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日本や日本人って何だろう。改めて「海外」を考えるヒントを身近な話題から

夏場の電力ピーク時には、アロハや「かりゆし」を着てお店に集合というのはいかが

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国内でのサマータイム導入には過去何度か議論されており、2005年頃の金属労協での検討結果こちらにまとめられています。この当時は、「ライフスタイル変革のキッカケとして導入に積極的」だったように見えます。

しかし、元々サマータイムが出てきた欧州は緯度が高いので、日本人の感覚を越えて「アフター5」が異常に長くなります。

例えば、7月のロンドン(緯度51度)にいたことがありますが、この時期には日の出が4時・日没22時となっており昼間の時間が18時間もあります。夕方15時頃(通常の16時)からパブはHappyHourとなり、14時頃(通常の15時)には仕事を切り上げて飲みに出かけるモードになります。また、18時頃(通常の19時)からは、日本の丸の内・茅場町のようなオフィス街のど真ん中でハーフ・マラソン大会が行われたりします。

つまり、サマータイムというのは、長い「明るい夜」を余暇時間にするというインセンティブでもって仕事時間を短縮しているところに意味があると考えられます。しかし、緯度が35度の日本では、日の出が4時半、日没が19時半と言う程度ピークシフトで15時に仕事を終えたとしても、残り4時間ちょっとでは余暇を楽しむには通勤時間を考えるとちょっと中途半端。しかも13-15時のピークはコアタイムから外せないということになってしまいそうです。(緯度による日の出、日没時間の詳細はこちら

一方、今回の主目的は電力ピークカットなので、13-15時をホワイトカラーのコアタイムからはずしたり、家庭用エアコンの需要を減少させることが必要でしょう。とはいえ、産業復興を考えると、今回の計画停電の学習効果から、プラントやクリーンルームなど24時間x365日連続運転しないと意味のないところには優先的に電力供給をするべきでしょう。

古い資料ですが、業種分野別電力需要予測のようなものがこちらにあります。

すでに、家庭用、業務用、産業用が3割ずつくらいとなると、落とすべきは最終需要である家庭用需要および業務用の一部でしょう。伸びてきているのは業務用(サービス産業やホワイトカラー向けオフィス需要)ですが、ここを落としすぎるのも経済活動に支障をきたすでしょう。

そこですぐにできる草の根活動の提案ですが、元々、昼間の時間にも業務上の観点から冷房をつけざるを得ない飲食系サービス業(マクトナルド、スタバ、ファミレス、カラオケボックス)のようなところに、「サラリーマンも家庭の主婦・子供も集合」というのはいかがでしょう。消費喚起・経済復興と合わせて「一石二鳥」を狙うという発想です。

ホワイトカラーはそこでテレワークするもよし、昼寝して涼しくなってから残業するもよし。主婦や子供は、TVを観たり勉強するのも、ご近所と一緒にすることで冷房節約に貢献するとともにローカルコミュニティの復活にも貢献。商業施設だけではなく、図書館とか児童館のようなところに出かけるのもいいでしょう。

飲食店側にも、「節電に協力し、料金のxx%を義援金」という流行のキャンペーンで需要喚起を期待します。小売店であれば、「電力ピーク時間に特化したタイムセール」とか、「品薄のミネラルウォーター、紙おむつなどをこの時間帯限定で売り出す」というのはどうだろう。とにかく、自宅から外出してどこかに集まることにより、家庭内冷房需要を引き下げ社会全体の冷房効率を上げるという発想です。

もちろん、全体の電力需要も減らすべく、冷房の設定温度は28℃から29℃へ1℃あげる。その分、今のクールビズを推し進めて、ハワイや沖縄のように「アロハ」や「かりゆし」を正装として認めるということも必要。花火大会に備えて浴衣まで認める手もあるか。。(さすがに、短パン・Tシャツはまずいでしょうから)

消費者として「スマートな電力ピーク時の過ごし方」というのは、ピーク時の総需要を減らしつつ、「冷房効率を上げる=1台のエアコン(1部屋)で、できるだけ大勢の人間が涼をとる」ということだと理解したいです。

少なくとも空の大部屋を冷房で冷やし続けるのはご法度ですね。マーケティング担当者としては、夏場のセミナー開催が思案のしどころ。。

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