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"Qualcomm、28nmチップの製造契約をSamsung/UMCと締結"

QualcommがTSMCの28nm製造に関して不満があるようで、SamsungやUMCと締結して28nm製造を増やそうとしています。

TSMCの28nmは順調でないと言われていました。ですが、スマートフォン・メディアタブレットの需要は未だに衰えが見えません。さらにWindows RTの登場でARM系チップの市場規模が拡大する可能性があります。

このチャンスをFabの製造問題で棒に振るわけにはいかないとQualcommが考えたことでしょう。

また、1社に任してはプロセスルールの更新毎に今回と同じ問題が発生するかも知れません。複数ファウンドリはコストかかってもリスク分散の意味ではQualcommには悪い選択ではないのかも知れません。

ですが、ファウンドリに任していてはプロセス改善の周期が他社(特にIntel)に追いつけませんし、コントロールも出来ません。このためか、"Qualcomm、自社ファブを構える可能性を否定せず"と言う話も出るほどです。

ただ、TIがFabを更新しない選択を行ったり、AMDがFabを手放した話は最近のことです。元AMDのCEOであるジェリー・サンダース氏の「真の男ならファブ(工場)を持つ」は有名な話ですが、現在は今とは違い微細化コストが上がりすぎて資金があるからといってFabをもってもペイできるか難しいところです(それこそAppleの様な資金が潤沢で且つ長期的に収入減が想定できない企業なら別ですが)。

QualcommのFabを持つ話は選択肢の一つだと思いますが、ファウンドリメーカーとしてGLOBALFOUNDRIESもいるのでそこまでFabを持つ話はほとんどないのではないかと思います。Fabを手放したい企業はいくつもあると思うので、安く買い叩けれるのであれば再燃するかも知れませんが。

ファウンドリでSamsungの話があがっていました。既にAppleのAシリーズの製造を手がけているためファウンドリビジネスを既に行っています。また、自社でもARMシリーズの設計・製造を行っているため、ファウンドリビジネス一辺倒のTSMC/UMC/GLOBALFOUNDRIESとは違います。

業界No.1のIntelもすごく小さくファウンドリビジネスを初めています(副業的に意味合いだと思うが)。近い将来においてIntelがファウンドリビジネスがメインになることはないと思いますが、Intelもファウンドリビジネスに行くほどで。業界No.2のSamsungもファンドリビジネスを行うのは理にかなっています。特にIBM連合のSamsungの場合はユーザが多そうな気がします。SamsungとしてはDRAMやNANDの様な並が激しい市場ばかりではなく、高い成長率が見込めるARM系チップ等のモバイル系に投入したいところです。

ですが、SamsungがARM市場の存在感が強くなるととQualcommとは競争関係になります。それこそAppleとSamsungとの関係に似てきます。このあたりのリスクはどうなるのでしょうかね。Qualcommは気にならないのでしょうか。

ただ、業界トップクラスのQualcommの選択は、他のARM系チップメーカにも影響を与えないとは言えません。今後他のARM系Fabレスメーカも遅かれ早かれ追随するか他の選択を採用することになるでしょう。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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