« 2011年5月31日

2011年6月2日の投稿

2011年6月3日 »

COMPUTEX TAIPEI 2011でIntelは「Ultrabook」計画を発表しました。これは、"Intel Investor Meeting 2011の感想"に既に、このカテゴリに関して注力するとアナウンスしていたため、それほど新味は感じられません。ですが、思っていたよりもインパクトがありそうです。

インパクトがあるのは、MacBook Airライクな製品が多くのメーカから出てきそうであることです。今回の発表でもASUSからUX Seriesが登場しました。

ここでIntelのアナウンスで一番気になったのは"Ultrabookはコンシューマー向けパソコン市場の40%に成長する"の箇所です。2013年に登場するHaswellで15W以下が標準になる(今は35W)とも言っています。22nm世代で導入するトライゲートによる省電力化はそこまですごいのでしょうか?(2012年登場のIvy Bridgeから22nmです)

一番気になるのは、なぜそこまでIntelは省電力化に固執するのでしょうか?

CPUが目指す方向性は、基本的に高性能化だと思います。消費電力などは優先度は少し低いです。NetBurstでは消費電力を軽視して高速化を目指しましたが、漏れ電流のせいで最後は失敗しました。次のCore MA世代でIPCとコア数を増やすことで高性能化と省電力化対応しました。省電力化は、周波数を上げて高性能化するための手段の一つに見えます。

ですが、Haswellはより省電力にシフトしたように見えます。なぜ、ここまで極端にふる必要性があるのでしょうか?本当にコンシューマー向けパソコン市場の40%が薄型ノートPCになるのでしょうか?

メディアタブレットの登場でx86もこのカテゴリには進出する必要があります。このため、Ultrabookの電力カテゴリは必須です。NVIDIAの戦略を見ている限り、ARMアーキテクチャが近いうちにx86のローエンドカテゴリの性能をキャッチアップすることは明白ですから。

その対応としてAtomを刺客に使うと思っていたのですが、それでは不十分だと考えてメインCPUで対抗するように思えます。それぐらいARM陣営を驚異に感じているのでしょうが、なぜメディアタブレットに入れると言わないのでしょうか(Intelはツンデレだから?)。

このローエンドカテゴリにおいて、メディアタブレットが勝つのか、それともUltrabookの様な製品が勝つのか分かりません。分かっているのは、このカテゴリは、相当熱くなりそうです。

AppleはMacBook AirにiOS用のCPUを導入するのではないかと言われていますし、NVIDIAのTegra 3(もうこれで決まりか?)で、高性能をアピールしています。AMDもメディアタブレット用のCPU(Desna)を出す予定ですし、Qualcommも高性能な製品をアナウンスしています。

メディアタブレットからUltrabookのカテゴリにおいて、CPUアーキテクチャの衝突も発生します。そのように考えるとメインCPU(Haswell)でこのカテゴリで勝利を目指すIntelの戦略は案外正しそうに見えます。40%と言われるシェアに関しては、私には分かりませんが、多くのユーザにとってCPUはもう十分オーバースペックに到達しているため、過度の省電力化は悪い選択肢ではないと思います(Haswellは性能向上も果たすと思いますが)。

ARMの高性能化、iOS&AndroidのライトOSの登場、メディアタブレットの登場によって、PCも大きく変わる時期にきたように思えます。Intelはそのときのためにどのよな将来は見据えているのでしょうか?

櫻吉 清(さくらきち きよし)

« 2011年5月31日

2011年6月2日の投稿

2011年6月3日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

櫻吉 清

櫻吉 清

IT業界ウオッチを趣味としている。知的好奇心の趣くままに何でもチャレンジして、とりあえず壁にぶつかってみる。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
kichi
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ