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日本や日本人って何だろう。改めて「海外」を考えるヒントを身近な話題から

「日本品質」で世界を制す を読んで

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前回前々回に続く第3弾。日本のサービス産業がグローバルに通用するという仮説を後押しする本としてタイトルのものが出ている。

内容的には

  • 「機能的品質」と「情緒的品質」という2つの品質が定義され、後者の重要性を強調
  • 「情緒的品質」を実現するものとして3S(ストーリー、サプライコントロール、サービス)を指摘
  • 実際に、出て行く海外進出や入ってくるガイジン受け入れでの国際化を上手く果たしているサービス業の事例として、ヤマト運輸の上海・シンガポール進出、セコムのイギリス市場開拓、加賀屋(金沢の旅館)の台湾人受け入れなどを紹介
  • 実現する手法として「つなぐ化」を提唱

というものである。

「情緒的な価値」=「ブランド論」として似たような話もあったような気がするが、明確に「人に支えられたサービス」を対象としており、それらが「日本発で輸出可能」であることを示しているのは新しい視点といえる。

コンサルタントの良心として、ちゃんと「提言」までが書かれているところが流石だと感じさせてくれるオススメの本。

この著書、遠藤功氏は「見える化」「現場」で有名な方ですが、私自身もコンサルティング会社在籍時代に社内で高い評判を得られていた方だったと記憶している。

残念ながら私自身は直接プロジェクトをご一緒する機会には恵まれなかったが、私よりもちょっと先に入社した同僚のコンサルタントやアソシエイトからも尊敬されていた。

ちょうど、10/21には、ヤマト運輸の香港進出(宅急便事業、コレクト事業)が発表された。上海、シンガポールについで3地域目である。

お役所と政治家の成長戦略ではインフラ輸出がフォーカスされているが、実際のビジネスではフランチャイズによるノウハウを核とした「サービス業輸出」が既に進んでいることを実感させられる。

「人的サービス業が海外進出する場合、日本国内の雇用が産出されない」という批判もあるかも知れない。が、「直接雇用が産まれなくても、利益が日本に還元され賃金として分配されたり、税金で再配分されればそれでいいのでは?」とも思う。

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