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GPU競争の行方(2011年末)

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AMDからRadeon 7900シリーズが一応発表されて、各IT系メディアではベンチマークが発表されています。製品は年明けになるようですが。

このため、トランジスタ数とダイサイズに関してグラフ化してみました。

・トランジスタ

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・ダイサイズ

リフレッシュした値は以下になります。

社名 発表月 GPU プロセス
(nm)
トランジスタ
ダイサイズ
(平方mm)
AMD Dec-11 Radeon HD 7900 28 43億1000万 365

ビデオ性能に関しては、"「Radeon HD 7970」で“Graphics Core Next”の実力と消費電力を探るl"になります。28nm化による性能アップが垣間見れます。

Radeon HD 7970で一番期待されたのはVLIWからGraphics Core Nextへチェンジしたことです。"AMD大幅にGPUの構造を変える"にも書いていますが、すでにアナウンスされていたことです。このコアに変更したため、浮動小数点演算の性能が上がっています。過去のRadeonと比べると以下のようになっています。

GPU 単精度浮動
小数点演算
(TFLOPS)
倍精度浮動
小数点演算
(GFLOPS)
Radeon HD 7970 3.79 947
Radeon HD 6970 2.70 683
Radeon HD 5870 2.72 544
Radeon HD 4870 1.21 240
Radeon HD 3870 0.50 -
Radeon HD 2900XT 0.48 -

トランジスタ数がRadeon HD 6970から63%もあがっているのに短精度で40%、倍精度で39%しか向上していないことを考えるとGNCのコストが高いのかメモリバスコストがそこそこ高かったのかと思わなくもありません(GPUはCPUと違って並列処理のため、トランジスタが増えれば比例して性能もあがりやすい)。カタログスペック比較はあまり意味がないのかも知れませんが。

GPGPUとして舵を切りなおしたRadeon HD 7970ですが、今のところNVIDIAのようなECC付き製品に関して言及していません。HPC向けはやはりECC必須でしょうから、そのような製品が出てきても良いのではないかと思われます。

今回の発表で一番驚いたのはメモリ周りです。Radeon HD 3800からメモリバス幅を256bitから増えていませんでした。足りない分は最新のメモリ規格(GDDR5等)を採用し、転送速度を上げてきました。ライバルのNVIDIAはリッチに384bitを採用していきました。

どちらが正しいのかわかりませんでしたが、Radeon HD 7900でAMDも384bitを採用しました。また、"Radeon HD 7970を急遽前倒し AMDの2012年GPUロードマップ"を正しければXDR2対応し消費電力削減を行っているようです。XDR2自体は製品が存在しないため採用できませんが。

GPGPUとして活用するにはメモリ帯域も必要になるため、384bitへの拡大やXDR2対応済みは悪くない選択肢に見えますが、これがどの程度効果があるかはGPGPUの実績をみるしかありません。

TSMCの28nmプロセスの歩留まりが悪いからここまで伸びたとかも言われていますが、GFでも実質作れないので28nm世代はまた厄介なのでしょう。

AMDとしてはGNCでGPGPUとして実績を作り、2013年にAPUのGPU部分として盛り込み、C++ AMP等でヘテロジニアスマルチコアを推進したい方向でしょう。GNCの普及も2012年末もしくは2013年前半でしょうからゆっくりと地盤固めをするしかないところです。NVIDIAの地道な努力を見れば、時間がかかることでしょう。

早くGNCがミドルレンジのGPUかAPUに早く搭載して活用シーンが増えるようになると増えることを期待しています(ミドルレンジ以下のビデオカードしか購入しないので)。

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