「OS/2復活へ」という記事を目にして
今週、ZDnetで、「『OS/2』復活へ」という記事を目にしました。
もうOS/2というのが何物かご存じない方も増えてきていると思います。OS/2はIBMがリリースしてきたPCおよびPCサーバー向けのオペレーティング・システムです。1985年にIBMとMicrosoftのジョイント・プロジェクトとして開発が始まり、その後パートナーシップは終了し、MicrosoftはWindowsの開発へと進みました。IBMは1996年にOS/2 Warp 4というメジャーバージョンまでリリースを行い、2006年に通常サポートを終了しました。
記事によると、「OS/2エコシステムのベテランたちが運営する組織Arca Noaeが、IBMからOS/2の新たなディストリビューションを販売するライセンスを取得した」とのことですが、そのことについて私が情報を持っているものでもないので、ここではそのことについてのコメントはしません。個人的には、OS/2のユーザー、開発者による年次イベントがこれまで毎年2回も開催されてきていることに驚きましたが。
私が日本IBMに入社した際に使っていたOSがOS/2 Warp V3というものでした。日本国内では、「Warpを使え」というキャッチフレーズで、女優の山口智子さんをTVコマーシャルに起用していたのですが、これを覚えている方はそこそこの年齢以上の方のみとなるでしょうね。当時は、家庭向けPCの「Aptiva」にOS/2がバンドルされていたので、このように一般消費者向けの宣伝活動も行われていたのです。
余談ですが、かつてIBMのTVコマーシャルには、渥美清さん、香取慎吾さんも登場していました。
これ以外に、IBMが以前販売していていまは取り扱いを終了してしまったものはいくつかあります。いくつかではなく、いくつもあるのですが、サーバーやホスト系ではなく、ユーザーとして私が使っていたものから、少しとりあげてみます。「おー、あったあった」と思っていただける方がいるといいのですが。
・Lotus 1-2-3 (表計算ソフト)
・Lotus SuperOffice (Lotus 1-2-3のほか、表計算やワープロアプリ等からなる統合オフィス製品)
・トークンリング (LANの規格)
・IBM WebExplorer (ブラウザー)
・ThinkPad (PC:Lenovoにブランド移管)
・Printer
ご存知のとおり、IBMはPCやIAサーバーをレノボに、POSを東芝に、プリンターをリコーに売却、移管しました。また、これ以外にも多くの製品やサービス等をその時々で売却、移管しています。一方で多くの製品を買収してラインナップに組み入れています。
IBMが創業したのは1911年、いまから104年前のことですが、このとき製造販売していたのはパンチカードシステムです。当時はまだコンピューターはありませんでしたから。その後タイプライターや統計機器などを経て、第二次大戦後コンピューターの開発へと進んでいきます。その後、大型コンピューターだけでなく、中小型コンピューターやPCの開発、ソフトウェアやサービスへの展開と、次から次へと事業構造を変えて、常に時代の最先端にあろうとしてきたのです。
このようにポートフォリオを時代に応じて組み替えてきているので、OS/2や1-2-3がいま存在していないのは特別なことではないのですが、ユーザーとして使っていたのでその意味ではちょっと懐かしいですし、いまでも使っているThinkPad(Lenovo製ですが)はやはり愛着があります。
めったに落ちることのなかったOS/2、個人的にはもう一度ThinkPadの上で動かしてみたいですね。