世界のローカルな"常識"が良く分かる『地球ラジオ』
「年中行事や祝い事に食べるものはありますか?」(2010年9月11日放送)という質問に、オランダ、ドイツ、トルコ、アメリカ、フィリピン、中国、インドネシア、フランス、イギリスなど世界各国で暮らす日本の方や、日本国内の各県からも情報が寄せられる『NHK地球ラジオ』という番組をご存知でしょうか?日本国内はラジオ第一放送、海外では、NHKワールド・ラジオ日本(短波)を通して放送されている番組です。今日はこの番組で知ることができる"価値観"についてお伝えします。
プレゼントが失礼なプレゼントに・・・
これは、私の大失敗経験です。10年ほど前、夏に、日頃お世話になっている方にお花を送ろうと考えていました。その方は60代の女性でした。(仮にAさんとします)Aさんは品があり、高貴なものを好まれる方、というのが、私がその方に持っている印象でした。お送りするのは、夏の時期です。すぐにしおれてしまったり、傷んでしまうと良くないと思ったので、注文する際に「気品のある感じで、長持ちするお花をお願いします」と、伝えました。すると、夏の暑さでも長持ちするのは、百合とのこと。それでは、「百合の花をメインに、品がある感じで」とお願いし、注文を終えました。
そして数日経ってから、他の方から次のようなことを言われました。他の方を仮にBさんとします。
Bさん:「この前、Aさんにお花を送ったでしょう?その時、どんなお花を送ったの?」
私:「長持ちする"百合の花をメインに、品がある感じで"と言いました」
Bさん:「あー、そういうことだったのか。いえね、"仏花が届いた"と言ってたから」
私:「えぇ!?」
Bさんからそう言われた時、私は「なぜ、Aさんは私に直接言ってくれないんだろう?」と、思ったものでした。逆に、"せっかく送ったのに、お礼の一言もないAさんを失礼な人"ぐらい思っていました。なんともまぁ、常識がないというか、ピントのぼけたことを思っていたのです。しかし、当時は全く気付かなかったのですが、お花を届けた時期は、ちょうどお盆でした。知らないということは恐ろしいことです。
BさんがAさんに、私の意図を伝えてくださったためか、それからしばらくして、Aさんは、「素敵なお花をありがとう。物凄く長持ちして、楽しめたわ」とおっしゃってくださいました。
後から振り返って思うことは、私の常識がなかったことに対して、私からお詫びをしなければならない立場でした。Aさんが、Bさんから情報を得て私の意図を汲んで下さったので、問題にはなりませんでしが、常識がないということは、自分がよかれと思ってしたことが不敬にあたり、相手を不快にさせてしまうこともあるんだということに気付かされた出来事でした。
それ以来、世代や風習などの"常識"について、知る努力が必要だという認識を持つようになっています。
各地域の"常識"をキャッチするには?
冒頭でご紹介した、「年中行事や祝い事に食べるもの」の質問には、次のような回答が寄せられていました。(『地球ラジオ』ホームページより引用)
例えば、お餅を配る風習は、様々な地域で行われているようです。
神奈川県:家の新築の時に、屋根からお餅を投げる風習
石川県:赤ちゃんが無事に生まれることを願って、コロコロ餅を配る
その他のお祝い事でも配る
韓国:新しいお店の開店、引っ越し、新築の時に、近所にお餅を配る
この他の地域からも沢山の情報があります。
また、2009年6月27日の質問には、「花の贈り方に決まりはありますか?」という質問が。
イギリス:お見舞いには赤い花と白い花は避けること。白い百合もお悔みやに使われる花で、お見舞いにはタブー。
インドネシア:ご主人(仏教)が、誕生日にプレゼントしてくれたお花が、黄色のおおぶりな菊でトライアングル状になっていたもの。(もらった奥さんは、とても悲しかったそう。今では文化の違いとして笑い話に)
カナダ:お見舞いの際に、"手入れが簡単で、長持ちする"という理由から、鉢植えを贈る。
オーストラリア:母の日に黄色の菊。菊の花の英語名がクリサンタマムで、"マム"を意味するため。白い百合はお葬式の花。
アイルランド:食事に招待された時、小さな花束を。カーネーション、バラ、フリージアなど。
など。結婚式にカサブランカ(百合)を使う日本とは、全く違う感覚です。
グローバルになればなるほど、ローカルな"常識"を踏まえたコミュニケーションが大切になってきます。各地域にいらっしゃる日本の方から情報をもらえるラジオやインターネット、上手く使いこなせば、スムーズにコミュニケーションが取れそうですね。
なお、『地球ラジオ』のホームページでは、過去の番組で紹介された質問とその回答、その他の情報も掲載されています。ご興味のある方は、サイトも見どころがいっぱいですよ。
(参考情報)
NHK地球ラジオ(放送日:毎週土曜日・日曜日 日本時間午後 17:05~18:50)