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日本や日本人って何だろう。改めて「海外」を考えるヒントを身近な話題から

海外の航空業界が先行する「個別サービス有料化」は、日本では家電業界に浸透している?

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前回に続いて、「サービスの競争力」の話である

羽田の国際空港化を控えて、報道番組の特集ではエアライン関連のネタが増えてきた。
本日(10/19)は、報道ステーションが韓国のLowCostCareerであるチェジュ航空を取り上げ、裏番組の「ガイアの夜明け」では、羽田空港周辺のビジネスが取り上げられていた

海外旅行をすると気付くが、対価に応じて微妙にサービスレベルが変わることを飛行機の中で痛感させられる。。

例えば、

  • 座席の間隔が広いことを理由付けにしてプレミアムシートとして、追加料金をとる。
  • アルコールは一杯5$、映画や音楽用ヘッドホンも5$
  • 機内食も有料化
  • 機内のトイレの有料化、
  • 手荷物への課金、
  • (相撲取りのような)大柄な乗客への2人分課金、

等々、”新有料サービス”が次々に”開発”されている。 

価格競争が行くところまで行き着いた後、付加価値競争で客単価をあげるには価値を認識してもらうしかないから、こうなるのであろう。
「今までは当たり前と思っていたものに、ある時点から、対価を払うかサービスレベルを下げるか二者択一」を迫られる。

これが日本人的感覚だと、「常に定食セットで全部入って”込み込みで幾ら”のハズ。しかも、サービスレベルは維持したままでの競争になる」という感覚。
その結果、供給者側は日本国内の過当競争で疲弊することになり、経営側としては痛し痒し。

エアラインに関しては、私はJAL愛好家なのであるが、そこに至る経緯としていい体験をしたことがある。

同じOneWorldのグループで一度だけ浮気してAAに乗ったのだが、そこではスーツケースのキャスターが割れて出て来た。が、翌月のフライトでJALに乗った際には、海外空港のLuggageで荷物をピックアップした際に「お客様のお荷物の傷は、今回のフライトによるものですか?」とJALの社員から聞かれた。利用頻度の高い乗客だと思われていたからこその対応だとは思うが、悪い気はしなかった。この辺の「おもてなし感覚」は日本人・日本企業ならではという気がする。

まあ、これでprofitが出せていれば良いのだが、JALの経営を見れば実際はそうでもなかったということなのかも知れないのが残念なところ。。
JALのサービス・クオリティを訴求できれば、日本人からだけではなく、外人からの収益を考えるのが正しかったのかも知れない。OneWorldの会員には、AAで予約してJALのコードシェア便に乗ると得した気分になっているガイジンが多いのではないだろうか?

お客様からは、「グローバル企業のグローバル品質って、欧米レベルに留まっていて日本企業の水準には達していないということなんでしょ?」と言われたこともある。
耳の痛い話ではある。

が、「競争力」というからには、企業としては収益化しなければいけない。

顧客満足度を、客単価の向上、リピート率の向上、新規需要の開拓,etc.へといかにしてつなぐか。コストセンターからプロフィットセンターへ。

これができなければ、徹底したLow Cost Operationに向かわざるを得ない。

前述の韓国チェジュ航空を紹介した番組では、

  • スチュワーデスが乗客の降機を待たずに着陸後すぐにトイレ掃除をはじめたり、
  • ベテラン整備士が支店長となってモチベーション向上させるとともに、切符のモギリから整備確認まで何役もこなしたり、
  • パイロットは退職者の再雇用を活用し、賃金は日本の1/3
  • 座席の間隔を詰めて、1回のフライトでのキャパシティを増加
  • 早割りや直前のオークションを用い、直販サイトで座席を売りまくる
  • 整備時間を切り詰めて、1日のフライト回数を最大化
  • 飛行機の型番は1機種だけに揃えて、整備作業を効率化

等など、様々なBPRの工夫が、「これでもか」とばかりに紹介されていた。

「飛行機は地上ではなく空にいる時間が長くなければダメ」という社長の言葉が引用されていたが、「飛行機=営業マン、空=お客様」と置き換えると、どこかの会社で聞いたような台詞である。

これはこれで一つの方向であることは間違いないだろうが、「なんか違う。日本人・日本企業は別の”高付加価値化”の方向へ行きたがるだろうな」という気もする。
例え、そこが、万人の生き残れる世界ではないとしても。。

そんな低価格化競争の世界で、サービス高付加価値化の手段を併用していると思われるのが、家電量販の「ヤマダ電機」ではないかと感じる。最近、家電の買い替えが頻発した関係で、個人的な利用頻度が急激に高まっており、気付かされたことがあるからだ。

ご存知の通り、家電量販業界というのは航空業界におけるLCCのように、低価格化競争が激しい世界だ。

店員さんと会話しながら彼らの持っている端末を覗き込むと、他店舗での価格情報を提供している。
「新宿のXXXカメラさんが、本日XXX円出してますから、うちはポイント還元ならXXX円までやりますよ」という返事が帰ってくる。
「他店並みに対抗はするけど、それ以上は値引きする予定はないので、無駄な交渉に時間をかけるのはやめましょう」という、無言のプレッシャーを感じる。

店員さんの中にはメーカー派遣の方が混在しており、いわばBusiness Process Outsourcing が実現されている。
メーカー派遣の方々は、値引き交渉やレジでの会計処理に関するところは携わらないが、他社比較などの商品説明や伝票記入のようなところまでは主たる業務として実施している。

一方、サービスの有料化という観点では、大型家電を購入して初めて分かったことだが、昔であればサービスでコミコミであった配送・取付け関係のサービスが実に細かく定義されている。

例えば、エアコンの部品オプションや冷蔵庫の搬入に関するサービスでは、取り付け工数や部品の料金が、設置場所や搬入経路によって細かく定義されている。

  • エアコンでパイプの外観をカバーする部材について長さ単位でXXX円、
  • 冷蔵庫で一軒家の2Fに階段で上る場合はxxx円up、
  • 配達の時間指定で指定ナシ、時間帯指定、Just in Timeで追加料金xxx円

など、事細かに決められている。

現場での手戻りがないように、工事や搬入の見積もりが事前確認にもやって来る。
おそらく、運びこめないことによるキャンセルや機種変更、それに伴う返品の事務処理など結構な工数がかかるので、事前確認の工数を割いても採算が合うのであろう。

マーケティング的に言えば、「BundlingからUnBundlingへ」という価格戦略の実践

実は、客の側からすると、元々たいして使っていなかったサービスである場合、別に切り出して有料化されても、今さら不満が出る可能性は少ない。また、使うときは、許容範囲内であれば価格に関わらず使うサービスである場合、サービス収益源にもなりえる。

アイルランドのRianAirが言い出した機内トイレの有料化や国内線貨物の有料化については、実は(既に利用率が低い)前者のケースではなかろうか?飛行時間が1時間くらいのシャトル便なので、有料化→利用率低下→清掃コスト削減のようなことを考えているのであろう。

機内食、アルコール、国際線の荷物などの有料化については、本当にコストがかかるので、「有料化によるコスト回収&利用率低減による赤字解消」が目標にあると考えられる。

JALだって、機内販売の売り子さんとして活躍するスッチーなど、機内での客単価向上には頑張っている。

羽田空港が国際化すれば、都心までのアクセスは首都高一本となってシンガポール並みに向上し、多くのガイジン客が、「ちょっとたまには東京にも立寄ってみるか」と一度は試しに浮気してくれるであろう。このチャンスを逃さず、「日本的な高品質のおもてなし」を収益に変えて生きたいものである。

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