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メディアプランナーのつぶやき。ITおよび製造業のマーケティングについての考察。ときどきマンガとアニメ。

売上を上げる方法は5つしかない

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私が昨年末に書いた「年末年始に読む本」で紹介した「実戦マーケティング戦略」のなかで、「売上5原則」という考え方が出てきます。

昔懐かしの因数分解みたいなものですが、こういう考え方が苦手な人でも絶対に頭には入れておいた方がいい「公式」のようなものだと思いますので、ここで紹介させていただきます。

まず、会社の利益を上げようとする場合、

利益=売上-費用

となります。利益を上げるためには、売上を上げるか、費用を下げるか、あるいは両方しかありません。本書では、売上を上げることで利益に貢献することを前提に話が進みます。
さて、その「売上」にはどのような要素が含まれているのでしょうか?

売上=客数×客単価

・客数=既存顧客+新規顧客(a)-流出顧客(b)

・客単価=購買回数(c)×1回当たり購買金額

さらに、「1回当たり購買金額」を要素分解すると、

1回当たり購買金額=購買商品点数(d)×商品1点当たり単価(e)

となります。よって、

売上=(既存顧客+新規顧客(a)-流出顧客(b))×(購買頻度(c)×購買点数(d)×1回当たり単価(e))

という要素で売り上げが構成されていることが分かります。現時点での「既存顧客」は一定値として考えると、変動要素は5つ。つまり売上を上げる方法は、以下の5つしかありません。

  1. 新規顧客の増加
  2. 流出顧客の減少
  3. 購買頻度の増加
  4. 買上点数の増大
  5. 1点当たり商品単価の向上

これらの数値を把握することにより、現状分析を行い、かつ経年変化を追うことで中長期的方向性を考えるツールとして使えます。詳しくは本書を読まれることを強くお勧めします。

■間違ったマーケティング戦略を立てないために

「よし、じゃぁ5つ全部とりあえず上げよう!」というのは戦略ではありません。どう優先順位をつけるかが戦略です。また、それぞれの指標に数値目標を立てることで、戦略との整合性が出てきます。

最近流行りのtwitterですが、これをマーケティング活動としてどう使用してよいか迷っている企業は多いと思います。それはそのはず、各企業や各部門によって活動の目的は違うのですから、必然的にその活用方法も異なるのです。たとえば、ITmediaでは各媒体で合わせて30以上のtwitterアカウントを運用しています。一企業としては日本で一番多いかもしれません(他にもっと多いところがあったらぜひ教えてください)。これはITmediaや@ITの読者がtwitterに居るから、また、もっと多くの方に読んで欲しいからです。

いまの段階で、「流行っているから、とりあえずやったほうがいい!」なんてのは何も考えていない証拠です。少し前なら、早くやることによる話題性や優位性があったかもしれませんが、いまは幾つも事例が出てきています。それを学んでからでも遅くはないでしょう。また。それ以前に「企業・部門としての戦略」があるはずです。今一度そこを見直してみましょう。かく言う私も、見直している最中ですが。。

あなたのいる部署で、売上を上げることがミッションであれば、上記の5原則でどれが優先事項なのでしょうか?たとえば、先日のUCCのTwitterキャンペーン。もともとの目的は「これまで露出していた雑誌や新聞とは違うユーザー層にリーチする」ことでした。つまり1番目の「新規顧客の増加」を目指したわけです。このアプローチが一番分かりやすい例でしょう。あとは使い方次第です。ここについては同じく本書で語られている「マインドフロー」が参考になるかもしれないので、後日改めて書きたいと思います。

ただ、「新規顧客の増加」を選択するにしても、他の数値も把握したうえでの選択になっているべきです。もし、新規獲得数は増えていても、2番目の「流出顧客」がそれを上回っていたら結局「客数」がマイナスとなり、売上もマイナスとなります。

「売上が減ってるから、新規顧客を取りに行け!」ってのは、気持ちは分かりますがちょっと落ち着いてください。なぜ顧客数が減ってるか分析するのが先で、そうでなければまた流出の繰り返しですよ。

■数値化の重要性

最後に、数値化の重要性について。本書の表紙には、「マーケティング戦略は数値で検証する」「使える戦略は数値化できる」というキャッチコピーがあります。

数値化の重要な要素として、以下の4つが挙げられています。

1.効果測定
  数値化すれば、効果を検証できる

2.目標の定義と管理
  数値化すれば、日常業務とリンクしやすい(※)

3.ベンチマーキング
  数値化すれば、競合他社との比較ができる

4.シミュレーション
  数値化すれば、事前に検証できる

ちなみに、あらゆるものを全部数値化すればいいという話ではありません。念のため。戦略を「机上」では終わらせることなく、「日々の業務」とのギャップを埋め、目標設定から実行、そして検証までを行うために必要最低限のものだけ数値化すべきです。取りすぎると数字に振り回されるでしょう。

※数値化すれば、日常業務とリンクしやすい

以下、本書より抜粋。

戦略が「紙の上だけのもの」となり、実行されずに終わってしまう1つの理由が、「戦略と日常業務との乖離」です。戦略を立てても、人事評価や売上目標などが別の形で設定されていた場合には、社員はそちらを優先するのが人情です。

ですから、
・戦略を立てたら、数値目標に落とす
・その数値目標をしつこく追いかける仕組みをつくる
の2点が重要です。

つまり、「数字をしつこく追いかけ、それを達成すれば戦略が達成される」という状態を作るのです。高付加価値戦略をとるなら、例えば「商品単価の上昇度」で人事評価を行うのです。当然と言えば当然ですが、人事評価のしくみと戦略が完全に一致している企業は、経験上非常に少ないのです。

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