自社製品の情報がメディアに多く掲載されるということ
私は日本IBMのデジタルセールスという立場で、日々お客様にIBMの製品・ソリューションをご提案しています。現在の担当製品はクラウド型のアナリティクス・ソリューションで、以前ブログでご紹介したNoSQLタイプのクラウド型データベース製品「IBM Cloudant」、セルフサービスのクラウド型分析ソリューション「IBM Watson Analytics」などです。
特定の製品を担当しますので、その製品についてはそれなりの知識を持つ必要があります。では、営業はどのように製品の知識を得ているのでしょうか。何を言っているんだ、自社の資料で習得しているんだろ、研修があったりするんだろ、というように思われるでしょう。もちろんそれはそのとおりです。そういった資料や研修でわからないことを聞く窓口も存在しています。
しかし、実際には別の切り口からの情報収集の方が役に立ったりします。それはメディア掲載情報です。
ありがたいことに、IBM製品は多くのメディアで取り上げられます。日経新聞をはじめとする新聞各種、コンピューター関連の雑誌もありますが、昨今圧倒的に多くを締めるのはWebメディアでしょう。ITmediaをはじめ、ITpro、ZDNet等多数あります。
自分が担当する製品がどのように取り上げられているのかということを確認する目的で記事を読むのですが、そうすると、その製品に対する受け止め方が自分と異なっていることがたまにあります。これは非常に重要だと考えています。メディアの切り口が100%正しいわけではありませんが、自分の受け止め方、つまり自分がお客様に提案しようとする際の切り口として考えていたのとは、メディア側の切り口が異なっているわけです。自分の切り口は自分で考えたものですのでそれはベースとなりますが、それ以外の考え方、お客様への訴求の仕方があることを知っておくことは、引き出しを多く持つという観点で意味があります。
また、製品によってはIBMがメディアに広告記事(PR記事)を掲載することもあります。これも参考になります。社内の資料は機能や特長については触れられていますが、そっけない文章で書かれていたり、プレゼンテーションソフトで図表を用いて説明されていたとしても羅列されたキーワードを読み取る必要があります。それに対して、広告記事はお客様に読んでいただく体裁をとっていますので、当然わかりやすく表現されています。ですので、そういった記事を読むことで、自分自身の理解を深めることができるのです。広告記事はIBMとしてのお客様へのアピールですので、自分がお客様に提案する際の切り口としては、第一に訴求しなければならないポイントが押さえられているともいえます。
IBM製品がメディアに多く載ることのデメリット(IBM営業にとっての)はあるでしょうか。ひとつあげるとすると、お客様も製品に対する情報をかなりの範囲で入手できるということです。お客様に説明に行く際に、こちらが一から説明しようとすると、お客様がかなりの情報をすでに得ていて、公開情報からではわからない情報にしぼって教えてほしい、というケースもよくあります。
Webに情報が多く掲載されているので、営業が多くの情報を持っていてお客様はほとんど持っていない、という情報の非対称性がIBM製品に関しては少ない、といえると私は考えています。メディアへの露出が少ない製品を扱っている企業の営業担当者であれば、少なくともはじめのうちは自社の情報を提供していくという、情報の保有という観点ではある意味上位に立つことができるでしょう(それがよくないといっているわけではありません)。それがIBMのように露出が大きい企業では難しくなります。ではどうするべきなのか。言い古された言葉ですが、やはりお客様に課題を解決するということを念頭に置く必要があると思います。課題は明確ではないことも多いでしょう。その場合には、仮に課題を作り(仮説を立て)、それに対する解決策としてIBM製品が役立ちます、役立たせることができるのはこのポイントです、ということを自分の言葉で語ることが重要と考えています。
メディアに多数掲載いただけることは非常にありがたいことで、そういった製品を提案できる営業という立場にいることには感謝しています。それをどう活かすかが営業にとっては重要であり、営業の存在価値だと思っています。そういったことを日々考えています。
IBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)