« 2011年11月9日

2011年11月11日の投稿

2011年11月14日 »

Adobeがモバイル向けのFlash Playerを開発中止を発表しました。かなり思い切ったことですが、モバイルデバイスで最も人気があるiOSがサポートしない影響は大きかったのでしょう。

"Flashの終焉と、HTML5時代に向けたアーキテクチャと"において、モバイルから撤退ですが最終的にはFlashコンテンツの終焉に向かうと書かれてあります。

確かにそうなるでしょう。Adobeの業務内容からすれば開発ツールがメインならばFlashより高いシェアを誇るブラウザ(HTML5)に注力するほうがメリットがありそうです。

スティーブ・ジョブズ II(読み終わった)を読む限りiOSにFlashをサポートしなかったのは私怨も混じっている感じです。ただし私も以前ノートPCでブラウザで複数タブを起動させるとやたらとCPU使用率が高いものがあるので調べたときにFlashでした。ですので、iOSでFlashサポート外にするのはそれほどおかしな決断では無かった気もします。

とはいえ、Adobeの選択は悪くは無いと思います。

ブラウザを持っていないものはデバイスは存在しません。Flash Playerのメンテナンスにどの程度コストがかかるか分かりませんが、コストとプラットフォーム数ではやはり一人でFlashプラットフォームを維持するよりも、HTML5のプラットフォームをサポートするほうが低コストになるでしょう。

ですがAdobeがプラットフォームをコントロールすることを手放すことはデメリットもあります。このままでは他のメーカと同列になってしまいます(開発ツールなどがあるため、他のメーカよりも有利ではありますが)。

HTML5プラットフォームで突出した発言力があるメーカになるにはブラウザメーカになるのが一番ではないかと思います。

GoogleのChromeはある意味ブラウザを作ったことで最も得をしたメーカのひとつでしょう。ChromeでJavascriptエンジンの高速化競争に火をつけておかげでGoogleのいくつかのサービスは快適になりました。

AppleのWebkitの開発はある意味恩恵を受けています。iOSのブラウザやFlashの締め出しが出来たり、Safariの拡張機能(まだ収益には持っていけない感じですが)のマイクロコントロールできるのもブラウザを持っているから出来たことです。

AdobeはActionScriptのVM(Tamarin)をMozillaに寄贈しています。VMつくりやFlash Player 11で盛り込まれた機能等からブラウザを作ることもできそうな気がします。以前にはブラウザを作るか検討("「ブラウザー作るのはやめた」アドビCTOが語るAIRの未来")して止めたようですが、今回モバイルFlash Playerの廃止を決めたこともあるため、再度検討してもいいのではないかと思えてなりません。

Adobeは重要なプラットフォームを手放す決断をしました。けどそれは次に逆転するための対策の一つだと思えば、今後の面白い展開があるような気がします。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

« 2011年11月9日

2011年11月11日の投稿

2011年11月14日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

櫻吉 清

櫻吉 清

IT業界ウオッチを趣味としている。知的好奇心の趣くままに何でもチャレンジして、とりあえず壁にぶつかってみる。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
kichi
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ