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政府の新たな情報通信技術戦略の在り方と、2030年以降の未来社会における価値創造のイメージ

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総務省は2015年7月28日、「新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申を公表しました。

検討の背景には、今後、ICTの進展により、ビッグデータと人工知能(AI)による分析・予測の発展により、ICTは様々な分野・業界において「人・モノ・コトと知性」を繋ぎ、新たな価値を創出するものに発展していくと期待されています。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

日本は少子高齢化などの課題先進国において、世界に先駆けて解決を図ることで、ビジネスをチャンスに変えるが可能としています。特に、2020年のオリンピック・パラリンピックは、世界最先端のICTをショーケースとして世界に発信する絶好の機会であり、1300万人を超えた訪日外国人向けビジネスは地方を含めた新たな発展の起爆剤になるとしています。

今後の技術戦略の方向は、

• 多様なモノや環境の状況を、センサー等のIoTデバイスや、レーダー等のセンシング技術により把握し(「社会を観る」)
• それらからの膨大な情報を広域に収集し(「社会を繋ぐ」)
• ビッグデータ解析を行った上で将来を予測し、多様な社会システムのリアルタイムな自動制御等を行う(「社会(価値)を創る」) ものが必要。
• 急増するサイバー攻撃からネットワーク、情報・コンテンツや社会システムを守る情報セキュリティ及び国民の生命・財産を守るための 耐災害ICT基盤を実現し(「社会(生命・財産・情報)を守る」)
• 将来のイノベーションのシーズを育てる先端的な基盤技術を創出する(「未来を拓く」)

ことが必要としています。 新たなIoTの活用をIoT2.0の定義し、IoT活用の好循環サイクルを実現することが必要としています。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

2030年以降の未来社会における価値創造のイメージについても紹介しましょう。

○ ロボットとの協働による、高齢者、障がい者、女性等 多様な社会参加の実現(1)

介護、販売、生産等のあらゆる社会経済システムにおいて、人手不足を解消し、高齢者、障がい者、女性など多様な社会参加を支援するため、外部の膨大なセンサー情報をもとに、AI技術を活用し、緊急時の対応や高齢者の健康を見守りつつ、人間と助け合って働く高度ネットワークロボットを実現。さらに、ロボット同士、自動化システム同士が自律的に対話し、知識を共有することで、社会経済システム全体の効率性と安全・安心を高めることが可能。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

○ ユーザの感情・潜在意識を理解して、きめ細やかに支援するロボットの実現(2)

人間が日々行なっている認識、判断、意思決定といった処理を支援してくれる高度ロボットサービス(コンシェルジュロボット)を実現。日々の行動パターンや、趣味・嗜好、スケジュール等の情報を活用しながら、利用者が今何を求めているかを推測し、最適な情報をリコメンド。さらにコンシェルジュする際に、ロボット同士が自律的にコミュニケーションし、利用者により最適な情報を提示可能。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

◯多言語音声翻訳システムによるグローバルで自由な交流の進展 (3)

世界中どこにいても、観光、医療、ショッピングのような日常会話を超えて、ビジネス交渉、行政手続等の自動翻訳を可能とするほか、言葉だけでなく文化や感情表現等を的確に把握し、表現豊かな翻訳を可能とするとともに、様々な国において現地のテレビ番組や映画等の臨場感あふれる自動翻訳を実現する。この技術を世界に先駆けて社会実装することにより、世界の人々のグローバルで自由な交流を実現し、相互理解の促進や国際問題の解決、我が国の企業の国際競争力の向上に資する。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

◯世界中の好み・ニーズをリアルタイムに把握した生産・供給システムの実現(4)

世界中のあらゆるウェブ、ツィッター等を外国語のものも含めリアルタイムに解析し、世界の人々の好み・ニーズをリアルタイムに把握し、世界で人気が高い農産物・商品を予測することで最適なタイミングで出荷・輸出することを実現。 また、中小企業であっても、好み・ニーズが盛り上がっているときを適切に捉えて、3Dプリンター等の生産技術で少量生産することで、ニッチ市場であっても収益化することが可能。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

◯センサー・ビッグデータを活用した、交通・物流等の社会システムの最適制御(5)

自動運転車ごとに目的地まで最短時間で到達でき、しかも、全体として交通渋滞を発生させないように、自動運転車全体の動きの最適制御を実施。また、外部センサーから収集される情報をもとに、AI技術を活用し、子供の道路への急な飛び出しやゲリラ 豪雨等の突発的自然災害にも適切に対応・回避するとともに、化学物質(PM2.5等)やCO2の濃度を衛星レーダーで広域に高分解能で観測し、環境負荷が最小となるように自動運転車全体の動きを最適制御。これにより、地球環境と調和しつつ、必要な物資を必要な量だけ必要なときに配送する物流の最適化を実現。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

◯個人の脳情報特性を活用した新ビジネスの創出(6)

脳情報計測と解析技術の高度化により、人間の感情や潜在意識等を脳情報から推定する技術が実現し、この技術を備えた簡易かつ安価な計測器の普及によって、様々な状態・活動シーンにおける個人の脳情報特性と脳のビッグデータ(集合知)を最大限に活用した高度なQoLを実現するビジネスを創出。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

総務省では、これらの未来社会における価値創造のイメージをベースに、センシング&データ取得基盤分野、統合ICT基盤分野、データ利活用基盤分野(スマートネットワークロボット技術等)、情報セキュリティ分野、耐災害ICT基盤分野、フロンティア研究分野における研究開発のイメージを示しています。

個人的には、スマートネットワークロボット技術等などの取組みに注目しています。

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出所:総務省 新たな情報通信技術戦略の在り方」に関する情報通信審議会からの中間答申 2015.7

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