« 2011年5月11日

2011年5月12日の投稿

2011年5月16日 »

「MacBook」「MacBook Pro」、ARMベースチップに移行予定か」にMacBook系でx86ではなく、ARM系採用の噂が流れています。私は、以前にMacBook AirにARM採用しても良いのではないかと予想しましたが、現実味が出てきたかも知れません。

この噂はありな方向でしょうか。

ARMのロードマップは、Cortex A-15まで出ています。Cortex A-15はCortex A-9(iPad2に採用されている)に対して、周波数あたり40%前後速くなります(Cortex-A9が2.5DMIPS/MHzでCortex-A15が3.5DMIPS/MHzのため)。また、A5は45nmで製造されていますが、Cortex A-15は、32/28nmがターゲットです。1回のシュリンクがあるため、同じ消費電力ならば周波数もしくはコア数が増えるでしょう。

このため、2012年終わりから2013年に登場予定のCortex-A15の性能は、現行のCortex-A9のチップから比べると、周波数あたりは40%増加し、プロセスのシュリンクで2倍(コアを倍増する)になるとすると、現行の約2.8倍は最低限伸びるでしょう。

現状分かっているARM系とx86の性能差に関しては、CoreMarkが有力です。

CPU CoreMark Score
Core 2 Duo 1.6GHz 10,483
Tegra 2 (dual&1GHz) 5,148
Karl-El 11,352
Core i7 2600 99,562
Core i7 2820QM(*1) 67,350

*1:これはCore i7 2600から周波数比で求めた。CoreMarkにはない値。

MacBook Airに搭載されているCPUと似ているCore 2 Duo 1.6GHzと2011年に出荷予定のNVIDIAのKarl-Elが大体同じ性能になっています。

ただし、Sandy Bridge(Core i7 2600)では、それらは9倍以上も性能差になっています。モバイルにはここまで高性能なものを積まないため、現行のCore i7 2820QM(2.3GHz)換算では、67,000前後でKarl-El の6倍も違います。Karl-Elクラスが一度シュリンクしてCortex-A15になり3倍の性能アップしても追いつかない計算になります。

このため、MacBook Proに搭載されているCPUには、2013年になってもCortex-A15系は性能的に追いつかない計算になります。ただし、ARM系は製造メーカによって修正も許容されているため、Apple&Samsung連合のARM系チップはCortex-A15よりも高性能な可能性も否定できませんが、現時点(2011.5)でのSamsungのアナウンスを見る限りそのようなことはなさそうです。

このため、MacBook ProにARM系を乗せるには割りに合うとは思えません。ですが、性能を期待していないMacBook Air/MacBookの廉価カテゴリに搭載するには2013年時点のCortex-A15の性能を考えるとそれほど突飛な発想とは思えません。

また、CPUを変えた場合の問題に関しても考えてみましょう、PowerPCからx86への移行したときのようにRosettaで対応しました。このときのオリジナルとの性能差は50~80%だと言われています。

この性能比はCore 2 Duoとハード性能が高いCPUに移行して実現した値です。ARMへの移行は性能向上はほとんどないでしょうし、シングルスレッドに関して低下する可能性もあります(CoreMarkの値はマルチスレッドベンチのため、コア数で割ると半分になる)。このためRosettaの様な方法で実現せずに、ユニバーサルバイナリとして対応がメインになると思われます。

もしくは、ARM系MacBookのOSをiOSにすることで、iOSとソフトバイナリ互換を採用するほうがより効果的です。大量のソフト資産をそのまま流用も出来ますし、ライトユーザにフルOSは実質不要です。2013年頃になれば、ソフト資産の点からMax OS XよりもiOSのほうがより魅力的な可能性もあります。

このように、MacBook Air/MacBookをARMにリプレイスすることは性能差があまりなくて、且つ低コスト・消費電力化が出来るため、良いでしょう。また、CPUがiOSガジェットと共有できれば、コスト競争にも有利になります。もしかすると、それを前提にA4/5をつくり始めたのかも知れません。

2013年以降のARMロードマップ次第ですが、最終的にはx86をARMにリプレイスすることも夢ではないかも知れません(情報が少なすぎて分からない)。

ここで困るのはIntelでしょう。MacBook Air/MacBookの出荷量はIntelにはあまりおいしいところでないかも知れませんが、将来的に上のランク(MacBook Pro/iMac)がARMに置換されない保証があるわけではありません。

CPUの世界は下克上が成功しやすい傾向があります(RISCがメインフレームを追いやり、x86がRISCを追いやった)。このため、ARMがx86を駆逐する可能性がないとは言い切れません。とはいえ、"Intelの半導体技術は世界一ィィ"とも言える為(High-K/Metal-GateやTri-Gateの採用)、Atom系が大幅に省電力化及び性能向上を果たす可能性もあるため、一概にARMはx86を駆逐できるか断定は出来ません。

このため、MacBook系にARM採用は十分に可能性があると推測できますが、MacBook Proへのリプレイスする可能性は高いとは思えません。また、AtomがARM並に省電力化した場合には、Atom採用の可能性も十分にあると思われます。

櫻吉 清(さくらきち きよし)

« 2011年5月11日

2011年5月12日の投稿

2011年5月16日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

櫻吉 清

櫻吉 清

IT業界ウオッチを趣味としている。知的好奇心の趣くままに何でもチャレンジして、とりあえず壁にぶつかってみる。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
kichi
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ