経験があり、「同じ問題を繰り返したくない」と思っているため

・後輩メンバーに対する配慮・・・後輩に負荷をかけたくないという気持ちが強いため

・組織に対する不満・・・経営者や上司の、仕事に対する考え方や進め方、評価、仕事上の人間関係などについて、何かしらの不満を持っているため

・上記以外の問題・・・家族の問題、自分の健康の問題など、他の人には言えない問題を抱えているため

他にも考えられる要因はあるでしょう。

要因が特定できない・・・そんな時は?

問題解決のセオリーとしては、要因を特定した上で解決を図ります。しかしTさんのようなケースでは、1つの要因ではなく、複数の要因が混在しているケースも考えられます。真の問題にたどり着き、解決を図っていくのは、なかなか大変ですね。

そこで、上司という立場だからこそできる、コミュニケーション上の一工夫をご紹介します。

 STEP1:課としての運営方針を課長自身が明確にする

 上記のケースであれば、「イレギュラーなケースでも、納期に問題がない範囲であれば、対応する」など、自分がどのような課にしたいのか、明確にします。またその時に、「万が一問題が起きたら、自分が責任を取る。」と決めておきます

 STEP2:課としての運営方針と、「問題が起きたら自分が責任を取る」ことを、課員全員(ケースの例で言うと、Tさんと後輩2名)に伝える

 STEP3:その上で、「できない」と言われたことについて、「できる方法はないだろうか?」、「他にアイデアはないか」、「2日間延ばせないか」など"できる方向で考えるように"、課員全員に問いかける

 STEP4:(通常は、アイデアが出てきますが、もし出てこなかったら)自分が用意した解決策に則って、仕事を進める依頼をする

 STEP5:その解決策に対して、メンバーからリスクや不満点を聞いた上で、「自分が責任を取るから大丈夫」と伝え、Tさんに依頼先の他部署に、「(必要に応じて自部署の状況も伝え)こういうことでしたら可能ですが、いかがですか?」と、伝えさせにいく

 STEP6:依頼先の他部署の回答を元に、仕事を進める。またTさんには、仕事の段取りの計画を提出してもらう。

 STEP7:仕事が完了したら、みんなの協力に対する感謝を伝える。上手くいったこと、そうでなかったことを確認しておく。自分に対するリクエストも聞いておく。

こうした進め方を繰り返します。(繰り返す期間は、3ヶ月~半年。コツコツ、タンタンと取り組みます。部下が最初はぶつぶつ言うかもしれませんが、気にしないことです。)

今日のまとめ

ご紹介したようなケースは、職場では多かれ少なかれあることです。上司としては、色々な要因を検討し対応しようと考えますが、相手の言動を探らずに、シンプルに進めた方が、上手くいくことが多いです。

というのも、上記の進め方を繰り返していると、Tさん以下メンバーが、他部署から「ありがとう、助かるよ」と言われるなど、周囲からの反応に手ごたえを感じられるタイミングがあるからです。

そうした手ごたえをメンバーに感じてもらうための道筋をつけていくのが、上司の仕事です。

また、もう1つ言えることは、「出来ない」か「出来る」かという2者択一的思考しか知らない人が多いようです。「他に方法はないか?」「ここまではできそうだ」という代替案を考える思考習慣がないのです。そのため、代替案を考えることを繰り返し行わせる、職場での習慣が大事なのです。

「出来ない」と言われたら、上司としての腕の見せ所です。是非、「何かできることはないか?」など、相手の思考を拡げるサポートをしてみてくださいね。

 

 

       

 

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する