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iPad 3rd genが発売され、搭載しているA5Xに注目されていました。解析が進み以下のことが分かっています。

・A5Xはメモリ幅が128bit(この先ブレイクスルーが必要なApple iPadのDRAMメモリ技術)
・A5には32nmで製造されたS5L8942がありダイサイズが69.6平方mm

Appleが今まで発表したAシリーズは以下になっています。

プロセス
ルール
(nm)
ダイサイズ
(平方mm)
コア
CPU GPU
A4 45 53 1 Cortex-A8 PowerVR
SGX535
A5
(S5L8940)
45 122 2 Cortex-A9 PowerVR
SGX543MP2
A5
(S5L8942)
32 69 2 Cortex-A9 PowerVR
SGX543MP2
A5X
(S5L8945)
45 163 2 Cortex-A9 PowerVR
SGX543MP4

iPad 3rd genを発売後でもiPad 2の販売を継続するのは安価なメディアタブレット対策なのかと思っていましたが、S5L8942を活用するためのようにも見えます。

後藤氏の過去の記事のなかでAppleはA5Xに関してSamsungから32nmを製造を進められたときに断って45nmを選択したとありましたが、32nmのFabの製造状況などを考慮に入れてS5L8942を製造したようです。

これはIntelのアーキテクチャとプロセスの更新を交互に行うチックタック戦略に似ていますが、Fabレスメーカであればリスクをとらないためにも必要な手段なのでしょう。これで、AppleはA5Xと32nmのA5の両方を設計したようです。いつから行っていたのかわかりませんが、次のA6は予定通りシュリンクされた製品になるのでしょう。AppleはAシリーズ開発部隊を大きくしていると噂になっていますが、かなりの規模まで大きくするのかも知れません。

また、A5Xのメモリ幅が128bitなのはかなり驚きましたが、AppleがAシリーズに期待しているとこが見え隠れします。

2011/2012年のiPadの発表が両方ともゲーム関係のイベントにあわせています。2年連続ならば、もうこれは完全にゲーム業界をターゲットにしていると言われてもおかしくはありません。iPad 3rd genがRetina対応とGPUの強化を行いましたが、これは見やすくするというのもありましたが、ゲーム市場をターゲットとしていてもおかしくない仕様でした。

メモリ帯域の拡大は、描画を大量に行うアプリならば必須です。描画が多いアプリと言えば、最初に思い浮かぶのはゲームです。

メモリ幅は、ダイサイズとも関係します。A4/32nm A5のサイズでは128bitを確保できないのではないかと思います。

A5Xはたまたまダイサイズ大きくなったのでついでにメモリ幅を128bitにしたとは思えません。継続的に128bitを採用して十分なメモリ帯域を確保する証ではないかと思います。

ですが、A5XのサイズをiPhoneに搭載するのは苦しいと思います。32nmのA5やA4あたりが妥当なサイズだと思います(45nmとA5すら大きすぎると思う)。そうしないと消費電力が増えてとても実用的なバッテリー駆動時間になりません。

このため、Appleは、Aシリーズを2本立てにするのではないかと思うのです。

iPhone/iPod touch/Apple TV向けとiPad向けに。これならば、秋にiPhoneに最新の技術を、翌年のiPadにGPU強化版もしくはCPU多搭載版と言った感じに進んでいくのかなと思いました(2011~2012年のシナリオ)。

Aシリーズが2カテゴリに分かれるのならば、iPadがハードがゲームコンソール並み進化してゲームコンソール市場に進化してもおかしくはないでしょうし、さらに上のカテゴリであるノートPCや小型デスクトップPCに進出しても不思議ではありません。

ですが、現在のファウンドリ事業を行っている企業では28nm製造でかなり苦戦しています。TSMCがこの分野ではリードしていますが28nmで一時期ライン停止したとも言われていますし、Samsungの製造能力もAppleが疑問なようでしたし、GLOBALFOUNDRIESも32nmでAMDの注文をこなすことが出来なかったようです。

そうなると大量の出荷数になるiPhone/iPad向けAシリーズで安心して最新プロセスで製造できません。もしかすると、やり手のApple(ジョブズ氏が生きていればほぼ確実に)ならばIntelにファウンドリ事業(現在は限定的にやっているみたいですが)をさせたりするのかも知れません。そうなると、将来は現在のCPU業界は様変わりするかも知れませんね。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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