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成毛氏によるスティーブ・ジョブズ評及び仕事術or人生訓の様な本です。
私はジョブズ本を全て読んだわけではないですが、"スティーブ・ジョブズI"と"スティーブ・ジョブズII"やいくつかの代表的なApple本を読んでいます。
本書のタイトルを一文で評価しています(ちょっと長いですが引用させていただきます)。
” ジョブズにあこがれている時点ですでに、ほかの誰かと同じ考え方をしているということだ。日本で売れた100万部のジョブズ本を持っている、100万人と同じなので、これでジョブズ本があなたを救ってくれるといえるだろうか。
ジョブズに憧れている暇があったら、一刻も早く自分の才能を探したほうがいい。伝記I II巻の約4000円は、もっと有益な本に投資したほうが無難である。そして、自分だけが面白いと思える、他の誰も持ち得ない知識を得ることに使うべきだ。”
本書の半分は上記のことに集約されています。
私は他人の成功例はほとんど参考にならないと思っています。理由は、その人物だからこそ実現できた例を持って、自分にあてはめられないケースが多いからです。
私の知り合いに本の内容を鵜呑みする人のある行動に非常に驚かされました。それは、ある本に言及されていることを検証すると正しくなかった事象にぶつかったときに、その人は”だまされた”と言ったときです。私は耳を疑いました。どうして、そこまで本に書かれている内容を信用できるのか理解が出来なかったためです。
私はジョブズ本を楽しい物語と読むのはいいと思うのです。ですが、ビジネス本で読んで実践してみようと思うのは難しい気がします。Appleの復活はビジネスの模範例の一つですが、そのまま参考にならないでしょうが。リソースの集約もいい方向なのかも知れませんが...
本書で著者が力説しているのは後半人生訓になる箇所です。
著者は、やりたいことを決めるのではなく、まずは行動して形してから、そこから考えることを勧めています。これは、ジョブズ氏が中退後4年でApple Iを販売していることやゲイツ氏も学生時代にBASICを8週間で完成させています。何も口だけで実現したのではなく、行動後に結果が付いてきています。行動しない人間には何も残りません。
また、最後に以下の様にフォローもしています。
”たくさんの可能性から、好きになる才能を探ってみることだ。質は量をこなしてから追求しても、あなたが思うほど遅くはない。”
含蓄ある言葉です。
ジョブズ氏のMac、iTunes Store、iPhone、iPadでコンピューター業界は舵を大きく切り替えました。その功績からまねる選択も悪くないかも知れませんが、製品をデッドコピーすることと人物をデッドコピーすることはまったく違います。
このあたりを理解してジョブズ本を楽しめるのか、それともそうでないかは読み手によると思いますが、本書は鵜呑みしやすい人達にこそ読むべき本だと思います。
若いときは歴史を学ぶべきではないとも言われますが、伝記を読むのも同じことかも知れません。
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