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昔読んでいた経験価値関連の本で、顧客満足に優先するのは従業員満足であり、従業員満足があれば顧客満足は自然と生まれてくる、といった記述があったのを思い出します。確かその本には、「では従業員満足の根幹とは何か?」という問いに答えてくれるどんぴしゃの記述はなく、煙に巻かれたような記憶も残っています。

かなり根本的な問題を考える場合には、外来の言葉の翻訳語で考えることをいったんやめて、日本のシンプルな言葉に置き換えて考えるのが有用です。
ということで、Employee Satisfactionの翻訳語である「従業員満足」をいったん取り下げて、「会社の人たちのしあわせ」という言葉に置き換えてみます。

「会社の人たちのしあわせ」とは何か?

それは「しあわせな会社組織」から生まれる「しあわせな商品やサービス」であり、「しあわせな仕事」に携わる「しあわせな自分」を毎日自覚することである。
「しあわせな商品やサービス」を提供することでお客様にも「しあわせ」になっていただき、「しあわせな対価」を得る。
「しあわせな対価」は「しあわせな利潤」につながり、「しあわせな企業価値」(有形無形の)といったものがもたらされる。

そこには「しあわせ」の連鎖が見られるわけですね。しあわせバリューチェーンとでも呼べるものです。

この「しあわせバリューチェーン」のもっとも不思議な特質は、どこが起点でどこが終点かわからないということですね。非常に定義しづらい。米国のビジネススクールで教えていらっしゃる大先生にもたぶん正確な定義はできないだろうと思います。

けれどもまぁそういった「しあわせバリューチェーン」のようなものがあると仮定すると、めぐり巡って従業員満足にもつながっていくし、顧客満足にもつながっていきます。顧客満足や顧客経験を第一に置く議論では、顧客満足は企業価値の源泉だとされていますから、企業価値増大にも意味があるわけです。

ではその根幹である「しあわせ」とは何か?ここがポイントになってくるわけですね。

昔現国で読んだ三木清の「人生論ノート」の一節などが脳裏をよぎったりするわけですが、昔ビジネス書というものを一切読まなかった自分が過去2年ぐらいは人並みに読むようになって、その中からピックアップすると、本間正人・祐川京子著「ほめ言葉ハンドブック」にある「ほめる」という行為が最大のポイントなのかと思います。会社論、組織論、企業価値論の文脈で言えば、ですが。

昨日もすこし読み返していて改めて感心したのは、「ほめる」ということの組織論的かつ個人幸福論的意義がしっかりと書き込まれているということですね。例えば次の記述。

-Quote-
 言葉は、伝える相手よりも、発している本人が最初に聞いています。よい言葉はよいエネルギーを持ち、その波動が発言した人の全身全霊に広がっていきます。
 つまり、相手をほめることは、自分のエネルギーを充電しているようなもの。実際、ほめている人のほうが、グチばかり言っている人より格段に顔色もよく、表情も生き生きしているものです。
-Unquote-

この記述、プロテスタントなスタンスから聖書的な文脈で説明することもできるのですが、それは割愛します。一言だけ言えば、この「ほめ」は「賛美」ですね。英語に直せば同じ言葉です。

実際問題、自分の周囲でパフォーマンスの高いコンサルタントの方の振る舞いを見ていると、ぶちぶち言っている方よりは、ぱーっと突き抜けて、相手のいいところ、あるいはクライアント企業のいいところに着目して、万事好日的に攻めるタイプの方のほうが好成績を残しています。相手をほめる。クライアントのよいところをほめる。

そのへんが重要なのではないかなぁ、というのが、今日この頃の実感。

dimaizum

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プロフィール

今泉 大輔

今泉 大輔

株式会社インフラコモンズ代表取締役。
国内の太陽光、木質バイオ、石炭火力の発電案件。海外の天然ガスに関係した案件の上流部分のアレンジメントを行っている。その他、リサーチ分野として、スマートグリッド、代替的な都市交通、エネルギーの輸出入。電力関連の近著も。

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