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2012年最初のIT系イベントであるCES 2012が行われました。いくつか面白い発表があったので、感想を書いてみます。

■メディアタブレットの攻勢

ファン氏、Tegra 3の“忍者”に期待する

Tegra 3を搭載してKindle Fireに50ドルプラスですむ249ドルのEee Pad MeMo ME370Tが発表されました。Kindle Fireの成功を考えると249ドルのEee Pad MeMo ME370Tは成功を約束されているように見えます。日本で展開されているAndroidタブレットは高めなため追随せざるを得ないでしょう。このあたりはAndroidタブレットでも差別化できない状況に陥っている感じがしますが、2012年のAndroidタブレットの勢いは2010/2011年以上になると予想しています。

また、1920x1024/1920x1200とフルHD/WUXGAと高解像度メディアタブレットが発表されました。AppleがiPadの解像度を4倍にすると噂が流れていますが、Androidタブレットが先行で対応した形になっています。

15インチクラスのノートPCが実現している解像度を10インチで実現するのですから、コンテンツビューアーとしてはメディアタブレットは価格・軽さを考えるとPC以上です。これではPCが売れなくなっても仕方ないと思いますね。

Medfieldスマートフォン採用

IntelはAtomを開発したときに携帯電話への採用を念頭に置いたことでしょう。ですが、本格的な採用をいたったのは、Medfieldまでかかりました。採用メーカは、LenovoとMotorola Mobilityです。

Lenovoの場合は中国専用でスタートするようですが、Motorola Mobilityならばワールドワイド展開されて日本で販売される可能性はあるかも知れません。Motorola Mobilityとの提携はGoogleとIntelのAndroidの提携の一環なのかも知れませんが、どこまでARM陣営と闘うことができるのか興味がつきません。

NVIDIAのCEOの言のとおりARMチップスマートフォンメーカが、Atom採用することがどの程度メリットがあると考えるかです。現在採用しているARMチップでも十分ですし、ARM製造メーカーが多いことによる差別化はある程度できています。もし、Atom採用することで有意義な差が広がるならば採用するでしょうが、今までの開発費等を考えるとCPU周りを刷新することは躊躇せざるを得ないのではないでしょうか。コスト競争を考えるとそう簡単にCPUをチェンジはできないでしょうから。

スマートフォンはローエンドからハイエンド(ゲームコンソール並み)までサポートすることになるでしょう。これは開発費の増大を意味しています。Atom採用に向けてIntelが開発費を負担する提案があればもしかすると採用メーカが増える可能性もあります。ただし、ゲームコンソールも兼ねたスマートフォンの場合はNVIDIAの方が有利な気がするので、Atom系でゲームコンソールスマートフォンは無理かも知れません。

IntelとしてはPC市場の停滞を考えると需要の伸びが約束されているスマートフォン・メディアタブレット市場に進出せざるを得ません。ですが、RISC陣営を破ったサーバ市場と同じようにx86を進出させることが出来るか今のところかなり不透明です。サーバ市場はアーキテクチャ的に統一されていないことと安価であることで成功しましたが、スマートフォン市場はARM一色で(MIPSも極少ですがありますが)且つ価格競争もほとんど出来ないでしょう。スマートフォン市場で確固たる地位を確保できるかはIntel技術や資金だけでは難しいかも知れません。

■Ultrabook続々発表

Dell、11型クラスのボディに13.3型液晶を搭載したUltrabook「XPS 13」
HP、ゴリラガラス筐体のUltrabook「ENVY 14 Spectre」を発表
“MagicFlip”で出したり入れたり──Acerの“新Ultrabook”「Aspire S5」を画像でみる
「IdeaPad YOGA」の形を“グリッ”と変える

Ultrabookと言うよりもゴリラガラス採用ノートPCが増えましたね。ゴリラガラス自体はスマートフォンやメディアタブレットに採用されたり、さらに強度を増したゴリラガラス2を発表していたりしています。ゴリラガラス採用すると軽くならないと思うんですが、スタイリッシュである必要性はあるのでゴリラガラス採用はトレンドなのかも知れませんが。

Ultrabookが成功するのか私には分かりません。コンテンツビューアーとしてはメディアタブレットと競争になると思いますが、勝てるでしょうか?どの程度のユーザがクラムシェル型を望んでいるかによると思われます。

■QualcommのSnapdragon S4

Snapdragon S4ベースのWindows 8端末を披露

Snapdragon S4は2Q'12の予定のため既に動いているのでしょう。Snapdragon S4のアーキテクチャであるKraitは3.3DMIPS/MHzです。Cortex-A15が3.5DMIPS/MHzと比べるとほぼ同じような性能です。2Q'12で製品が出ればある程度有意義な差を広げるかも知れません。

Windows 8の動作もするようなので、Snapdragon S4の評価はスマートフォンとWindows 8の両方で行う必要があるようです。これは他のARMメーカ(TIとNVIDIA)にも言えますが。

■Microsoft撤退

Microsoftは今回で一度CESは出展を撤退するようです。Intelが最近毎年CESにあわせてCPUを発表してきたことを考える(2012年は無かった)と対称的です。CESで発表されている内容を見ている限りそこそこ重要なイベントに見えなくもありません。年明け最初のイベントと言うのもあると思いますが。

IT系の一般ユーザお断りイベントよりもCESの様な家電に近寄ったイベントの方がユーザ向けでいいのではないかと思います。Microsoftの撤退は費用対効果で考えたのかそれとも他の理由があるのか分かりません。ゲームコンソール撤退の噂もあるのでそれの影響でしょうか。

AMD Trinityの17W版も予定

AMDは報道関係者向けの発表でTrinityのいくつかを発表しました。パッケージはBGAを採用しています。コアサイズを見る限りはPGA版と変わりないのでどこまで一部機能disableと周波数を落として消費電力を実現するのでしょうか。

Trinityのデモを見る限り拡張なしで予定通りトリプルディスプレイができるように見えます。ノートPCでの多画面化がようやく動き出したといったところでしょうかね。ノート専用外部ディスプレイなどは発売され始めているのでもっと普及しないかと期待しています。

■まとめ

Androidタブレット系とUltrabook系の発表が多かった気がします。NVIDIAとQualcommがCPUに関して発表していたり、Intelがスマートフォン採用の発表したりとやはりIT業界のトレンドはスマートフォン・メディアタブレットに向かっている勢いはさらに強くなっている感じがします。

特に10インチクラスのAndroidタブレットでフルHDを表示できることを考えるとコンテンツビューアーとしてはPCは1歩も2歩も後退しているように思えます。Ultrabookでクラムシェル型の復権を望んでいるようですが、クラムシェル型の需要はどの程度あるものでしょうか。価格と重量とキーボードの有無を考えると用途次第ですがやっぱりメディアタブレットに軍配があがる気がします。

CES 2012で欲しいと思った製品は、ASUSの249ドルTegra 3搭載の7インチAndroidタブレットです。これを見ているとゲームコンソール並で且つ小さいという利点があります。常用するには10インチクラスよりも7インチクラス方が方が便利に見えます。

他はLenovoのThinkPad X1 Hybridです。こちらは既にエントリを書いているのでそちらを参照して欲しいですが、本格的クラムシェル型Androidタブレットは需要はあると思うので(自分に対して)。

CES 2012は年明け最初のイベントです。これが華やかだと今年一年感も良いのかなぁと思うので、Microsoftの撤退は少し残念です。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

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