チャットボットはどんどん利用して「いいね」「よくないね」を入れよう
ここのところ、チャットボット導入のニュースを多く見かけるようになりました。利用者が質問をチャットで入力すると、システムが質問の意図を理解して、適切な回答を自動で返すという仕組みです。 チャットボットの歴史を見てみると、なんと1966年に原型が生まれているということです。ELIZAという対話型の自然言語処理プログラムで、精神療法におけるセラピストの役割として活用されていたようです。PCが誕生していない時代に、すでに原型があったというのは驚きです。
Microsoft Officeの昔のバージョンに、イルカが画面上に泳いでいたのを覚えている方もいると思いますが、あれもチャットボットの一種でしょうか。 この辺りはチャットという感じは弱かったと思いますが、LINEやSiriが浸透してきたことで、チャットが何かということが理解され、その便利さはここ数年で広く認知されてきました。
昨年くらいから随分とチャットボットが話題になってきましたが、こうしたチャット利用の普及と合わせ、応答のエンジンとして人工知能が活用されるようになってきたからです。 チャットによる自動応答サービスの中には、実は「中の人」が人力で答えている、なんてケースもあるようですが、応対に関わる人件費を減らして24時間対応を実現することを目的とする場合には、ボットによる自動応答が不可欠です。
チャットボットの中のエンジンとして人工知能が活用されているのは、質問者からの質問を理解し、自動的に分類し、その分類に対応して用意されていた回答一覧から選択して回答を返す、という流れの部分です。 各社様々なエンジンを搭載していますが、IBMのコグニティブ・コンピューティング・システム、Watsonをコアとしたチャットボットの事例が昨年末続けて発表されました。
Watsonは初期段階では「大いなるポテンシャルを秘めた赤ちゃん」なんて言われたりもします。はじめはWatsonの中身は空っぽといってもいいのです。キーワードを関連性をつけて徐々に覚えこませていくことで、正確な認知が進み、返答の精度が上がっていく、というのがおおよそのイメージです。
JALのケースでは、リンクの記事にも記載がありますが、JALとIBMの社員が事前学習に取り組みました。想定質問を入れてそれにどう回答するのがいいのか、いわばテストケース集めです。最終盤では私も質問文の入力で少しだけ参加しました。
この際、質問への返答内容に満足、納得した場合には「いいね」を、不満や要改善と思ったら「よくないね」ボタンを押します。これにより、システムがより正確な回答に向けて学習することにつながるのです。
期間限定サービスのためすでに終わってしまっていますがJALのケースも、そして現在サービス中のネスレのサービスもともにこの「いいね」「よくないね」機能があります。この機能があるチャットボットを使う際には、遠慮せずにどちらかのボタンを押しましょう。精度向上に貢献できるのです。
また、チャットボットへの入力を繰り返していくと、どんな表現なら認識されやすいかを掴めていくような気がします。
今後ともチャットボットは広がっていくでしょう。そして精度も高まっていくでしょう。工夫されたチャットボットが出てくるのは楽しみです。精度向上のため、どんどん楽しんで使っていきましょう。
赤ちゃん同伴のハワイ旅行の疑問に答えるJALバーチャルアシスタントサービス開始(ITmedia)
「Watson」が自動応答で顧客サポート ネスレと日本IBMが新サービス(ITmedia)
下部の「チャットで質問する」がチャットボットIBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)