« 2007年3月5日

2007年3月8日の投稿

2007年3月9日 »

藤田田氏の「ユダヤの商法」(ベストセラーズ)を読むと、「食べ物の商売は、顧客が毎日必ず口にして消化するものを扱うわけだから、ビジネスチャンスが恒常的にある」という意味のことが書いてあります。なるほど食べ物は食べてしまえばなくなります。また買わなければなりません。顧客を自分のチャネルに固着化させてしまえば、毎日売上が発生します。

この延長で「顧客に日替わりで価値を提供できる商売は強い」と言うことができるのではないかと思います。それでピンとくるのがテレビ局。特に地上波。
テレビ業界は規制産業なので、分厚い既得権益が伝統的なプレイヤーに独占されているということは置いておくとして、彼らが比較的高い利益率(売上高営業利益率で8~10%。日本企業の水準としては高い部類だと思います。またよく知られている社員の年収の高さという事実もあります…)を保持していられる理由の1つに、彼らが毎日違ったプログラムを家庭のテレビに向けて送り届けているという事業スタイルがあると思います。企業が顧客に対して毎日価値をデリバリーするという、そのスタイルが高収益のポイントなのではないかと思うわけです。

これに対して「オンデマンド」は弱いです。オンデマンドは顧客が必要とする時だけ、必要とするものをかっちり送り届けるわけですが、「毎日お茶の間にデリバリー」と比べると圧倒的に収益機会は少ないです。

ここで話はGyaOに飛びます。先ほどGyaOを見ていてふと「テレビ局のブランドアイデンティティを支えているのは、ひょっとすると局アナなのではないか?」と思ってしまいました。
朝フジテレビをひねると大塚さんと高島アナの顔が出てきて「あぁ朝7時台なんだな」などと思う。一緒に「あぁフジテレビなんだな」などということも認識しています。それがウィークデーには毎日。大塚さんは局アナではないですが、”経験の連続性”(実はブランド価値の根源)を保証している要素として高島アナの存在は大きいです。TBSをひねれば、みのさんがいる。みのさんは置いておくとして、竹内香苗アナや柴田秀一アナがそばにいつもいることでその時間帯のTBSの差別化が成立しています。

これが仮に局アナがまったくいない番組として構成されていたら、「あぁフジだなぁ」「おぉTBSじゃん」という印象はかなり薄まるのではないかと思います。
1日に流れるすべてのプログラムに局アナが登場しているわけではありませんが、ニュースを含め要所要所に登場することで、日テレらしさ、フジらしさ、TBSらしさのようなものができあがっている。そういう風には思いませんか?
仮に局アナがまったく登場しないチャンネルがあったとしたら、その局に親しみを覚えるでしょうか?

ということで、上に記した日替わりバリューを含めて、GyaOが地上波テレビ局に準じた存在になるためには、第一に局アナを養成していろんな番組を仕切らせる、第二に番組編成で日替わり要素(非オンデマンド)を組み入れる、ことが必要なのではないかと思ってしまいました。僭越ながら…。

[付記]
先ほど藤田田氏の「ユダヤの商法」をアマゾンで確かめてみたら、古書が1万円以上の値がついていますね!売ろうかな。

dimaizum

« 2007年3月5日

2007年3月8日の投稿

2007年3月9日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

今泉 大輔

今泉 大輔

株式会社インフラコモンズ代表取締役。
国内の太陽光、木質バイオ、石炭火力の発電案件。海外の天然ガスに関係した案件の上流部分のアレンジメントを行っている。その他、リサーチ分野として、スマートグリッド、代替的な都市交通、エネルギーの輸出入。電力関連の近著も。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
serial
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ