一途さが評価されてのうれしいひとこと~新人営業時代のエピソード
以前のブログで、IT企業において営業という選択肢について書きました。
人員構成としては、IT企業においてはシステムエンジニア(SE)やプログラマーの比率が大きいのは当然ではあるのですが、他の産業と同じく営業という役割も重要です。私は入社以来同じ会社でずっと営業です。対象となるお客様業種や取り扱い製品、営業の手法はそれなりに変化はありましたが、一貫して営業という職種でした。
前回のブログ記事の最後で、営業でうれしかった、つらかったこと、悩んだことを書いていきますと記しました。一度にということではなく、思い出したときにつづってみたいとと思います。
第一弾としては、新入社員研修が終わって営業として実質1年目の出来事についてです。
お客様のところに通って要件をお聞きして仕様を徐々に固め、自社製品・サービスの提案採用がもうすぐ決まる、というところまできていました。このタイミングで、そのお客様に出入りしていた独立系のIT販社の営業が、私にコンタクトしてきたのです。その会社はIBMビジネスパートナー(販売特約店)ではありましたがIBM以外の製品も広く扱っていて、正直いってまったく存在を念頭においていませんでした。
ここまで自分ひとりでお客様とやり取りしていましたので、一緒にこの案件をやらせてほしい、つまり販売代理店として参加させてほしいというリクエストには、一瞬躊躇しました。
別に、IBM直販でやろうとも、どこかのビジネスパートナーと進めようと決めていたわけでもなかったのです(いまから考えると甘い営業シナリオでしたが)。ただ、大量のPCの搬入をどうしようと考えたときに、深くそのお客様に入り込んでいたその販社と組むことでのメリットも大きいだろうと考ました。
実際に協業をはじめると、機動力もあり、また長年入り込んでいたのでお客様とのリレーションは営業1年目の私をはるかに上回るものでした。担当者は(おそらく)40歳台の方で、営業スキルも非常に高く、徐々に私が助けられていく場面が増えていったのです。
無事に契約を済ませ、機器の搬入の日を迎えました。その日は休日でしたが、前夜からの雪が降り積もり、電車こそ動いていましたが、道路交通は麻痺していました。
私は普段は最寄り駅から5分タクシーに乗って通っていたのですが、大雪のためタクシーは見当たりません。考えても仕方ないので歩くことにしました。大雪で、しかも起伏の激しい土地だったので、たぶん1時間くらいかかったと思います。
大汗をかいて到着すると、そこには、すでにビジネスパートナーの担当者が来ていました。その後運送会社のトラックが到着し、無事に搬入を終えることができました。
お客様へのご挨拶を終えて玄関を出たとき、ビジネスパートナーの担当者から声をかけられました。
「この大雪の中、歩いてこられた中山さんを見て、いままで一緒にやってきてよかったと思いました。これからも全力でやらせていただきますよ」と。
ビジネスパートナーの担当者は営業車で来ていたのです。機器の搬入は販社の役割になっていたので、IBMは立ち会わなくても作業的には問題ありませんでした。私一人がいたところで何かできるわけでもありませんし(営業としては搬入に立ち会うのは当然のことですが)。
それなのに、大雪の中わざわざきたということを評価いただいたのですね。
その後もしばらくの間、そのビジネスパートナーとは一緒にいい仕事をさせていただきました。
なんでもないことではあっても、一生懸命さが伝われば人の心は動くのだなと、新米営業の立場ながら実感させられたのをいまでもよく覚えています。
若くて未熟だったので、必死になってやっていると映っただけかもしれません。でも、一途さというのがとても重要なことなんだと、中堅(ベテラン?)営業になった今、以前にもましてそう思います。