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デジタルでBtoBセールスはできるのか!?

IT企業の営業マンが主人公の小説

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以前、本屋さんが好きという記事を書きました。
普段よく通っている(というよりも通過している)本屋さんで見かけて、タイトルとカバーに書かれているあらすじ紹介だけで即購入したのが、「営業零課接待班」(安藤祐介著:講談社文庫)です。ちなみに通常は、積ん読を抑止するために、書店で気になった本の書名をスマートフォンのメモに入れて、本当に読みたくなったら買うというパターンをとっています。

この小説のストーリーですが、社内中の落ちこぼれメンバーが新たに組織された営業部門「営業零課」に集められ、期限1年のうちに絶対達成不可能とされる50億円の売り上げをあげられなければ組織解体、そしてリストラされると言い渡され、目標達成に向けて奮闘する、というものです。

この営業零課は、これまで攻略できなかった顧客を、基本的には接待のみで口説き落とし成約まで持ち込むことを使命とされます。接待については連夜繰り返してもよく、そのため昼過ぎの出勤でもお咎めなしです。最初にこのあらすじを読んだ際、荒唐無稽なストーリーか、と思ったのですが、読み始めてみるとそうでもありません。
新規顧客を開拓するためのシナリオをチーム一丸で考えたり、社内の協力者を探したり、といった至極まともな営業活動を行い、その後接待に持ち込み案件成約を狙うのです。それはそうですよね、いきなり初めてコンタクトしたお客様に接待を申し込んでも受け入れてもらえるとは思えません。そう考えると、きちんと営業のストーリーになっていると思いました。
ところどころでメンバーが衝突したり、思ってもみない事件が勃発したりという困難を乗り越えながら、目標達成に向けて突き進む、その過程でメンバー全員が成長していく様子がリズム感よく描写されており、読み終わって爽快な一冊でした。つらいこともあるけども営業という仕事はやっぱりいいな、頑張ろうと思わせる内容でした。

実はこの小説の舞台は、商社系ITベンダーなのです。仕事としては、SIerとディストリビューターの両面を持つような感じでしょうか。ところどころで私自身が経験してきたようなIT提案の流れが書かれており、その観点でも非常に興味深い小説でした。IT企業なのに、接待という非常に泥臭い手法で営業活動をしているというのも面白いです。半沢直樹シリーズなど、企業小説は最近人気があるように思います。ただ、IT企業が舞台の小説というのはなかなかないのでしょうか。私ははじめて読みました。
作者の安藤祐介氏は、現在は公務員ということですが、以前IT企業に勤務していたこともあり、それでリアルな描写ができるのでしょう。

爽快感のある小説です。営業という職種に限らず、ちょっと仕事に詰まっているなと思った方、ぜひ読んでみてください。

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IBM 中山貴之のWeb Page

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