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NVIDIAからKeplerの最初の製品であるGeForce GTX 680が発表されました。詳しい説明やベンチマークは以下が詳しいと思います。

さすがカン&クリ! ブッ飛んでるね!──「GeForce GTX 680」で“Keplerの主張”を確かめる
大解説! 新世代GPU“Kepler”が性能2倍で省電力の理由
NVIDIAが次世代GPUアーキテクチャ「Kepler」のベールを剥いだ
「NVIDIA GeForce GTX 680」徹底攻略 - 最強候補のKepler世代GPUを完全検証

NVIDIAからハイエンド製品が出ましたので、トランジスタ数とダイサイズの推移のグラフを作成しました(すぐに更新される可能性がありますが...)。

■トランジスタ数の推移

■ダイサイズの推移

リフレッシュした値は以下になります。

会社 発表月 GPU プロセス
(nm)
トランジスタ数 ダイサイズ
(平方mm)
NVIDIA Mar-12 GeForce GTX 680 28 35.4億 294

今回は一番の驚きはGeForce GTX 680(GK104)がAMDのハイエンドのGPUであるRadeon HD 7900を消費電力あたりの性能で越えたことです。

最近のGPUは、性能でNVIDIA、消費電力あたりの性能でAMDが勝っていました。AMDは前回のリフレッシュ(Radeon HD 7900)で高い性能の製品をだしてきまし。これはGPGPUに向けても必要だったためでしょう。

ですが、GK104をGPGPUを捨てて、ゲーム向き(PC)にシフトして性能と省電力でAMDに差を広げています。省電力化するために、今まで倍速で動かしていたコアを同速にしてコアを大量に搭載してきました。こちらの方が省電力に優れているようです。CPUも周波数を上げる方法はえてしてうまくいっていなかったことを考えるとGPUもやはり同じことが言えるでしょう。

また、最もトランジスタ数が必要なスケジューラーに関しては、CPUに負担させることでGPU側では電力を消費しない方式を採用したようです。

このため、GK104は、ゲーム向けGPUとしては高速な部類になるようです。

ただ、NVIDIAがGK104を出した理由に関してはいくつか疑問です。Fermiコア以降のNVIDIAのGPUは以下を出しています。

開発
コード
カテゴリ コア周波
数(MHz)
メモリバス
(bit)
CUDA
ダイサイズ
(平方mm)
トランジスタ
数(M)
TFLOPS
GK104 - 1,006 256 1,536 294 3,540 3.09
GF110 ハイエンド 1,544 384 512 520 3,000 1.58
GF114 ハイミドル 1,644 256 384 332 1,950 1.26
GF116 ミドル 1,800 192 144 238 1,170 0.50
GF119 ローエンド 1,620 64 48 79 ? 0.16
GF100 ハイエンド 1,401 384 480 529 3,000 1.34
GF104 ハイミドル 1,350 256 336 332 1,950 0.91
GF106 ミドル 1,566 128 192 238 1,170 0.61
GF108 ローエンド 1,620 128 96 116 585 0.31

(出典:Comparison of Nvidia graphics processing units 一部間違いを修正)

これを見ているとGF110からGK104は周波数を2/3にして、コア数を3倍することで、2倍(2/3 x 3 = 2)の性能をだしたことになります。

ハイエンドはGF100/110が担い、その一つ下であるハイミドルがGF104/GF114が担当しています。開発コード的にはGK104はハイミドルになります。

この後にGK100が出荷されると言われています。もし、出てくれば過去の製造パターンからは500平方mmを超えてくるでしょう。"「NVIDIA GeForce GTX 680」徹底攻略"を読むと、GK100はGK104とは違ってGPGPU向けにシフトされているようなので、GK100/GK104のダイサイズ比(60%増)で性能アップしなさそうですが、20%アップぐらいはありそうな感じがします。GK100のCUDAコア数は2,304ぐらいでしょうか(周波数は消費電力の関係から落ちると思います)。

GK100とGK104の順番は当初のスケジュールどおりなのか、それとも歩留まりの影響なのか、それとも問題が生じたからなのかわかりませんが、GK104を超える製品が待っている可能性が高いので、しばらくはGPUに関してはNVIDIAのターンが続きそうです。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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