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Qualcommの時代

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QulacommのSnapdragon S4シリーズは好調に見えます。例えば、Docomoの2012年夏モデルの14製品中Tegra3とOMAP4460がそれぞれ1台で、それ以外はQulacommのAPQ8060が1台、MSM8255が2台、MSM8960が9台とほとんどQualcommです。ここまで採用されればTSMCの28nmで製造が追いつかなくなるのも納得します。

そのQulacommのベンチマークやエコシステムに関するQualcomm Mobile Benchmarking Workshopが行われたのが上の記事になります。

ARMコアの製造に関してはライセンスをもらってそのまま使っているタイプとCPUコアに手を入れることが出来るライセンスがあります。Qualcommは後者でScopionからCPUコアに手を入れたものを使っています。このため、Snapdragon S1の時も一時期Qualcommばかりでした。

現在発表されているARM系CPUのDMIPS/MHzに関して以下になります。

コア 性能
(DMIPS/MHz)
上限周波数
(GHz)
Cortex-A15 3.5 2.5
Cortex-A9 2.5 2.0
Cortex-A8 2.0 1.0
Cortex-A7 1.9 1.5
Cortex-A5 1.6 1.0
Krait 3.3 2.5
Scorpion 2.1 1.5

出展
・ARMアーキテクチャ
Cortex-Aシリーズ
ARM版Windowsで始まるx86対ARMのCPU戦争
・ARM's Cortex A7: Bringing Cheaper Dual-Core & More Power Efficient High-End Devices

Snapdragon S4に搭載しているKraitはCortex-A15世代です。まだCortex-A15搭載CPUが製品として登場していない現状ではSnapdragon S4は最も高速なARM系CPUになり、このような採用が多いのも納得できます。Cortex-A9も上限2.0GHzなのかも知れませんが、未だに2.0GHzに到達した製品はないため周波数を目安程度になると思います。

ですが、Qualcommとして最も押したいのは、GPUにAdreno 320を搭載したS4 Pro以上でしょう(まだ製品出ていませんが)。Qualcommがライバル視しているNVIDIAはCPUこそまだCortex-A9搭載しかしていませんが、GPUは今後強力なものを搭載することになります。またNVIDIAもQualcommと同じでCPUに手を入れるライセンスを取得しています。

GPUが強力でCPUも強力になる可能性があるNVIDIAはQualcommには真っ向勝負する敵でしょう。

また、昨今のCPU事情を考えるとヘテロジニアスマルチコアに移行せざるを得ません。ARMもそのことを念頭にあるのでMailシリーズの強化も行っています。PowerVRも次のシリーズは非常に強力なGPUを開発して近いうちに製品が出てきます。

ライバルに負けないためにもQualcommもGPU強化は必須です。ただ、MSM8960は出荷時期を早めるためか、GPUはAdreno 225と少し落ちるモデルになっています。このあたりは戦略上仕方がなかったのかなと思わなくもありません。

S4 ProであるMSM8960 Pro/APQ8064はCPUはKraitでGPUがAdreno 320で現時点ではQualcommとしては完成形になります。このためか、Qualcommはこの組み合わせでスマートフォン以上の大きな製品の分野に進もうとしています。2012年中にWindow RTも登場するため、Qulacommとしてはこの流れに乗りたいはずです。

また、本記事ではSnapdragonのエコシステムに関してさまざまなSDKを出していることを上げています。市場を広げるにはゲーム市場を必須です。ゲーム市場はゲームコンソールからスマートフォンなどの汎用機器へシフトし始めています。この流れに乗るには汎用機のアキレス腱である性能アップをさせるためにこのようなSDKは必須なのでしょう。

記事にはありませんが、QualcommはMozillaと組んでB2Gにも取り組んでいます。私は最初、なぜQualcommがMozillaと組むのか疑問だったのですが、この記事を読むとQualcommはSnapdragonの性能アップさせるSDKをOS側に組み込みたいんだろうなと思いました。これを組み込めば高性能化することでSnapdraonの市場が広がります。

このような取り組みをして、CPUコアを手を入れ、GPUも自前で設計しているQualcommはしばらくARM市場で首位にいられるでしょう。

Cortex-A15搭載製品が出てくれば、現在のようなQualcomm一択状態から変わるでしょうが、性能アップや消費電力ばかりではなくエコシステムを構築することを念頭においているQualcomm相手はライバル達は苦戦を強いられそうです。

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