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定期的に"AppleはMacのCPUをx86からARM変更する"と言う噂が出ますが、もし変更するならばいつになるのでしょうか?考えてみました。

Geekbench2で比較すると MacBook Air (13-inch Mid 2012 Core i5-3427U) は5,119です。A6Xを搭載したiPad 4th genは1,759です。2012年の時点で約3倍の性能差があります。この差を埋めなければ、x86からAシリーズに移行することは無謀な試みでしかありません。

ただし、Macbook AirとiPadでは要求される消費電力に差があります。A6の元になっていると思われるCortex-A15(憶測ですが)は、ARMの資料を見る限りは2GHzまでターゲットになっています。また、4コア以上の拡張も出来ます。

このため、例えばA6Xを1.4GHzから2.0GHzに周波数を引き上げ、コア数を4コアまで増やせば、Geekbench2は5,000まであがります(リニアに向上すればの話ですが)。この数字はMacbook Air Mid 2012の性能と遜色ありません。

ARM系のCPUはターゲットはまだモバイルが主流なため周波数が2GHzに到達したものは見たことがありませんが、TSMC等でCortex-A15の28nmプロセスのハードマクロで2.0GHzに到達しているものがあります。近いうち(2013年?)に2.0GHzを突破するCortex-A15が出荷される可能性はあります。

A6Xのダイサイズは32nmプロセスルールで123平方mmです。その中でデュアルコアは約13%に該当します。A6Xにクアッドコアにしてもせいぜい140平方mm程度にしか増えない計算になり、28nmにシュリンクできればA6Xと遜色ないサイズ(120平方mm前後)に落ち着くでしょう。

コア数と周波数を考えると28nm世代でAシリーズはMacbook Air mid 2012に搭載されたCPUとそん色ない性能を持つ可能性があります。

また、2014年にはCortex-A57が登場します。Cortex-A15からは同じプロセスならば20%以上、20nmであれば40%以上性能が向上するとアナウンスされています。このため、20nm世代ではARM系はx86を性能的に超える可能性があります。

ただし、これは廉価なカテゴリの話です。Geekbench2の結果を全て見ていないのですが、スコアが15,000クラスのMacは存在します。この数字を超えるならば16コアなどを積んだCPUを作らざるを得なくなります。この観点から考えると全てのMacにAシリーズを搭載するのは無謀な気がします。

Cortex-A57のターゲットの周波数は明示的に公開されていませんが、Cortex-A15が2.5GHzまでターゲットになっているため、それ以上であることは予想されます。例えば、3.0GHzに到達し、L2やL3を大量に積むことでシングルスレッド向上を果たすことが出来るならば、2014年にはPCのミドルクラスでもARMはx86をキャッチアップできている可能性はあります。

また、ARMv8でようやく64bitをフルに活用できます。現在x86で64bitをサポートしていないものはありません。このため、Macbook Pro以上のカテゴリに搭載するにはARMv8は必須だと考えられます。

廉価タイプのみチェンジするならば2013年にも実現できるかも知れませんが、ラインナップを中途半端にリプレイスすることはシンプルなことをするAppleにはありえないと考えられます。このため、もしAppleがx86からAシリーズにリプレイスをするならば早くても2014年でしょうが、Aシリーズがx86に性能的にキャッチアップできなければもっと遅い時期になるのではないかと予想しています。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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