【Eco-Responsibility】データセンターでの電力消費
前回は、「ITは2つの『エコ』に責任がある」という考え方の元になった、ITが消費するエネルギーが人類の全エネルギー消費量の5%にも及び、いまなんとかしなければならない、という事の導入編を書きました。【Eco-Responsibility】ITの電力消費について。
何をするか、を討議する前に、もう少し、状況を掘り下げて分析してみましょう。
ITで一番エネルギー(電力)を消費するのは、やはりデータセンターです。ここでは、弊社サン・マイクロシステムズのあるデータセンターを実例に取って、現状を見てみます。
裏側はこんな状態(サンの人間は案外こういう風景は好きかも?!)。
米国コロラド州ブルームフィールドにある、サンのデータセンターでは、2006年5月には1.25MW(メガワット)を変電所から送電されました。ただし、送電損失があるため、実際にセンターに到達した電力は1.2MWでした。
このうち、714kWがコンピュータに供給されましたが、電源装置通過後は、約640kWとなります。また、209kWがエアコンに供給されました。残りは配電時に損失されました。
結果として、サーバやストレージに使用された電力は、変電所から送電された電力のうちの51%ということになります(640kW / 1.2MW)。さらに、コンピュータに使用された電力のうち、そのほとんどが、ストレージやファンなどの駆動系に使われ、最終的に演算に使用された電力は、1%に満たないのです。
以上からわかるように、コンピュータが使用する電力の多くが、発生する熱を冷やすために使用されます。サンのデータセンターは、データセンターを設計する専門家により、冷房効率を最適化して設計されていますが、多くのデータセンターでは、冷房の「かたより」や局所的に温度が上がってしまうため、大きな扇風機やファンを置いて空気を攪拌していることが多いです。これで、空調に係わる電力消費はさらに増してしまいます。
こういった現状を考えると、電力消費を抑えるには、発熱源でどのように工夫して熱の発生を抑えるかに依存しそうです。この件については、また、次の投稿で考えていきたいと思います。
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5月23日、東京ミッドタウン・ホールでサンが「Sun Business.Next 2007」を開催します。私も講演を行います。B-5「ITは地球に対して2つの『エコ』に責任がある」という題です。サンの製品の宣伝をするのではなく、ITが出来る「エコロジー」について、お話をします。ぜひ、お出で下さい。お申し込みはこちらから(B-5を選択してね)。
また、ZDNetさんで、このエコロジーについてのインタビュー記事を掲載してもらいました。「地球に果たす2つの「エコ」への責任。地球にやさしいコンピューティングに取り組むサン・マイクロシステムズ」という、ちょっと長いタイトルです。こちらから、どうぞ。