バリュープロポジションとは? - 永井さん講演「顧客中心主義のためのマーケティング」
2009/4/26(月)、アイティメディアの新人研修の一環として、オルタナブログではお馴染みの永井孝尚さんにご講演いただきました。新人以外にも、私含め30名ほどの社員も参加させていただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
テーマは、「顧客中心主義のためのマーケティング」。
大きなポイントは2つありました。
- マーケティングの出発点は、顧客価値
- 個人活動と企業活動が、融合する時代
本エントリは主に1についてのメモです。2についてはもう少し咀嚼したいので、次回のエントリで詳しく書きます。ちなみに、講演資料は一部を除いて永井さんのブログで公開されております。ぜひご覧ください。
■マーケティングの出発点は、顧客価値
- バリュープロポジション(※)を明確にする
- 顧客に提供できる価値を絞る、想像する、伝える
この「顧客価値」の説明をされる際に「これは顧客も絞ることにもなりますね」と、何気なく仰っていたのですが、ここは凄く大事なことだと思います。
誰かに価値を提供する、ということは、それが当てはまらない「別の誰か」は当然ながらコアターゲットではないということになります。以前私も「売り上げを上げる方法は5つしかない」というエントリで、「全部を選択するというのは戦略とは呼ばない。優先順位が大事。」ということを書きましたが、ここを意識するかしないかで大きな差が出るのだと思います。実際、このあとIBMのソフトウェアの5つのブランドについてお話いただきましたが、それぞれの成長戦略はとても明確かつ大胆なものでした。
- この15年で約80社買収
- 買収だけなく自社のR&Dに年間60億ドルくらいかけている
- 強み(バリュープロポジション)を把握し、選択と集中をする
その結果として、製品の販売だけでなくソリューションを提供する、ということを一貫しています。
■現時点では、次の10年、その次の10年も同社はこの戦略を変えることはない
@ITでは、2007年に下記のような記事を掲載しています。
米IBM シニア・バイス・プレジデント スティーブ・ミルズ氏へのインタビュー記事です。戦略というのは、まさにこういう「メッセージ」を明確に打ち出せるかどうかということでしょう。狙うべき市場・ターゲットを明確にし、そこで如何に価値(Value)を提案(Proposition)できるか。
そして、これは企業だけでなく個人にとっても今後重要な考え方となる、というのが2つ目のポイントです。個人活動と企業活動が、融合する時代。たとえば、「バリュープロポジション」で検索すると永井さんの下記の2006年のエントリがGoogleでは1番目に、Yahoo!では3番目にヒットします(2010年4月28日時点)。
私の予想では下記の「@IT情報マネジメント用語辞典」が1番にヒットすると思っていたのですが、永井さんのエントリに完敗でした。こういった優れたエントリを重ね、ストックすることが、ブログの有効的な使い方であることは間違いありません。果たして私のブログ(引いては自分自身)ではどれだけバリュープロポジションを明確にできるか。今後の課題です。
※バリュープロポジション - @IT 情報マネジメント用語辞典より引用
value proposition / 価値提案 / 価値命題その製品やサービスを購入・利用することで顧客がどのような便益を得ることができるかを明確化したもの。製品説明資料や企画提案書では必須事項である。
バリュープロポジションは顧客が望んでおり、かつ自社で提供できるものでなければならない。同時に競合他社が容易に提供できないものであることが望ましい。この顧客の要求・ニーズと自社の能力・戦略が一致していないと適切な対応ができず、新たな顧客を獲得できなかったり、既存顧客を失ったりすることになる。
また、顧客の価値観やニーズはそれぞれ異なるので、特に提案営業ではそれを顧客ごとに正確に吸い上げ、個々に適切なメリットを設定して分かりやすく伝えることが大切である。