[書評]昭和史から現代への教訓を学ぶ
日本史の授業を習ったときに、どうしても近現代は端折られがちです。でも、私たちが暮らしている現代の社会構造のほとんどはこの昭和時代につくられ、そして崩壊していった歴史があります。
昭和時代は波乱と陰謀からスタートしました。張作霖爆殺事件、日本陸軍の暴走が「沈黙の天皇」によって正当化され、満州国建国が進められます。一方の海軍では、海軍軍縮条約で軍部に対する政治不介入を「統帥権」という言葉によって認めさせてしまいます。
この「沈黙の天皇」と「統帥権」という2つの“魔法の杖”によって、昭和初期の軍部の暴走が規定され、悲惨な戦争への道がはじまったのです。もちろん軍部の中にも良識派というか穏健派はいたのですが、様々な内外の要因と政治的な派閥闘争によって追いやられていきます。
歴史のなかでifは禁物とされますが、この昭和初期の軍事国家に至るまでの道は、まさかと思われるような事柄がどんどん重なっていった経緯が分かります。本来は政治や軍部の監視機能として存在していたはずのマスコミが国民へと流れる情報を統制していった状況は、現代においても寒気がする話です。
著者は昭和史を通して日本の国民性に対する警鐘を示しています。いずれも思い当たる節があり、現代でも通用する内容ですね。三百十万もの尊い犠牲の上に暮らす我々としては、過去の失敗から学ぶことが必要でしょう。
1.国民的熱狂をつくってはいけない。
2.最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、具体的な理性的な方法論をまったく検討しようとしない。
3.日本型タコツボ社会における小集団主義の弊害
4.国際社会における日本の位置づけを客観的に把握していない、常に主観的思考による独善
5.何かことが起こったときに、対症療法的な、すぐに成果を求める短兵急な発想
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