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"ISSCCで各プロセッサベンダーが発表、IntelはIvy Bridgeを公開へ"

ISSCC 2012で多くの発表がありました。そこでちょっと感想を書いてみます。

■Ivy Bridge

一番の注目はIvy Bridgeでしょう。今までもある程度情報が出てきていますし、リリースももう間近です。とはいえ、最初は2012年1月だったのが、4月になり、モバイル系はさらに遅れるようです。このあたりはライバル不在の影響と22nmと3Dトランジスタの問題がかなり厄介なのかもしれません。

Ivy Bridgeは、1.4Bトランジスタと160平方mmのダイサイズです。過去の製品群と比べてみましょう。

CPU プロセス
(nm)
ダイ面積
(平方mm)
トランジスタ
(M)
コア
L2
(M)
L3
(M)
Presler 65 162 376 2 4 -
Merom 65 143 291 2 4 -
Kentisfiled 65 286 582 4 8 -
Penryn 45 107 410 2 6 -
Yorkfield 45 214 820 4 12 -
Bloomfield 45 263 731 4 1 8
Lynnfield 45 296 774 4 1 8
Gulftown 32 240 1,170 6(12) 1.5 12
Clarkdale 32 81 383 2(4) 0.5
Sandy Bridge 32 216 1,160 4(8) 1 8
Sandy Bridge-E 32 435 2,270 8(16) 2 20
Ivy Bridge 22 160 1,400 4(8) 1 8

Intelは、デスクトップPCに一部2PのXeonとも共用しているため、ハイエンドはものすごく大きくなるのですが、Ivy BridgeでGPU搭載しながらも経済的なサイズ(200平方mm以下)に収まりました。

Nehalem系から4コアバージョン少し大きめになっていたのですが、Ivy Bridgeで小さくなりました。Tick-Tack戦略なのですから、当然なのですがNehalem系でうまくTick-Tackできていなかったように思えます。Ivy BridgeはGPUの強化のほうにリソースを割いたみたいなので、ちょっと大きめになりますがデスクトップPCやノートPCでは4コア(8スレッド)をうまく使えていない状況なのでGPUに強化するのが正しい選択に見えます。

遅れやGPUのドライバーの出来も気になりますが、2012年もIntelの好調は維持できるかんじでしょうかね。

■近しきい電圧(Near-Threshold Voltage:NTV)回路

この技術はかなりインパクトがあるように思えます。IDF 2011で発表していますが、もう少し詳しいデータが出ています。Pentium(Intelは実験系プロセスを作るときはいつもPentiumを使う習慣がありますね)で、1.2V&915MHzで737mW、0.5V&100MHzで17mWまで落とすことができるようです。

現在のCPUの問題の一つに熱の壁があります。スパコンはエクザバイト級になると問題は発熱問題のため作れなくなります。また、スマートフォンの電池持ち問題も身近な問題でしょう。

このため、CPUに関しては上も下も熱の問題を解決しなければいけない命題を突きつけられています。x86がスマートフォン・メディアタブレット市場に進出できない理由の一つがその発熱です。近しきい電圧回路がその問題を解決する一つになるかも知れません。

まだ実験段階らしいですし、製品に盛り込むために時間がかかりそうですが、この機能が盛り込まれたときにARMのアドバンテージがなくなっている可能性があります。

将来のモバイルデバイスのCPUのパワーバランスが大きく変わっているかも知れません。

■AMDのPiledriver

Bulldozerの性能がいまいちだったので次のPiledriverに期待したいところです。同じプロセスルールを使うため大きく性能アップしないのかなと思いながらも4GHz超えを果たすあたり、シングルスレッドの性能向上も予定通り行われるように思えます。

ただし、CPUは周波数競争を行うと発熱の問題にすぐに到達してしまい上限がすぐに来てしまうので、このあたりはどうするんですかね。過去にPentium 4やPOWER 6などの周波数で性能向上を果たしたCPUは全て取りやめた過去の歴史があるので、かなり気になります。

サーバ系の発表やNANDの3bit/celで128Gb等の発表などもありましたが、やっぱりPC向けCPUの性能アップのニュースが一番面白いですね。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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